今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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終わった?

雲行き

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 「なんだか・・嫌な雲」

 白斗はくとが窓に手を当てながら1人呟く。

 こんな灰色の雲は気持ちを憂鬱なものに変えてしまう。

 「なんか・・モヤモヤする。」


 「白斗~いる?」
 「あずさ?いるよ。」
 「ソロソロ戻ろうと思うんだけど、せっかくなら白斗もお父様に会いに行く?」
 「うーんそうだね。行こうかな。準備してくるからちょっと待ってて」
 「白斗、朝ご飯は食べた?」
 「うんん、」
 「じゃあ私、作るよ。着替えてきて。」
 「いいの?ありがとう。」

 白斗は2階に上がる。

 「・・」

 クローゼットに白衣が入っている。どっちを着ていくべきか・・私服か、正装か。白斗は迷い廊下に出て手すりを掴み梓を呼ぶ。
 「梓。今日って・・正装で行くべき?」
 その言葉に梓は笑う。口を押さえて笑う姿に白斗は顔を真っ赤に染める。
 「今日はお父様に個人的に会うだけだから私服でいいと思うよ。」
 「あ、・・ありがとう。」

 恥ずかしさのまま白斗は部屋に入る。白斗が選んだのはシンプルな服。

 上は白いシャツ。下は黒いズボン。上着は紺のニット。

 一階に降りると梓が机に並べてくれていた。

 「いただきます。」
 
 梓はキッチンで使ったものを洗っている。白斗が美味しいと言うと嬉しそうに口角が上がった。


 

 歯を磨き、荷物をバックに入れ、家に鍵を閉め梓と歩く。

 「・・生徒がいないと歩けて嬉しいんだ。」
 「家ばっかだと気が滅入るよね・・」
 「そんなことないよ・・。うん。」

 白斗は家がつまらないわけではない。たまに外に出たい。それでいい。それ以上のことは望んでいない。


 「梓。仕事。今日から行って大丈夫?」
 「うん、私から行くって言ったわけじゃなくて委御すおさんが・・」
 「委御?」

 梓から絶対に聞かないと思っていた名前が出て少し驚いた。
 「委御が・・」


 最近家に来ていなかった。委御からは仕事が片付かないからと連絡は来ていたが・・名前を聞くと少し会いたくなる。








 管理施設が見えてくる。

 「受付ちゃん。」
 梓のイメージでは言わなそうな名前を呼ぶ。
 「あらぁー、梓様に白斗様じゃない~おひさぁー」
 「お久しぶりです。」
 「どーしたの?わたしに会いに来たの?」

 相変わらず漢の声。化粧が濃い。

 「お父様に。」
 「あらぁ、残念。次はわたしに会いに来てほしいわ。」
 「いつかね。」

 梓はスラスラ話す。

 「信秋のぶあきの爺さんはいつもの部屋にいるわよー最近お疲れみたいだから2人が会いに来てくれて嬉しいんじゃない~」

 じゃあねぇーと受付ちゃんは言う。
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