今から君を守るのに理由が必要ですか・・？（仮）

2人が幸せになるために

白斗の役目

　篠秋しのあき信秋のぶあきが今の今まで校長として在籍できたのは白斗はくとのおかげだと言って良い。

　篠秋信秋が服用している『老化進行抑制剤』の材料の一つに白斗の血が入っている。それは白斗が研究室にいないと篠秋は薬を服用出来ない。梓あずさや白斗が服用していた薬もそうだが、異例的な薬は保存出来ない。国と協力開発している『男性妊娠欲発剤』は例外だが。
　白斗が研究室にいなかった約2年間は薬の服用ができなかった。そのため、篠秋は体にだるさ、頭痛、腹痛、疲れがあった。だがそれは医者しか知らない。
　
　
　校長室で頭を押さえる。机の上には頭痛薬が置いてある。ノックの音がする。入れと篠秋が言うとドアが開き弥生やよいが入って来た。
　「お祖父様。」

　弥生の顔を見る。
　「なんだ？」
　「ごめんなさい。少し相談が。・・お祖父様。どこか体調が悪い？」
　「大丈夫だ。気にするな。」

　机の上にあった薬を隠すように持ち引き出しにしまった。

　「相談は？なんだ？」
　「女高のことなのだけど・・」













　


　ある場所にある生徒が足を踏み入れた。
　「悪趣味。」

　そう一言言う。この言葉には申し訳なさも含まれていた。

　「いた・・迎えに来たよ。天乃あまの。」


　生徒の前には檻があり、中で辛そうな顔をした百合姫ゆりひめ天乃がいる。寝ているのか目をつぶっている。
　「誰？」
　隣から声がした。隣の檻の布を捲る。
　「名前は？」
　「林はやし友奈ともなです。貴方は・・高女3位の・・」
　「・・覚えてないなら良いわよ別に。今は天乃がここにいるから高女2位白雪しらゆき登華とうか。天乃を迎えに来た。それにみんなも・・流石に乱暴そうな子は無理だけど。」
　「どうして急に？」
　「高女4位が花盛はなざかり校長の指示には従わないと宣言したから。従わないってことはここに閉じ込められてる人たちも解放しても良いってことになるでしょ？だから」
　「・・無責任だね。」
　「・・・・それを言われると何も言えないや・・。天乃はどんな感じだった？」
　「慣れない環境にキツそうだったよ。お嬢様がこんな生活急にしたらそりゃねって感じの」
　林は冷たい態度を貫く。

　
　「・・花盛校長に一回でも謝ってもらいたかった。」

　林はそう言いながら狭い檻に寝転がる。

　天乃はものは試しと百合姫の扉を開けようとした。開くはずがないと思っていたが、ぎーっという音を立て開いた。隣で寝転がっていた林も飛び起きる。
　「え？」

　「開いてるのに・・出なかったの？天乃。」