今から君を守るのに理由が必要ですか・・？（仮）

2人が幸せになるために

直也の相談相手

　白斗はくとが出て行ってまだ、何時間も経っていない。時間が遅く感じる。

　「直也なおやさん。朝ご飯出しておいたので食べてくださいね。」
　智寧ともねが心配そうな声でそう言う。机に並べられたのは梓あずさが作ったものだった。流石に今の直也に白斗の作ったお菓子を出すのは辞めた。

　委御すおは怒鳴っても反応を示さない直也にイライラしながら椅子にドカっと座る。自分の元に料理を寄せもぐもぐと口に運んだ。
　「委御さん。残しておいてくださいね。」
　「智姉。都瀬みやせが出て行ったってことは白鳥しらとりも。」
　弘人ひろとが小声で智寧に言う。
　　
　3人は、白鳥梓が帰ってこないことを相談しようとこの家に来た。
　
　まさか、白斗までがいないとは思ってもいなかった。






　何回か直也に朝ご飯を勧めても直也は見向きもしなかった。

　どうしようか迷っていた2人。そのとき、外からエンジン音が聞こえてきた。男高の敷地で車を使うことは少ない。何事かと思いカーテンを捲る。

　「大きな車？」
　智寧が声に出す。後ろから弘人も覗く。ドアが開き、中から直木なおきが出てきた。2人は直木と目があって急いでカーテンを閉じた。まもなく、インターホンが鳴る。
　智寧が直也を見てからはーいと言って玄関に向かった。

　「・・直木さん・・」　
　「・・神瀬かみせ直也はいるか？」
　「はい・・」
　「上がらせてもらう。」
　
　そう言いつつ無理矢理上がっている。

　直木はリビングで身だしなみさえも整えていない直也を見て、イラッとした。直也に近づく。直也は気にした様子もなくただぼーっとしているだけ。それもまた気に障ったのか直也の胸倉を掴んだ。やっと直也は反応する。直木の腕を掴み、　
　「離せ」
　直木は離さない。生気がない顔を見た直木は直也を床に放り投げた。小さな悲鳴を直也はあげる。智寧も弘人も誰も止めに入れない。委御は食べながら直木を応援していた。
　「なんだその顔は！」
　直木は直也に向かって叫ぶ。直也は起きようとしない。
　「お前がそんな顔をしてたら白斗がいなくなった意味がないだろ！」
　直木は直也にわかってもらいたくて叫ぶ。
　「最後に白斗は俺になんて言ったと思う？『お前の相談相手になってあげて』だ。あいつは自分の心配なんかよりお前の心配をしたんだ。」
　その言葉に直也は起き上がる。その顔には驚きが出ていた。
　「・・俺はお前の相談相手になんかなりたくない。だが、白斗がお前を俺に託したのならお前が治るまでは面倒をみてやる。白斗との約束だからな。」
　直木がはぁと息を吐く。

　「白斗が俺の？」

　直也はわからないと言葉を漏らす。

　「白斗は、白斗はどこに行ったか知っているのか？」
　直也は直木に聞く。
　「今はまだ答えられない。」

　直木は後ろを向いて唇を噛んだ。