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終わった?
誰が誰のために
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男高敷地内の病院はそこまで忙しくない。でも時々めちゃくちゃ忙しい時期があった。
「また今年もやるみたいだね。」
掲示板を見ている男子生徒に、車椅子を押した男子生徒が話しかける。
「雪。」
「智君。今日はどうしたの?」
「今日はどうしたじゃないよ。毎日来てるじゃん日課だよ。雪の様子を見にね。」
「特に変わったこともないよ。他に用がないなら病室行く?」
「雪は?」
「外に行きたいな。外の空気が吸いたい。」
「じゃあ外出許可を取り行こうか。」
「うん。」
智弘は雪の車椅子を押してくれる。
「あー!トモ兄!」
病院を歩いていると小学生ぐらいの男の子が叫ぶ。
「メイト。何やっての?ここで」
「父さんが久しぶりに来てくれて見送ってたの!」
「父さん・・・」
「トモ兄も父さんに会えば良かったのに」
「多分忘れられてるよ・・。俺なんか。」
「智君。」
「ユキ兄は会ったことあるっけ?」
「あるよ。僕が高校生の時に。」
「父さんは人気者だ!すごい!」
「メイト君。そろそろ中に入ろうか」
「うん!」
出てきた職員に男の子は連れて行かれた。ドアの横を通り過ぎる。ドアの横に『教育施設』と書いてあった。
「おはようございます。」
「あ、おはよう智弘君、雪君。」
「おはようございます。」
受付に着いて挨拶をする。
「今日は2人揃ってどうしたの?」
「雪の外出許可が欲しくて。」
「おっけー、先生に確認してくる」
看護師は軽めな口調で裏に行った。近くの椅子に智弘は座る。隣に雪の車椅子をつけて。
「そういえば、智君学校はいいの?」
「今更だな。大丈夫。」
「なら良いけど・・。」
「お待たせ。雪君。体調は大丈夫ですか?」
「はい。大丈夫です。」
「じゃあ、気をつけてくださいね。」
看護師がよしっと言って立ち上がり
「智弘君よろしくね」
と腰に手をおいて笑って見送ってくれた。
智弘に車椅子を押され病院の外に出る。風が髪を揺らす。
「気持ちいい。」
「そうだね。」
目的はない。ただ外に出たかっただけ。
「近くの木陰に行こうか。」
智弘に連れられ少し離れた場所に移動して智弘は車椅子を停めた。ここは見晴らしが良くいい場所だ。智弘は車椅子の横に腰を下ろした。
「智君智君。僕も座りたい」
わがままを言う。智弘は立ち上がって雪を持ち上げ座らせた。
「わぁあすごい。」
久しぶりの草。まだ足が動けた時よく弥生と他2人と一緒にピクニックをしたことを思い出していた。
「懐かしいなぁ・・・」
「雪?」
「智君。ありがとう」
「俺は雪のためにならなんだってやるさ。」
智弘が雪のために。
「また今年もやるみたいだね。」
掲示板を見ている男子生徒に、車椅子を押した男子生徒が話しかける。
「雪。」
「智君。今日はどうしたの?」
「今日はどうしたじゃないよ。毎日来てるじゃん日課だよ。雪の様子を見にね。」
「特に変わったこともないよ。他に用がないなら病室行く?」
「雪は?」
「外に行きたいな。外の空気が吸いたい。」
「じゃあ外出許可を取り行こうか。」
「うん。」
智弘は雪の車椅子を押してくれる。
「あー!トモ兄!」
病院を歩いていると小学生ぐらいの男の子が叫ぶ。
「メイト。何やっての?ここで」
「父さんが久しぶりに来てくれて見送ってたの!」
「父さん・・・」
「トモ兄も父さんに会えば良かったのに」
「多分忘れられてるよ・・。俺なんか。」
「智君。」
「ユキ兄は会ったことあるっけ?」
「あるよ。僕が高校生の時に。」
「父さんは人気者だ!すごい!」
「メイト君。そろそろ中に入ろうか」
「うん!」
出てきた職員に男の子は連れて行かれた。ドアの横を通り過ぎる。ドアの横に『教育施設』と書いてあった。
「おはようございます。」
「あ、おはよう智弘君、雪君。」
「おはようございます。」
受付に着いて挨拶をする。
「今日は2人揃ってどうしたの?」
「雪の外出許可が欲しくて。」
「おっけー、先生に確認してくる」
看護師は軽めな口調で裏に行った。近くの椅子に智弘は座る。隣に雪の車椅子をつけて。
「そういえば、智君学校はいいの?」
「今更だな。大丈夫。」
「なら良いけど・・。」
「お待たせ。雪君。体調は大丈夫ですか?」
「はい。大丈夫です。」
「じゃあ、気をつけてくださいね。」
看護師がよしっと言って立ち上がり
「智弘君よろしくね」
と腰に手をおいて笑って見送ってくれた。
智弘に車椅子を押され病院の外に出る。風が髪を揺らす。
「気持ちいい。」
「そうだね。」
目的はない。ただ外に出たかっただけ。
「近くの木陰に行こうか。」
智弘に連れられ少し離れた場所に移動して智弘は車椅子を停めた。ここは見晴らしが良くいい場所だ。智弘は車椅子の横に腰を下ろした。
「智君智君。僕も座りたい」
わがままを言う。智弘は立ち上がって雪を持ち上げ座らせた。
「わぁあすごい。」
久しぶりの草。まだ足が動けた時よく弥生と他2人と一緒にピクニックをしたことを思い出していた。
「懐かしいなぁ・・・」
「雪?」
「智君。ありがとう」
「俺は雪のためにならなんだってやるさ。」
智弘が雪のために。
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