今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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やっぱりこの学校は

狂ってる

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 2人は肩で息をする。緊張と焦り、そして気持ちの確認。

 「ぬ、脱がすよ?」

 直也なおやの確認に白斗はくとは小さく頷く。

 2人顔は赤い。直也が白斗の服に手をかけた。



 『お客さんが来ました。お客さんがきま』



 「えっ?」

 2人はインターホンのモニターから音声がした。
 
 「誰か来た?」

 脱がされる直前での出来事。直也が手を慌てて離す。
 「俺、出てくるよ。」
 「うん、」

 少し気まずくなってしまった。


 直也がモニターで確認すると白衣を着た男の人だった。
 
 「あの、どちら様ですか?」
 モニターで声をかける。
 『おはようございます。都瀬みやせ白斗様の検査に伺いました。』
 「今日じゃないはずですが」
 『あれ?おかしいな。一旦スマホをご確認してもらってよろしいですか?』
 「少しお待ちください。」

 「直也?誰だった?」
 「なんか検査の研究員だった。でも、今日じゃないよね?」
 「うん。来週。」
 「スマホ持ってくる。」

 部屋からスマホを持って出てくる。
 
 「どうだった?」
 「さっき、来ていた。」

 またモニターの前に立って
 「5分前って遅くないですか?変わるなら早めに言ってもらいたかったです。」
 『それはすみません。こちらも事情というものがあるので。開けてもらっていいですか?』
 「開けます。」

 直也は研究員を家に入れた。

 「おはようございます。白斗様。」
 「おはようございます。」
 「では、身体検査を始めます。服を脱いでください。」
 「ここでですか?」
 「はい。何か問題でも?」
 「いえ。」

 白斗は服を脱いで上半身裸の状態になった。

 「いつも見てくれている人じゃないんですね。」
 「その方、今日忙しいみたいで急遽ワタシが行くことになったんです。」

 白斗の肌に触りながら言う。触っては何かを書いての繰り返し。腕を組んで直也はその様子を見ていた。

 「大丈夫そうですね。」
 「ありがとうございます。あの、名前を聞いてもいいですか?」
 「あぁ、自己紹介が遅れていましたね。ワタシは篠秋しのあき木緒きおと言います。」
 「しの、あき・・・って」
 「あぁ説明不足でしたね。篠秋と使っていますが、兄弟でも親子でもありませんよ。ボ、ゴホン。校長先生が苗字のないワタシに使えと貸してくれた苗字です。」

 白斗はホッと息を吐いた。

 「では、白斗様に出す薬はこれですね。」
 「?」
 「どうかしましたか?」
 「いつもと袋が違うので」
 「今日から白斗様には違うお薬を飲んでもらいます。」 
 「は、ハァ・・・」
 「ちょっと待ってください。」
 話に入っていなかった直也が声を上げた。
 「いつも飲んでいるのはどうするですか?」
 「辞めてもらいます。」
 「おか・・はつ研究員に確認を取ってもいいですか?」
 「どうぞ。」
 すぐに直也は葉に電話をかけた。
 「お母さん!どういうこと、薬が変わるなんって昨日一言も」
 『は?変わるわけないじゃない。』
 「えっ?」
 木緒と名乗った研究員をみる。 
 「変わってもらっても?」
 木緒は少し直也からスマホを借りた。
 「変わりました。篠秋木緒と言います。葉研究員。」
 2人が何を話しているかわからない。
 「ですから、校長先生の指示で」

 「そちらで確認を取ってもらっても?」
 
 「証明書は事前に送ったはずです。」

 
 数分間木緒の言葉をよく聞いていたが、よくわからなかった。
 その間に白斗は服を着ていた。
 
 「薬変わるんだね。葉さん知ってるって?」
 「知らなそうだけど」
 「葉さんがわからないのは怖いな。しかも篠秋っの。」
 

 まだ、完全にトラウマは治っていないみたいだ。
 それもそうか。

 「はぁ。ありがとうございます。」

 スマホを直也に返す。

 「今日はいつものを飲んでください。また代わり次第葉研究員から指示があると思います。はあ。校長が指示したって言ってんのに。」
 「分かりました。ありがとうございます。」


 木緒はバックから水を取り出した。

 「白斗様。お疲れでしょう。お飲みください。」
 「ありがとうございます。」


 ペットボトルのキャップを開けてて口に含もうとした瞬間白斗から水を奪った。
 「っ・・直也。どうしたの?」
 奪った時爪が唇にあったのか血が出てしまった。
 「ごめん。でも、これは飲まないで。今、水持ってくる。」
 「信用がありませんね。」
 木緒を無視して水を白斗に渡した。
 「・・信用ないに決まってるだろ?」
 いつもより低い声、睨んで言う。
 「現に、ほらっ」
 奪ったペットボトルの底を見せる。
 「うっ。」
 水は濁っていて、口に入れてはいけない気がする色をしていた。白斗は口を押さえた。
 「及第点ですかね。まぁ、任務はほぼ終わったのでいいんですけど。白斗様、さっきのペットボトルどこまで含みました?」
 「淵部分。」
 そう白斗が行った途端、木緒が大笑いし始めた。
 「あー面白い。いいね。ワタシはこれを求めていたよ。あー面白い。」
 「何をっ」
 「水は綺麗な普通の水だよ。あの濁りでもね。問題は・・」
 ククッと嫌な笑い方をする。
 「淵。淵に目的な薬が付着している。つまり白斗様は薬を飲んだってこと。」
 「触れただけですけど・・・」
 「触れてもワタシが作った薬は効果を出す。」
 「作ったって!どう言うことだよ。なんの薬を作ったんだよ!」
 「あー怖い。誘発剤ですよ。発情誘発剤。ですがいつもの誘発剤より何倍もの効果があります。なんせ超が✖︎40もついているんですから。」
 「はぁ?ってことは今、白斗の体は」
 「大丈夫ですよ。聞いてくるのは2時間後なので、楽しみに待っていてくださいね。それではワタシはこれで。失礼します。」

 木緒はそのまま何も言わずに帰って行った。

 「白斗!体はなんともないの?」
 「う、うん。今のところは。ごめんね。直也。」
 「なんで白斗が謝るの?悪いのはあの男だよ。気にしないで。それより、どうなるかわからないから体調の変化があったらすぐに言ってね。」
 「あっ、な、直也。」
 「ん?」
 「・・・っ。つ、続きしないの?」

 ギュッと手を握って下を向きながらいう。

 今直也がどんな顔しているのか白斗はわからない。

 「白斗。あんなことがあったんだ。無理しなくてもいいよ。」
 「無理なんってしてないっ」
 つい顔を上げてしまった。直也の顔は悔しそうな、悲しそうな顔をしていた。
 「直也・・。」
 「白斗。まだ時間はあるんだから。ゆっくり進めていこう。」

 直也が白斗の頭に手を置いて撫でた。

 「うん。そうだね・・・」
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