今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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真実

大暴走

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 「ゆう・・・」

 どっからか夕姫ゆうひめの名前を誰かが呼んだ。夕姫はそれを聞いた瞬間、白斗以外を全員睨んだ。

 「・・・誰だ?」

 低い声が夕姫の口から出た。

 「俺と白斗様だけの呼び名を呼んだ人は誰だ?」

 低い低い。女じゃ出せないような声。

 「冗談では治らないことをした。誰だ!誰が!俺の名前を夕と呼んだ!ふざけんな!俺のことも知らないで!俺のことを知って!それでも夕と呼んでくれる白斗様を侮辱した!許さない!許さない!今すぐ!出てこい!」

 夕姫が叫ぶ叫ぶ。地団駄を踏み、顔を赤くして。

 「夕。」
 夕姫の耳に綺麗な声が聞こえる。夕姫にとってこれは神の声、音色。夕姫だけに効く子守唄。

 「だれだ・・俺のことを呼んだのは・・許さない・・俺は許さない・・」
 「夕。落ち着いて。夕。聞いて。夕は最後まで聞いてない。確かに声は小さかった。でも夕。夕姫ってちゃんと姫ってついていた。夕って誰も呼んでない。だから。だから。落ち着いて。僕は・・大丈夫だから。」

 「だい・・大丈夫?ってなにが?」

 「ほら、僕の声はどこから聞こえる?夕の近くから聞こえるでしょう?下を見て。」

 夕姫がゆっくり下を見る。白斗が夕姫に抱きついている。

 「白斗様?」
 「どうかした?」
 「なんで、俺は・・私は、なんで白斗様が私の胸にいるの?」 

 「夕。落ち着いた?」  
 「落ち着いたよ。落ち着いたから。白斗様。白斗様は私を止めたの?」
 「そうだよ。そうだよ。でも、夕。少しの間、大人しくしていて欲しいな。後で後でいっぱい、僕の良いところ聞くから。だから、少しの間、寝ていて欲しい。」




 夕姫の体から力が抜けた。
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