今から君を守るのに理由が必要ですか・・？（仮）

真実

話は終わり

　「神瀬かみせ直也なおや。特別に白斗はくとは子供を産むために売られた子から外してやろう。だが、生徒ではない。お前が卒業をしたら白斗も男高から出してやる。そのあとは2人の好きにすればいい。」

　篠秋しのあきは直也の顔を見ずにそう言う。

　「もうそろそろ日が暮れる。ワシは帰るとするよ。白斗にまた顔を出すように言っておいてくれ。」

　篠秋が直也から離れようとした時。遠くから「おじいちゃん～」「お祖父様！」と2人の声が聞こえた。

　「弥生やよい。晃こう。」

　「おじいちゃん。日が暮れると冷えますよ。」

　弥生が篠秋の方に上着をかけた。直也の方を見てお辞儀をした。
　晃が近くに来る。

　「・・・神瀬君。お疲れ様。僕も知らなかった。お祖父様があんな優しい人だって。怖いと思ってたから。神瀬君。明日、学校あるからね。ちゃんと来て。」

　それだけ言って晃は2人の元に戻って行った。


　3人の体を夕日が照らす。暖かい家族の風景。直也はスマホを取り出して写真を撮っていた。
















　家に戻った直也はゆっくり扉を開けた。

　「・・くと。ごめんね。俺にはそれしか言うことができない。」


　泣いている白斗と白斗の手を握っている真斗まさと。直也は玄関の廊下で盗み聞くことしかできない。