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やっぱりこの学校は
私が!
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「ごめんなさい。白音に男高を進めたのは私。今にして思えば、私は私しか考えていなかった。白斗君のこと全然考えていなかった。」
葉が頭を下げる。
「葉さん謝らないで。確かに、売られて悲しかった。でも、そのおかげで、僕はまた直也に会えた。父さんとも会えた。葉さんのおかげだよ。ありがとう。」
「そんなこと・・・ごめんなさい」
「うん。」
白斗はニコッと微笑んだ。そんな顔を見た葉は強張っていた顔を緩ませた。
「直木が生きてた・・直木が元気にしていた・・・直木がいた・・」
校長室を後にした槇は歩きながら顔を受けに上げそう呟いた。
顔を正面に戻して、外の扉を開けた。
扉を開けると、もうオレンジ色に染まられている空をしているが、まだ騒がしい男高がある。文化祭の最中。まだ。槇は目的なく歩く。歩くたび、目を擦る。
この人混みの中、1人泣いている人がいても気づかない。
屋台が並んでいる道を歩き続けて、やっと終わりが見えてきた。人混みを出た途端槇は駆け出した。
駆け出した槇が向かったのは直也達の家だった。急いでインターホンを鳴らす。何度も何度も。出てくるまで。
扉一枚挟んだ奥から「うるさい」と聞こえてくる。
「何?」
出たのは葉だった。
「葉。」
「なんのよう?槇がしたこと私、許してないよ。戻って来ていいと思ってるの?」
「葉さんー誰?」
遠くから白斗の声が聞こえた。槇が何か言おうとする前に「白斗君来なくていいよ。」と言ってしまった。
「葉。」
「何か言って。なんのようなの?」
「な、」
「な?」
「直木がいた・・」
そう言った瞬間葉が扉を大きく開け、外に急いで出る。そして辺りを見渡す。
「ここじゃない。校長室に。直木が職員としてここにいた。」
「なんで!」
葉が槇の胸倉を掴んだ。
「なんで、なんで私には会ってくれないの・・」
「葉。」
「私があの子を産んだんだよ!私にも合わせて!合わせてよ!槇!」
叫ぶ、外にいる男高の生徒がチラチラと2人を見て通り過ぎる。
「お母さん。近所迷惑だ・・・よ。お父さん!」
直也が来ていた。
「直也・・。」
「槇さん。お久しぶりです。」
白斗意外玄関に来ていた。真斗が来るなとリビングと玄関を繋ぐ扉を押さえていた。
「真斗・・。久しぶりだな。」
「何をしてるですか?入らないんですか?」
「・・・お母さん。お父さんのこと怒ってる?」
「怒ってるわよ!怒ってる・・・」
胸を掴んできた手をだんだん離していく。
「葉・・。ごめんな。」
「とにかく、今日は帰って。白斗君には合わせない。」
槇から視線を外そうした時、葉の手を槇が掴んだ。
「違うんだ。話を聞いてくれ。白斗君が?危ない。」
葉が頭を下げる。
「葉さん謝らないで。確かに、売られて悲しかった。でも、そのおかげで、僕はまた直也に会えた。父さんとも会えた。葉さんのおかげだよ。ありがとう。」
「そんなこと・・・ごめんなさい」
「うん。」
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「直木が生きてた・・直木が元気にしていた・・・直木がいた・・」
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顔を正面に戻して、外の扉を開けた。
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屋台が並んでいる道を歩き続けて、やっと終わりが見えてきた。人混みを出た途端槇は駆け出した。
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「何?」
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「葉。」
「なんのよう?槇がしたこと私、許してないよ。戻って来ていいと思ってるの?」
「葉さんー誰?」
遠くから白斗の声が聞こえた。槇が何か言おうとする前に「白斗君来なくていいよ。」と言ってしまった。
「葉。」
「何か言って。なんのようなの?」
「な、」
「な?」
「直木がいた・・」
そう言った瞬間葉が扉を大きく開け、外に急いで出る。そして辺りを見渡す。
「ここじゃない。校長室に。直木が職員としてここにいた。」
「なんで!」
葉が槇の胸倉を掴んだ。
「なんで、なんで私には会ってくれないの・・」
「葉。」
「私があの子を産んだんだよ!私にも合わせて!合わせてよ!槇!」
叫ぶ、外にいる男高の生徒がチラチラと2人を見て通り過ぎる。
「お母さん。近所迷惑だ・・・よ。お父さん!」
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「直也・・。」
「槇さん。お久しぶりです。」
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「真斗・・。久しぶりだな。」
「何をしてるですか?入らないんですか?」
「・・・お母さん。お父さんのこと怒ってる?」
「怒ってるわよ!怒ってる・・・」
胸を掴んできた手をだんだん離していく。
「葉・・。ごめんな。」
「とにかく、今日は帰って。白斗君には合わせない。」
槇から視線を外そうした時、葉の手を槇が掴んだ。
「違うんだ。話を聞いてくれ。白斗君が?危ない。」
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