今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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君のために

私の・・・俺の幼馴染(1)

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 私、篠秋しのあき 弥生やよいにはこの世で最も死なせてはいけない幼馴染がいた。
 まだ私がこの学校の生徒で、私には手に負えない存在が輝いていた頃。

 「篠秋。」

 私を苗字呼びをする男。懐かしくて涙が出そうだ。でも出ないのも事実。あの頃から私は泣けなくなっていた。

 「篠秋?」

 反応しない私の顔を覗き込む。久しぶりに彼の顔を見た。
 
 「篠秋!」
 
 とうとう痺れを切らした彼は私の肩に手を置いて私を揺らす。

 「篠秋~」

そう何度も、私が反応するまでの間。

 「なに?」

 やっと反応した私を彼は嬉しそうな目で「やっと反応した~」と言うのだ。これがあの頃の日課。

 そんな会話をしているともう2人、声がする。

 「弥生」「弥生さん」

 この2人はどっちも名前で呼ぶ。

 「おはよう。」
 
 そう彼は2人に言う。2人も「おはよう」と返す。

 「弥生。またこいつにちょっかい出されたのか?」
 
 私には眩し過ぎる2人は彼を睨む。でもその睨みには怒りが一切籠っていない優しい睨み。

 「篠秋が反応してくれないんだよ~」
 
 泣くふりをしながら「さん」をつけた男の方へ駆け寄る。苦笑いをしながら彼の頭を撫でる。

 「・・・あ、ごめん」

 彼は何かを思い出したのかすぐに離れる。

 この時2人の間には子供がお腹にいた。

 2人目と聞いた。1人目は学校側に取り上げられた、今度は私達が育てたいと笑顔で話してくれた。

 私は・・・俺は2人と彼に嘘をついている。

 俺は同い年ではない。3歳年上だった。

 留年ではない。男高に入ったのが3年遅かっただけ。

 男高の校長は俺の祖父だ。俺が・・・なんとなく言ったことを現実にした。男高の発案者は俺だ。

 それが経ったの19年で完成してしまったことに俺は酷く後悔した。

 まだ男高が出来て一年もしない頃は、方針が全く決まっていなかった。無差別に薬を投入する事件が起こった。

 薬が合うか合わないか、それを調べていなかった。

 数多くの生徒が体調不良に見舞われた。

 それから3年後、やっと今の状態の基礎ができた。

 基礎ができてからはもう名門学校として名を馳せていた。


 子供を産むための学校。


 幼馴染は、俺の幼馴染はもう成長しない体になった。

 あれはのせいだ。

 あんなこと言わなければ・・・

 
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