今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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2人が幸せになるために

梓と白斗の関係性

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 白斗はくとが連れてこられたのは家具などが一式揃っている部屋。
 「ここにいてください。」
 「はい」
 部屋に入った白斗は落ち着かない気持ちを抑えながら椅子に座る。周りを見てもテレビ、ゲーム機は見当たらない。暇つぶしのものが一つもなく白斗は椅子に座ったままドキドキする胸を抑えていた。

 そんな時間は経っていない。ノックの音がしてドアが開く。
 「白斗様。」
 あずさだ。なんだか白斗はホッとする。
 「あずさ・・」
 名前を呼んだ白斗に梓は首を横に振る。
 「ここでは前のように白鳥しらとりと呼んでください。」
 その言葉と共に白斗は口を押さえる。
 「ごめん。そうだった」
 「いいえ。」
 「白鳥。どうしたの?」
 「白斗様の身の回りの世話をすることになりました。これからよろしくお願いします。」
 白鳥はお辞儀をする。
 「こっちこそよろしくね。」
 白鳥がいてくれるだけでほんの少し不安は解消された。
 「僕はいつまでここで待ってればいいの?」
 「それは私には、」
 「そうだよね。」

 また椅子に座り直す。白鳥はその隣に立った。
 「し、白鳥・・立ってないで座ってよ。」
 「いいえ。主人と同じ視線ではいけませんから。」

 白鳥が白斗の耳元に顔を近づけ耳打ちをする。
 「どこかに、いえ、2箇所ほど監視カメラがありますので多分見られています。私達が主従関係では無かったと知られたとき、過去の実験は失敗に終わったことになります。どうか慣れないと思いますがここにいる間は頑張ってください。」

 その後何も無かったかのように真顔でただ真っ直ぐ前を見る白鳥に戻っている。白斗ははぁとため息をついた。
















 

 モヤモヤを抱えたまま車に戻る。
 「直木なおき様?」
 運転手が名前を呼ぶ。
 「どうかしたか?」
 「いえ、大丈夫なら車出しますよ。」
 「大丈夫だ。戻ってくれ。」
 運転手ははいといってエンジンをかけた。

 窓から研究室を眺める。

 「直木様。直木様もここに残れば良かったのでは?」
 運転手がそう言うと直木は少し考える。
 「そうだなぁ・・残りたかった。でも白斗からあいつを任せられたからな。」
 「直木様はお優しいですね。」

 直木はずっと信じたく無かった。神瀬かみせ直也なおやが自分の弟であることを。それでも関わっているうちになんだか家族のようだと心が勝手にそう思わせてくる。
 「優しい・・か」
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