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2人が幸せになるために
大事な材料
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真ん中のベットに座る。袖を捲ったのを見て、白斗の二の腕あたりに駆血帯をつけた。刺入部位に消毒をする。装置についている針を持ち、梓は慎重に刺した。規定の量を取る。白斗は顔を逸らし、目をつぶっていた。
「終わったよ。お疲れ様。指先に痺れはある?」
「うんん、ないよ。」
「良かった。」
白斗は装置に興味があるのか、じーっと見る。
「白斗。」
小さく笑いながらそんな白斗に声をかける。
「血が取れるだけでそれ以外なにも起きないよ。」
「え、あ、そうなの。てっきり運ばれるものだと。」
「針を刺すだけで自動で取ってくれる装置。取ったら私が研究室に届けに行くの。」
「そっか・・。」
白斗は手を上に上げて伸びる。そしてあくびをした。ここに、時計はない。
「何時だろう。」
「うーん、ここ時計がなくて困るね。」
「多分、感覚的に20時かな。」
「寝る?白斗。」
「うん、することないし、うーん~」
「じゃあ、私は帰るね。」
「帰る?」
「ここは白斗の家だから。私は隣。何かあったらここにある」
梓は自動ドアのところに行く。壁を押すと横の壁が開いた。小さな空洞には一つのボタンがあった。
「このボタンを押せば、私を呼ぶことができるよ。何かあったら呼んで。朝6時前に一回、お昼12時過ぎに一回。夜19時に一回。採血に来るからね。」
「うん、ありがとう。」
「じゃあ、白斗。おやすみ」
「うん、おやすみ。梓。」
寝室に入った白斗を見て電気を全て消した。
「いい夢見てね。」
自動ドア、中からは白斗以外の人を感知し、開くドア。梓は外に出た。1回、2回。咳き込んだ。
「お疲れ様。」
額に汗をかいていた梓の目の前に、白衣のポケットに手を突っ込んでいる研究員が来た。
「お、お久しぶりです。百々目副所長。」
息を落ち着かせながら目の前の百々目と呼ばれた男へ顔をあげる。
「そこの部屋はどうだった?」
「・・とても息苦しい。」
「そっか。よく、夕飯食べて採血まで耐えたね。」
「・・副所長。白斗を殺すつもりですか?」
「そんなことしないよ。」
「・・副所長。信じますよ。」
「信じてほしいな。だって彼が死んでしまったら、自分の息子を助けられなくなる。それはダメだ。」
「年齢と体が止まった少年か。」
白鳥が目の前の男の目を見ながら一言呟く。
「それは皮肉で行っているのかな?その言葉は彼にも当てはまると思うよ。」
百々目は後ろの部屋を見る。
「お互い大変だね。白鳥。」
「・・貴方に作れるのですか?『小さくなった体、止まった年齢を進める薬』を。」
「そうだね・・今回は外の研究員の力も借りるから、1人じゃ無理だね。」
「外・・」
「1人、すごい研究員が外にいるんだよ。まだ説得中なんだが・・あ、申し訳ない。長話が過ぎたね。」
百々目は腕時計を確認する。
「副所長。白斗の血を無駄にしないでくださいね。」
その言葉に百々目は白鳥に背中を向けて
「善処するよ。」
と言って手を振る。
そのまま百々目がいなくなるのを待った。
白鳥は思いっきり息を吐く。
「・・・貴方の、貴方の言葉は信じてみようと思います。百々目副所長。」
「終わったよ。お疲れ様。指先に痺れはある?」
「うんん、ないよ。」
「良かった。」
白斗は装置に興味があるのか、じーっと見る。
「白斗。」
小さく笑いながらそんな白斗に声をかける。
「血が取れるだけでそれ以外なにも起きないよ。」
「え、あ、そうなの。てっきり運ばれるものだと。」
「針を刺すだけで自動で取ってくれる装置。取ったら私が研究室に届けに行くの。」
「そっか・・。」
白斗は手を上に上げて伸びる。そしてあくびをした。ここに、時計はない。
「何時だろう。」
「うーん、ここ時計がなくて困るね。」
「多分、感覚的に20時かな。」
「寝る?白斗。」
「うん、することないし、うーん~」
「じゃあ、私は帰るね。」
「帰る?」
「ここは白斗の家だから。私は隣。何かあったらここにある」
梓は自動ドアのところに行く。壁を押すと横の壁が開いた。小さな空洞には一つのボタンがあった。
「このボタンを押せば、私を呼ぶことができるよ。何かあったら呼んで。朝6時前に一回、お昼12時過ぎに一回。夜19時に一回。採血に来るからね。」
「うん、ありがとう。」
「じゃあ、白斗。おやすみ」
「うん、おやすみ。梓。」
寝室に入った白斗を見て電気を全て消した。
「いい夢見てね。」
自動ドア、中からは白斗以外の人を感知し、開くドア。梓は外に出た。1回、2回。咳き込んだ。
「お疲れ様。」
額に汗をかいていた梓の目の前に、白衣のポケットに手を突っ込んでいる研究員が来た。
「お、お久しぶりです。百々目副所長。」
息を落ち着かせながら目の前の百々目と呼ばれた男へ顔をあげる。
「そこの部屋はどうだった?」
「・・とても息苦しい。」
「そっか。よく、夕飯食べて採血まで耐えたね。」
「・・副所長。白斗を殺すつもりですか?」
「そんなことしないよ。」
「・・副所長。信じますよ。」
「信じてほしいな。だって彼が死んでしまったら、自分の息子を助けられなくなる。それはダメだ。」
「年齢と体が止まった少年か。」
白鳥が目の前の男の目を見ながら一言呟く。
「それは皮肉で行っているのかな?その言葉は彼にも当てはまると思うよ。」
百々目は後ろの部屋を見る。
「お互い大変だね。白鳥。」
「・・貴方に作れるのですか?『小さくなった体、止まった年齢を進める薬』を。」
「そうだね・・今回は外の研究員の力も借りるから、1人じゃ無理だね。」
「外・・」
「1人、すごい研究員が外にいるんだよ。まだ説得中なんだが・・あ、申し訳ない。長話が過ぎたね。」
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「副所長。白斗の血を無駄にしないでくださいね。」
その言葉に百々目は白鳥に背中を向けて
「善処するよ。」
と言って手を振る。
そのまま百々目がいなくなるのを待った。
白鳥は思いっきり息を吐く。
「・・・貴方の、貴方の言葉は信じてみようと思います。百々目副所長。」
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