145 / 567
最後の選択
必然
しおりを挟む
「二人共!白斗君を放っておいて勝手に取り合いしてないで。結局、決めるのは白斗君本人なんだから」
葉が机を叩く。直也は座り直して、真斗は咳払いをする。
「それで?白斗はどっちを選ぶ?」
真斗が白斗を見る。白斗はすぐに視線を下に移してしまう。
「まだこの顔になれないのか。そこまでは違うのか?」
自分の顔を触り言う。
「ぼ、僕は・・・選びたくない・・です。」
下を向いた白斗は服を掴んで言う。
「白斗!」
直也は立ち上がって声を上げる。葉が直也に「座りなさい」と言う。「でも」と直也が言うと葉は怒鳴った口調で「直也。座りなさい。」ともう一度言った。直也は「はい」と一言呟いて座った。
「白斗君。選びたくないのは選べないから?」
さっきとは打って変わって優しい口調で白斗に聞く。
「・・・選べない。」
白斗のその一言に言葉が出ない。
「白斗。それは前と同じってことでいいのか?」
真斗が白斗を見ている。真剣な目で。でも顔を上げる気配はない。
「・・・」
「前と同じで、何も答えなかったから白斗は白音と過ごすことになった。そして、実の母親に売られた。それで良かったのか?」
「良くない、良くないよ。でも、僕には選べない。・・・直也と卒業するまで一緒にいると約束した。でも、やっぱり、売られた僕といるよりはちゃんと男高の生徒と一緒にいた方がいんだよ。父さんとだって一緒に暮らしたい。でも・・・また痛い思いをしそうで・・・怖い。」
直也と真斗に対する白斗の本音だった。夜丘が代弁した本音ではなく、白斗の本当の本音だった。
「うん。白斗君その通りだよ。」
この場に合っていない口調だった。
「私も、思っていたことがあったんだよね。」
と葉は立ち上がる。
「白斗君は直也に怯え過ぎ。真斗に怯えるのはわかるよ。でも直也には怯えなくていいと思う。」
白斗の肩に手を置いて
「白斗君。直也も私も、槇も言って来なかったことがあるんだ。白斗君は売られて、直也が婚約者になったのは偶然だと思う?」
「・・・僕が売られたと知って直也が立候補したんじゃ?」
「実はね。元々知っていたの。白斗君が売られること。真斗と離婚した後、白音が一人で、売ることを決めると思う?私に、相談していたの。私は男高には直也がいることを知っていたから。私から男高に売りなって言ったも同然ね。直也にも連絡を入れて、婚約者になりたいなら早めに立候補しておきなさいって。だから、偶然じゃないの。必然って言ったらおかしいかもしれない。」
葉は「ごめんなさい」と最後に言う。ても、思っていないような気がした。
「じゃあ、直也は僕のこと婚約者にしたいとは思っていなかった?」
「白斗君。さっき言ったよ。直也には『婚約者になりたかったら早めに立候補しておきなさい』って。だから婚約者になったこと自体は直也の意思。」
「白斗。俺はずっと白斗のことが好きだよ。今も。だから、あの時の約束は卒業までだけど、ずっと一緒にいてほしいの。」
直也の真剣な言葉に顔に白斗は強い罪悪感を覚えてた。
葉が机を叩く。直也は座り直して、真斗は咳払いをする。
「それで?白斗はどっちを選ぶ?」
真斗が白斗を見る。白斗はすぐに視線を下に移してしまう。
「まだこの顔になれないのか。そこまでは違うのか?」
自分の顔を触り言う。
「ぼ、僕は・・・選びたくない・・です。」
下を向いた白斗は服を掴んで言う。
「白斗!」
直也は立ち上がって声を上げる。葉が直也に「座りなさい」と言う。「でも」と直也が言うと葉は怒鳴った口調で「直也。座りなさい。」ともう一度言った。直也は「はい」と一言呟いて座った。
「白斗君。選びたくないのは選べないから?」
さっきとは打って変わって優しい口調で白斗に聞く。
「・・・選べない。」
白斗のその一言に言葉が出ない。
「白斗。それは前と同じってことでいいのか?」
真斗が白斗を見ている。真剣な目で。でも顔を上げる気配はない。
「・・・」
「前と同じで、何も答えなかったから白斗は白音と過ごすことになった。そして、実の母親に売られた。それで良かったのか?」
「良くない、良くないよ。でも、僕には選べない。・・・直也と卒業するまで一緒にいると約束した。でも、やっぱり、売られた僕といるよりはちゃんと男高の生徒と一緒にいた方がいんだよ。父さんとだって一緒に暮らしたい。でも・・・また痛い思いをしそうで・・・怖い。」
直也と真斗に対する白斗の本音だった。夜丘が代弁した本音ではなく、白斗の本当の本音だった。
「うん。白斗君その通りだよ。」
この場に合っていない口調だった。
「私も、思っていたことがあったんだよね。」
と葉は立ち上がる。
「白斗君は直也に怯え過ぎ。真斗に怯えるのはわかるよ。でも直也には怯えなくていいと思う。」
白斗の肩に手を置いて
「白斗君。直也も私も、槇も言って来なかったことがあるんだ。白斗君は売られて、直也が婚約者になったのは偶然だと思う?」
「・・・僕が売られたと知って直也が立候補したんじゃ?」
「実はね。元々知っていたの。白斗君が売られること。真斗と離婚した後、白音が一人で、売ることを決めると思う?私に、相談していたの。私は男高には直也がいることを知っていたから。私から男高に売りなって言ったも同然ね。直也にも連絡を入れて、婚約者になりたいなら早めに立候補しておきなさいって。だから、偶然じゃないの。必然って言ったらおかしいかもしれない。」
葉は「ごめんなさい」と最後に言う。ても、思っていないような気がした。
「じゃあ、直也は僕のこと婚約者にしたいとは思っていなかった?」
「白斗君。さっき言ったよ。直也には『婚約者になりたかったら早めに立候補しておきなさい』って。だから婚約者になったこと自体は直也の意思。」
「白斗。俺はずっと白斗のことが好きだよ。今も。だから、あの時の約束は卒業までだけど、ずっと一緒にいてほしいの。」
直也の真剣な言葉に顔に白斗は強い罪悪感を覚えてた。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。



男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる