今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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最後の選択

容赦

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 「五碌ごろく生徒会長?」
 なぜここに会長がいるのか理解できていない。
 「都瀬みやせ白斗はくと君。お久しぶりですね。また呑気に男高の敷地を歩いて、はぁ、男高は生徒が『通う』学校ですよ。貴方は男高の生徒じゃない。貴方が敷地を歩く権利ないんですよ。分かったなら、今後、歩かないでもらいたい。男高の評価が落ちてしまう。」
 白斗の前を行ったり来たりしながら言う。
 「すみません・・・誘われた・・・
 「誘われたから?笑わせないで欲しいですね。誘われていても貴方には言うべき言葉があるはずですよ。『僕は男高の生徒じゃないので誘われても行きません』じゃないんですか?」
 「っ・・・」

 白斗は顔を顰めた。

 「五碌錦生徒会長。その辺にしてくれませんかね?」
 イラついているのか声が低い。真斗まさとは手を握り締めていた。五碌は真斗の方を向いた。
 「ひっ・・・」
 小さな悲鳴が聞こえた。
 「八代やしろ先生は何に怒っているのですか?」
 笑う。嘲笑うように真斗と白斗に対して笑う。
 「お前の言動そのものだ。」
 「あー、怖い、怖い。分かりましたよ。私は生徒会の仕事があるのでこれで失礼しますよ。」
 そう言って白斗のほうを振り返り、耳元に近づいた。今度はわざと聞こえるように
 「2度と男高の敷地でお前を見つけたら容赦しないからな」
と。そのままそうを連れて研究室から出て行ってしまった。直也なおやは爽に声をかけることができなかった。

 「真斗・・・」
 はつが手を伸ばして触れようとするが引っ込めた。真斗が葉のことを見ていた。その顔は葉が見たことのない顔だけど、どこか優しそうに見えてしまったから。

 「ほ、本当に・・・本当に?」
 
 真斗は白斗から『父さん』と呼ばれていたと言っただけど今の白斗は真斗のことを『お父さん』と呼ぶ。

 「・・・違く見えるのか?」
 「は、はい。」
 「そうか。もう俺を父さんとは言えなくなったか?」
 「・・・よ、呼べます。声がだから。」

 「目を合わせたくないか?」
 「・・・こ、怖いです。」
 下を向いている白斗は顔を上げようとしない。
 葉から白斗に視線をうつして「白斗」と呼びかける。その度に肩がビクッと上がる。

 
 「えっ?」

 近くに来た真斗は白斗を。その行動にびっくりしたのか顔を上げた。

 「ごめん。白斗。」
 「え、う、うん。だい、大丈夫だよ。僕は。」
 
 抱きしめられることに慣れていない白斗は戸惑っている。それでも真斗は離さない。

 「父さん。僕に会いに来てくれてあ、ありがとう。」
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