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2人が幸せになるために
この手で掴むために
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目を開ける。スマホをつけると3時と表示されていた。
「目覚まし鳴る前に起きちゃったな。」
スマホの明るさで余計眠気が飛ぶ。ベットから降りる。腕を上げ体を伸ばす。眠くはないがあくびをし、部屋を出た。隣の書斎に入る。机に行くと昨日やっていたページが開いたままだった。椅子に座り、教科書を開いた。ノートにシャーペンを動かす。
ピッピッピッ
と隣の部屋から鳴る。その音を聞き顔をあげた。
目覚ましをオフにしてくるのを忘れていた。時計を見るといつの間にか4時を指している。
「・・・」
寝室に行く。寂しさを感じてしまった自分の頬を叩く。
目覚ましを止め、1階に降りる。
降りるたび、あのいい匂いを求めていた。でも、最後の段についたとしてもいい匂いはしなかった。
薄暗いリビング。キッチンには誰もいない。
『おはよう』
という言葉を無意識に期待していた。いくら待ってもその言葉は耳に流れてはこない。
足音だけが耳に入る。冷蔵庫を開け、朝、食べられるものがなく落胆する。棚に食パンを見つけ、もう一度冷蔵庫を開ける。バターを取り出し、食パンに塗りたくる。
トースターに食パンを置き、5分という文字まで捻る。
無音に耐えられず、テレビをつけた。朝のニュース。その声をBGMにコーヒーを淹れる。
『コーヒーと紅茶どっちがいい?』
そんな質問をされたなと思い出しながらお湯を沸かす。
『お弁当、おかずなにがいい?それとも学食?』
お弁当の容器を取り出すが、冷蔵庫におかずになりそうなものがないことを思い出す。
「・・帰りに買わないと。」
チーンという音がし、バターが溶けたいい匂いがお腹を空かす。
平たい皿を出しパンをのっける。お湯はまだ沸ききっていないがコーヒーを注ぐ。
リビングの机に2つを並べる。
『いただきます。』
「・・・いただきます」
手を合わせて、小さめの声で言う。
食パンを口に運ぶ。小さく噛み切る。でもすぐに皿に戻した。
「・・そっか・・俺、いつの間にか1人で生活できなくなっていたのか・・」
用意した食パンは黒く炭。コーヒーは苦すぎて飲めない。
「・・・早く・・はやく」
(迎えにいきたいな・・白斗の、白斗の手を掴みたいな。)
静かに、涙を流す。
最後・・最後にしよう。白斗に会うまで泣くのはこれで最後だ。
目の前の紙を見て、改めて深呼吸をする。
腕時計を確認した先生がチャイムと共に
『期末テスト数学始め!』
と叫んだ。
「目覚まし鳴る前に起きちゃったな。」
スマホの明るさで余計眠気が飛ぶ。ベットから降りる。腕を上げ体を伸ばす。眠くはないがあくびをし、部屋を出た。隣の書斎に入る。机に行くと昨日やっていたページが開いたままだった。椅子に座り、教科書を開いた。ノートにシャーペンを動かす。
ピッピッピッ
と隣の部屋から鳴る。その音を聞き顔をあげた。
目覚ましをオフにしてくるのを忘れていた。時計を見るといつの間にか4時を指している。
「・・・」
寝室に行く。寂しさを感じてしまった自分の頬を叩く。
目覚ましを止め、1階に降りる。
降りるたび、あのいい匂いを求めていた。でも、最後の段についたとしてもいい匂いはしなかった。
薄暗いリビング。キッチンには誰もいない。
『おはよう』
という言葉を無意識に期待していた。いくら待ってもその言葉は耳に流れてはこない。
足音だけが耳に入る。冷蔵庫を開け、朝、食べられるものがなく落胆する。棚に食パンを見つけ、もう一度冷蔵庫を開ける。バターを取り出し、食パンに塗りたくる。
トースターに食パンを置き、5分という文字まで捻る。
無音に耐えられず、テレビをつけた。朝のニュース。その声をBGMにコーヒーを淹れる。
『コーヒーと紅茶どっちがいい?』
そんな質問をされたなと思い出しながらお湯を沸かす。
『お弁当、おかずなにがいい?それとも学食?』
お弁当の容器を取り出すが、冷蔵庫におかずになりそうなものがないことを思い出す。
「・・帰りに買わないと。」
チーンという音がし、バターが溶けたいい匂いがお腹を空かす。
平たい皿を出しパンをのっける。お湯はまだ沸ききっていないがコーヒーを注ぐ。
リビングの机に2つを並べる。
『いただきます。』
「・・・いただきます」
手を合わせて、小さめの声で言う。
食パンを口に運ぶ。小さく噛み切る。でもすぐに皿に戻した。
「・・そっか・・俺、いつの間にか1人で生活できなくなっていたのか・・」
用意した食パンは黒く炭。コーヒーは苦すぎて飲めない。
「・・・早く・・はやく」
(迎えにいきたいな・・白斗の、白斗の手を掴みたいな。)
静かに、涙を流す。
最後・・最後にしよう。白斗に会うまで泣くのはこれで最後だ。
目の前の紙を見て、改めて深呼吸をする。
腕時計を確認した先生がチャイムと共に
『期末テスト数学始め!』
と叫んだ。
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