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君のために
『君のために』出来ること(1)
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「直也!」
俺を呼ぶ愛しい声が聞こえる。
「白斗?なんで・・」
俺はお母さんのスマホを床に落として白斗を抱き締めた。
「直也が遅いからっ槇さんにお願いした。そしたら直也が追い詰めた顔してたから・・また、僕のせい?」
俺は全力で首を横に振る。
「ち、違う。白斗の白斗のせいじゃない。」
様子を見て葉はふっーっと息を吐きニコッと笑った。直也が落としたスマホを拾う。まだ画面には通話中という文字。
「白音」
葉がスマホをスピーカーにして通話相手の名前を呼ぶ。
「葉・・・。今話しているのは白音さんなのか?」
「槇・・・。静かにして」
そう言われて槇はうぐっと黙った。
「お母さん?」
「白斗!」
スマホを受け取ろうと手を伸ばした白斗を直也は止める。
「お母さんなの?お母さん!」
直也の腕の中で白斗は声を上げる。
『は、白斗・・・ごめんなさい』
「お母さん!お母さん!」
スマホはつぅーと言う音がした。
「お母さん・・・」
「白斗。」
「直也、どうしてお母さんと話してたの?」
「白斗君、これには深い訳があるの。」
「葉さんには聞いてない。」
「俺からも聞きたい。葉。」
「槇まで・・・直也。勝手にしなさい。私は話した方がいいと思うわ。」
直也は黙ったまま白斗をギュッと強く抱き締める。白斗が直也を見上げると。白斗はギョッとした。
「直也、なんで泣いてるの?」
直也の頬に手を伸ばして涙を拭う。
「白斗が、売られた理由お金じゃない気がしてお母さんに協力してもらったの。ごめんね。勝手に」
「・・・じゃあ」
「?」
「じゃあ、僕が売られた理由はなんだったの?」
「・・・・」
「白斗君。はい」
葉は白斗にスマホを渡す。白斗はつい受け取ってしまった。画面には『白音』と書いてあった。
『も、もしもし葉さん?まだ何か用ですか?』
スマホを耳に当てた白斗の目から大量の涙が溢れて来た。
「お、お母さん・・・」
『っな、』
「お母さん、僕。お母さんのこと大好きだよ。」
『何をっ』
「お母さんは・・・僕のこと嫌いだった?」
『・・・・・好きだった』
「うっ、」
『白斗。貴方を愛していた。真斗さんとして・・貴方は私の真斗さんだった。私の夫。夫の面影があるから心配して、世話していた。』
白斗の目から涙が止まらない。言葉が出ない。
これは嬉しいんじゃない。
これは・・・
「白斗・・・白斗。」
『詳しく知りたいなら直也君に聞きなさい。葉さんに言っておいてもう掛けて来ないでと。白斗。バイば・・・
「お母さん。ごめんなさい。僕が生まれてきてしまってごめんなさい。お母さんとお父さんが離婚に至ったのも僕のせい。ごめんなさい。お母さん。お母さん。僕は大好きだよ。今もこれからもお母さんのこと。大好きだから・・・ごめんなさい」
スマホを耳から離して両手を床についた。葉は白斗の側に置いてあるスマホを持ち上げた。
「白音、お前はバカだよ。息子の言葉を聞かないで。自分だけ逃げた。お前にとって白斗はそれだけってこと。白音は選択を間違った。それは覚えておいてね」
『_________』
「ああああ。」
僕が生まれてこなければ・・
僕が、僕が
「あああああああああああっああ。」
白斗は叫んだ。
白音は聞く。聞いた。白斗の叫び声をを。
俺を呼ぶ愛しい声が聞こえる。
「白斗?なんで・・」
俺はお母さんのスマホを床に落として白斗を抱き締めた。
「直也が遅いからっ槇さんにお願いした。そしたら直也が追い詰めた顔してたから・・また、僕のせい?」
俺は全力で首を横に振る。
「ち、違う。白斗の白斗のせいじゃない。」
様子を見て葉はふっーっと息を吐きニコッと笑った。直也が落としたスマホを拾う。まだ画面には通話中という文字。
「白音」
葉がスマホをスピーカーにして通話相手の名前を呼ぶ。
「葉・・・。今話しているのは白音さんなのか?」
「槇・・・。静かにして」
そう言われて槇はうぐっと黙った。
「お母さん?」
「白斗!」
スマホを受け取ろうと手を伸ばした白斗を直也は止める。
「お母さんなの?お母さん!」
直也の腕の中で白斗は声を上げる。
『は、白斗・・・ごめんなさい』
「お母さん!お母さん!」
スマホはつぅーと言う音がした。
「お母さん・・・」
「白斗。」
「直也、どうしてお母さんと話してたの?」
「白斗君、これには深い訳があるの。」
「葉さんには聞いてない。」
「俺からも聞きたい。葉。」
「槇まで・・・直也。勝手にしなさい。私は話した方がいいと思うわ。」
直也は黙ったまま白斗をギュッと強く抱き締める。白斗が直也を見上げると。白斗はギョッとした。
「直也、なんで泣いてるの?」
直也の頬に手を伸ばして涙を拭う。
「白斗が、売られた理由お金じゃない気がしてお母さんに協力してもらったの。ごめんね。勝手に」
「・・・じゃあ」
「?」
「じゃあ、僕が売られた理由はなんだったの?」
「・・・・」
「白斗君。はい」
葉は白斗にスマホを渡す。白斗はつい受け取ってしまった。画面には『白音』と書いてあった。
『も、もしもし葉さん?まだ何か用ですか?』
スマホを耳に当てた白斗の目から大量の涙が溢れて来た。
「お、お母さん・・・」
『っな、』
「お母さん、僕。お母さんのこと大好きだよ。」
『何をっ』
「お母さんは・・・僕のこと嫌いだった?」
『・・・・・好きだった』
「うっ、」
『白斗。貴方を愛していた。真斗さんとして・・貴方は私の真斗さんだった。私の夫。夫の面影があるから心配して、世話していた。』
白斗の目から涙が止まらない。言葉が出ない。
これは嬉しいんじゃない。
これは・・・
「白斗・・・白斗。」
『詳しく知りたいなら直也君に聞きなさい。葉さんに言っておいてもう掛けて来ないでと。白斗。バイば・・・
「お母さん。ごめんなさい。僕が生まれてきてしまってごめんなさい。お母さんとお父さんが離婚に至ったのも僕のせい。ごめんなさい。お母さん。お母さん。僕は大好きだよ。今もこれからもお母さんのこと。大好きだから・・・ごめんなさい」
スマホを耳から離して両手を床についた。葉は白斗の側に置いてあるスマホを持ち上げた。
「白音、お前はバカだよ。息子の言葉を聞かないで。自分だけ逃げた。お前にとって白斗はそれだけってこと。白音は選択を間違った。それは覚えておいてね」
『_________』
「ああああ。」
僕が生まれてこなければ・・
僕が、僕が
「あああああああああああっああ。」
白斗は叫んだ。
白音は聞く。聞いた。白斗の叫び声をを。
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