今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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最後の選択

必然

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 「二人共!白斗はくと君を放っておいて勝手に取り合いしてないで。結局、決めるのは白斗君本人なんだから」
 はつが机を叩く。直也なおやは座り直して、真斗まさとは咳払いをする。
 「それで?白斗はどっちを選ぶ?」
 真斗が白斗を見る。白斗はすぐに視線を下に移してしまう。
 「まだこの顔になれないのか。そこまでは違うのか?」
 自分の顔を触り言う。
 「ぼ、僕は・・・選びたくない・・です。」
 下を向いた白斗は服を掴んで言う。 
 「白斗!」
 直也は立ち上がって声を上げる。葉が直也に「座りなさい」と言う。「でも」と直也が言うと葉は怒鳴った口調で「直也。座りなさい。」ともう一度言った。直也は「はい」と一言呟いて座った。

 「白斗君。選びたくないのは選べないから?」
 
 さっきとは打って変わって優しい口調で白斗に聞く。
 「・・・選べない。」

 白斗のその一言に言葉が出ない。

 「白斗。それは前と同じってことでいいのか?」
 真斗が白斗を見ている。真剣な目で。でも顔を上げる気配はない。
 「・・・」
 「前と同じで、何も答えなかったから白斗は白音しろねと過ごすことになった。そして、実の母親に売られた。それで良かったのか?」
 「良くない、良くないよ。でも、僕には選べない。・・・直也と卒業するまで一緒にいると約束した。でも、やっぱり、売られた僕といるよりはちゃんと男高の生徒と一緒にいた方がいんだよ。父さんとだって一緒に暮らしたい。でも・・・また痛い思いをしそうで・・・怖い。」

 直也と真斗に対する白斗の本音だった。夜丘やおかが代弁した本音ではなく、白斗の本当の本音だった。

 「うん。白斗君その通りだよ。」

 この場に合っていない口調だった。
 「私も、思っていたことがあったんだよね。」
と葉は立ち上がる。
 「白斗君は直也に怯え過ぎ。真斗に怯えるのはわかるよ。でも直也には怯えなくていいと思う。」
 白斗の肩に手を置いて
 「白斗君。直也も私も、てんも言って来なかったことがあるんだ。白斗君は売られて、直也が婚約者になったのは偶然だと思う?」
 「・・・僕が売られたと知って直也が立候補したんじゃ?」
 「実はね。元々知っていたの。白斗君が売られること。真斗と離婚した後、白音が一人で、売ることを決めると思う?私に、相談していたの。私は男高には直也がいることを知っていたから。私からって言ったも同然ね。直也にも連絡を入れて、婚約者になりたいなら早めに立候補しておきなさいって。だから、偶然じゃないの。必然って言ったらおかしいかもしれない。」
 葉は「ごめんなさい」と最後に言う。ても、思っていないような気がした。
 「じゃあ、直也は僕のこと婚約者にしたいとは思っていなかった?」
 「白斗君。さっき言ったよ。直也には『婚約者になりたかったら早めに立候補しておきなさい』って。だから婚約者になったこと自体は直也の意思。」

 「白斗。俺はずっと白斗のことが好きだよ。今も。だから、あの時の約束は卒業までだけど、ずっと一緒にいてほしいの。」

 直也の真剣な言葉に顔に白斗は強いを覚えてた。
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