今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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2人が幸せになるために

人間はただの道具に過ぎない

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 食事を摂る部屋に白斗はくとは入る。そこには紙が一枚置いてある。白斗は開いて、声に出して読んだ。
 「・・人間はただの道具。道具はただ、指示に従うのみ。」

 「は、はく・・白斗様。」

 あずさが紙を読んだ白斗に声をかけようとする。でも、梓が白斗に気軽に声をかけるのは無理なんだ。

 「梓。」

 クルッと白斗が梓の方を向く。その顔には笑顔が浮かんでいる。

 「梓、一緒にご飯でも食べよ。もう夕飯時。ほら、ここに梓の分もあるよ。」
 「白斗様・・。」
 「梓。様はいらないよ。ここには監視カメラ、盗聴器はないみたいだから。」

 その言葉と共にそばにいた研究室がお辞儀をして部屋を出て行った。

 梓は・・息を吸って

 「はい・・いいえ。一緒に食べたい。食べよう。」

 梓は自分の目元を人差し指で撫でた。梓は駆け足で白斗の隣に並んだ。

 2人で並んだ料理を見て、楽しく笑う。
 
 この時間は昔に戻ったようだ。直木なおきがいないのを除けば・・。


















 

 部屋のドアが開く。

 「あっ・・えっーと。夕飯が出来ました。下で食べないのかなと、持ってきたのですが・・」
 手にはお盆、お盆の上にはご飯、おかず味噌汁が乗っていた。
 「えっーと、下で食べるよ。悪い。智寧ともねさん。」
 「謝らないでください。では、下に行きましょう。嫌でしょうけど弘人ひろとと3人で」
 智寧は笑う。そんな智寧を見て少しだけホッとした。

 階段を降りると弘人がソファでテレビを見ている。
 「弘人。食べましょう。」
 「ん?下で食べるのか・・。俺と一緒なんって嫌だろうけど」
 「いや、一緒に食べてくれるだけ・・ありがたいよ。2人とも。」

 直也は照れ臭そうに口角を上げた。

 「直也さん。食べましょう。」

 智寧は机に並べた料理を見せて思いっきり笑った。弘人も手を後ろで組んで「早く食べよ」とニカッと笑った。

 















 

 胸のモヤモヤが取れない。吐き気がする。こんな苦しみを今まで一度も味わったことがない。
 苦しい・・なんの感情かはわからない。それでも、もうこの感情は味わいたくない。気持ち悪い。白斗に会いたい。白斗と・・白斗と話したい。白斗・・の兄として兄として白斗と会いたい。

 「合わせてください・・お願いします。・・お願いします・・・」
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