448 / 550
2人が幸せになるために
篠秋信秋の体
しおりを挟む
「梓。僕が研究室にいない間、お父さんの体調は?」
まだ朝になりきれていない3時ごろ。3人は車の中で揺れている。
「あまりよくないの。」
「そっか・・無理させちゃったな。」
「梓。白斗。戻ったらお前たちは元に戻る。梓は姉であり、白斗に付き従うメイドであり、執事。それは変わらない。」
「・・・わかっています。」
梓は少し悲しそうな声で敬語に戻す。
「・・白斗。改めて、男高校長篠秋信秋を救うために協力を申し込みたい。」
両膝に手を置き頭を下げた。この情景を見たことがある。前にいる人は違ったけど、そうだ・・白斗が引き取られて研究室に行く時
『都瀬白斗様。校長篠秋信秋を助けるために協力を申し込む。』
と言われた。あの時の白斗は心も体も幼かったから・・選択肢などないようなものだった。大人の圧に怯えて断ることなんってできなかった。でも今は違う。今から断ることだってできる。それでも、白斗はあの時と同じ答えを返す。
「僕でよければ・・協力させてください。」
たくさん感謝の言葉を並べられた。人生でこんなにも感謝される日が来るとは思わなかった。あの時の白斗が断らなかったから、白斗は直也に会えた。そして幸せになれた。
なら、今日のこの返答もきっと大正解だ。
白斗が戻ると聞いた時、篠秋信秋は眉間に皺を寄せる。
校長机に数枚の紙が置いてある。I枚目の紙には『女高校長の交代の関すること』2枚目の紙には『篠秋信秋様の健康診断』3枚目の紙には『最高人と連絡がつかない件』
篠秋は頭を抑える。解決しようにも解決できない。そこにさらに白斗が戻ってくるとなると仕事が増える。篠秋の体を治すためだとは知らない。
篠秋はもう、そらそろやめてもいいと思っていた。死なない体・・死ににくい体にしたのは自分だ。自分で自分を実験体にした。
でももう、世代交代をした方がいいと篠秋は考えている。創立からずっと校長として在籍していた。男高のことなら篠秋以外によく知っている人などいない。男高がどれだけの人を犠牲に成り立っているのかも知っている。でもその犠牲も篠秋が辞めるのと同時にやめようと思っている。
国が満足するほどの子供は作った。男女差が埋まるように工夫もした。一定数の子供には英才教育を施した。やることはやった。これでいい。篠秋にやれることは全てやったつもりだ。
まだ朝になりきれていない3時ごろ。3人は車の中で揺れている。
「あまりよくないの。」
「そっか・・無理させちゃったな。」
「梓。白斗。戻ったらお前たちは元に戻る。梓は姉であり、白斗に付き従うメイドであり、執事。それは変わらない。」
「・・・わかっています。」
梓は少し悲しそうな声で敬語に戻す。
「・・白斗。改めて、男高校長篠秋信秋を救うために協力を申し込みたい。」
両膝に手を置き頭を下げた。この情景を見たことがある。前にいる人は違ったけど、そうだ・・白斗が引き取られて研究室に行く時
『都瀬白斗様。校長篠秋信秋を助けるために協力を申し込む。』
と言われた。あの時の白斗は心も体も幼かったから・・選択肢などないようなものだった。大人の圧に怯えて断ることなんってできなかった。でも今は違う。今から断ることだってできる。それでも、白斗はあの時と同じ答えを返す。
「僕でよければ・・協力させてください。」
たくさん感謝の言葉を並べられた。人生でこんなにも感謝される日が来るとは思わなかった。あの時の白斗が断らなかったから、白斗は直也に会えた。そして幸せになれた。
なら、今日のこの返答もきっと大正解だ。
白斗が戻ると聞いた時、篠秋信秋は眉間に皺を寄せる。
校長机に数枚の紙が置いてある。I枚目の紙には『女高校長の交代の関すること』2枚目の紙には『篠秋信秋様の健康診断』3枚目の紙には『最高人と連絡がつかない件』
篠秋は頭を抑える。解決しようにも解決できない。そこにさらに白斗が戻ってくるとなると仕事が増える。篠秋の体を治すためだとは知らない。
篠秋はもう、そらそろやめてもいいと思っていた。死なない体・・死ににくい体にしたのは自分だ。自分で自分を実験体にした。
でももう、世代交代をした方がいいと篠秋は考えている。創立からずっと校長として在籍していた。男高のことなら篠秋以外によく知っている人などいない。男高がどれだけの人を犠牲に成り立っているのかも知っている。でもその犠牲も篠秋が辞めるのと同時にやめようと思っている。
国が満足するほどの子供は作った。男女差が埋まるように工夫もした。一定数の子供には英才教育を施した。やることはやった。これでいい。篠秋にやれることは全てやったつもりだ。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

なんで俺の周りはイケメン高身長が多いんだ!!!!
柑橘
BL
王道詰め合わせ。
ジャンルをお確かめの上お進み下さい。
7/7以降、サブストーリー(土谷虹の隣は決まってる!!!!)を公開しました!!読んでいただけると嬉しいです!
※目線が度々変わります。
※登場人物の紹介が途中から増えるかもです。
※火曜日20:00
金曜日19:00
日曜日17:00更新

越えられない壁で僕らの幸せは・・・
綾瑪 東暢
BL
繋家に産まれた繋 志飛(つなぎ しと)は男だった。残念なことに繋家に男は不要だった。両親は初めての子供だと言うことで志飛を女として育てることにし繋 志綾(つなぎ しあ)と名前を変えた。
繋家と違って女を不要としている要家。要家とはお隣同士の家であり両家の決まりで必ず繋家と要家の子供同士は結婚しないといけなかった。
それは伝統で昔からやって来ていること。誰も変えることの出来ない伝統。
要家の三男として要 荼泉(かなめ とい)が産まれた。
この流れで行くと荼泉と志綾は結婚することになる。が、どっちらも男。
伝統を守り、性別を隠しながら結婚するのか、伝統を破り、性別を明かして追い出されるか・・・

王道にはしたくないので
八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉
幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。
これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。



ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です

嫌われものの僕について…
相沢京
BL
平穏な学校生活を送っていたはずなのに、ある日突然全てが壊れていった。何が原因なのかわからなくて気がつけば存在しない扱いになっていた。
だか、ある日事態は急変する
主人公が暗いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる