今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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最後の選択

緊張

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 「直也。今日はなんだか落ち着きがないね」
 一緒に回ってる円堂えんどうそうが直也に言う。

 「そ、そうかな?」
 「そうだよ。言葉が吃ってる。」
 「気のせいだよ・・・」
 「目が泳いでるぞ。直也。俺は騙せないぞ。こい」

 爽に連れてこられて人気のない場所に来た。

 「白斗はくと君の件だろ?」
 「ま、まぁね」
 「今度はなんだ?文化祭一緒に回れてないことに何か関係しているのか?」
 「それは関係ないよ。」
 「それは?」
 「・・・明日。」 
 「明日?明日は月曜日だ。それで文化祭代休で休みだ。」
 「そう。そこで、白斗と今後のことを話し合うんだ。」
 
 もじもじしながら答える。

 「そうか。」
 「そうかって!緊張するだろ。もしかするとそう言う雰囲気になるかもしれないし・・・」
 「初心か!待って、・・・お前、モテるのにまさか」
 「そうだよ。俺、童貞。白斗以外って考えられないんだもん。」
 「だもんって。それなのに白斗君とやりたくないって?矛盾してないか?」
 「いざってなると、どうしていいか」
 「まさか男高1のモテ男がまだ、なにも起きてないとは。」

 呆れているのか分からないが爽はため息をついた。

 「なら、白斗君も童貞なんだろう?」
 「・・・・」
 「えっ、違うっ・・・そう言うことか。悪い、あまり踏み込まれなくないところだな」
 「あっ、え?待って待って、ごめん。質問聞いてなかった。考えごとしてて。」
 「白斗君も童貞なんだろう?」
 「・・・」
 直也は苦笑いをして首を横に振る。
 「白斗は男高に来て1回、襲われた。」
 「ごめん、やっぱり踏み込むべきじゃないな。」
 「うんん。俺も白斗ももう、吹っ切ったよ。」
 「そっか。直也。辛かったな」
 「そこまでじゃないよ。」

 さすがに長くここにいたら怪しまれると2人は文化祭に戻った。

 「あ、そうだ。白斗にお土産買っていかないとなんだ。何がいいかな。文化祭の定番は、焼きそば、クレープ。かな?」
 「何言ってるの?ここは直也のお店の料理でしょう。食べてもらいたかったんでしょう。」

 2人は直也のクラスに行く。

 鵺瀬やせに手伝ってもらった紙のステンドグラスが人気だ。

 「あ、直也君。もういいの?」
 クラスの1人が駆け寄ってそう言う。

 「あの。無理ならいいんだけど持ち帰りって出来る?」
 「えー、えっとー」
 「こいつの大好きな人にお土産で渡したいんだって」
 爽が助け舟を出してそう言ってくれた。
 「直也君の!待って学級委員に説得してくるね。」
 「聞いてくるじゃなくて説得してくるだから良かったね直也。」
 見るからに照れている直也。
 「照れ照れしちゃって。」

 席に案内され座っていると。さっきのクラスメイトが来て「直也君。学級委員が、倍のお金払うならと・・・」と申し訳なさそうに言う。直也は頷いて。
 「払うよ。」
 「分かった。何がいい?」

 直也はメニューを開いて読む。

 「・・・」
 「俺は、オムライスちょうだい。」
 「はい。」
 「直也。はく・・・彼のとこに親いるんでしょ。その人たちの分も買っていけば?」
 「そうだな。ありがとう。じゃあ注文いいかな?カレーライスとグラタン、シチューをお願いできる?」
 「ご注文繰り返しますね。オムライス1つとカレーライス、グラタン、シチューを1つずつ。以上で大丈夫ですか?」
 「直也。自分の分はいいの?」
 「うん!」

 爽の目から見て直也は嬉しそうに頷いていた。

 クラスメイトがお辞儀して奥に消えて行った。

 「爽。さっきは白斗の名前出さないでくれてありがとう。」
 「いや。出しそうになったから、悪い。」
 「うんん。できるだけ白斗の名前は広めなくないんだ。顔は多分広まっているけど。」

 そんな会話していると、教室に人が集まって来た。

 何人かが直也たちの席に来た。

 「神瀬かみせ直也君。お話伺ってもいいかな?」
 「新聞部・・・」
 爽がポツリと呟く。

 「そんなことしてる暇、俺にはない。」
 「神瀬直也。これは大事なインタビューよ。逃げないでもらいたい。」
 
 長い髪を払う。

 「飲食店で長い髪を払うのは礼儀がなっていないと思うが?そんぐらい長いのならまとめて欲しい。」
 長いとは、床につきそうなぐらいのこと。現に、直也の横で食べていた人は彼のことを睨んでいた。食べ物に髪でも着いたのだろう。
 「後ろを見てみろ。」
 そう直也が言うと、髪を前に持って来ながら後ろを振り返った。
 「何をそんなに怒っているんだ?」
 「あのさ!髪がオレ達のご飯の上に乗ったんだけど、」
 「それがどうしたと言うんだ?そこで食べている貴様が悪い。」
 「・・・」
 直也は立ち上がってキッチンの方に行った。
 「神瀬直也。逃げるのか?」
 何も言わずに進む。

 「あの。」
 「直也君?」
 「注文した料理、ここに運んでくれないかな?」
 クラスメイトに一枚髪を渡す。

 「わかりました!」
 察したのかすぐに会計に入ってくれた。

 2倍の代金を払い。教室を後にした。まだ店の中で喧嘩をしていたが、無視をした。

 「直也。」
 空気になっていた爽が追いかけて来た。

 「悪い爽。」
 「うんん。届くのどこなの?」
 「俺の家。爽のも届くと思うし、俺ももう帰ろうかなって思ってるんだけど。爽。家来る?」

 「いいの?」
 「うん。」
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