今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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終わった?

久しぶりの

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 この家にくるのは久しぶりだ。僕がまだ直也なおやと会う前に来た以来だ。お世話ちゃんについて行く。真ん中の階段を登りながら周りをキョロキョロ歩く。

 忘れていた。階段を一段上がろうとした時、左足首が痛み階段を踏み外した。微かに「あっ」と声が出た。その声を聞いたのかお世話ちゃんが口を押さえている。対して高さはない、大丈夫だと思うが、僕は目をつぶる。



 いくら待っても痛みは走って来ない。僕は目を開けてみる。
 「・・・ゆう・・?」
 「あっぶなぁ・・・」

 僕はお姫様抱っこをされている形に夕が受け止めてくれた。
 「白斗はくと様。なにしてんの?危ないでしょ」

 降ろされるのではなくそのまま立ち上がった。
 「ご、ごめん。」
 なんだか気まずく、視線を逸らす。

 桜紅さくらもみ夕姫ゆうひめ。この家の本体であり、高女一位。

 「もしかして、足首捻ってる?」
 「えっ?」

 上からお世話ちゃんが走って降りてくる。その他にもメンド姿の女の人が大勢。

 「お世話ちゃん。私の部屋に、氷水とタオル、包帯を持ってきて。」
 「あ、はい!」
 「ゆ、夕。大丈夫だから。」
 「大丈夫じゃないよ。こう言うのはちゃんと手当しないと、もっと酷くなるよ。」
 「・・う、うん。」
 降ろしてくれなさそうだったから、僕は夕の首に手を回した。そんな僕を夕はびっくりしていたが嬉しそうに口角を上げる。隠したいのか手で隠す。


 夕に連れられ、夕のベットに座らされた。夕のそばには鎖が落ちていた。
 「鎖?」
 「あぁ、これ?ここに戻って来た時に出て行かないようにつけられたんだけど、壊した。」
 「・・・へ、へぇー」

 どう見ても簡単には壊れそうにない鎖・・・。か、怪力・・

 「お待たせしました。」
 「私がやるよ。お世話ちゃんは、階段に転がってる白斗様の鞄を・・ありがとう。」

 言う前に違うメイドが持って来ていた。
 「2人は下がって、後20分したら白斗様に飲み物を持って来て」
 「わかりました。」
 さっきの時みたいに軽く口調ではなく、夕に対しては敬語だ。
 メイドは部屋を出て行く。

 夕は僕の足を触る。夕の手は暖かい。少しくすぐったくて肩が跳ねる。

 「白斗様。お久しぶりです。」
 「うん、久しぶり。夕。」
 僕は夕の頭に手を置いて撫でる。

 足に氷水を置いたのか体が震える。
 「寒い?」
 「・・少しだけ。」
 「押さえてて。」
 僕は自分で氷水を抑える。夕はクローゼットに行き上着を肩にかけてくれた。

 「安静にしてて。ごめんね。森の地形が悪くて。」
 「夕のせいじゃないよ・・僕が、よそ見してたから。」
 「・・・」
 それでも心配そうに足を見る。
 「あっ、夕。お父さんから荷物預かってるんだ。」
 バックを見ると、夕が近くにバックを持って来てくれた。夕は隣に座る。
 「はい。」
 夕に渡したのはファイル。夕は開けてみる。



 「白斗様は知ってた?」
 「なにを?」
 夕は紙を僕に見てくれる。
 「・・・えっ」

 紙には夕に向けてのメッセージが書かれていた。最初の分に『高女2位の百合姫ゆりひめ天乃あまのは退学した。』と書いてある。
 「・・百合姫が、どうして・・」
 「そこも問題なんだけど、百合姫が高女から降りたことによって俺と女高を繋ぐ橋が無くなった。」
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