今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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君のために

真相

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 『・・・』
 電話の向こうで躊躇っている白音しろねがいる。
 「貴方には白斗を育てられなかったんですか?」
 『簡単に言ってしまえなそう言うことです。でも詳しく知りたいんですよね?』
 「はい。」
 『・・・白斗にはお金問題でって伝えた。でも、お金は関係ない。祖父の会社だって倒産してない。私は夜仕事を始めてない、祖母は変な場所に通うようになってない。直也君に白斗が話したことは私が伝えた嘘です。』
 「なぜ・・・」
 『白斗に本当のことを言うのは私には無理だと思ったからです。』
 「じゃあ教えてください。白斗ではない俺に。俺のお母さんの電話に出たのだから少なからず聞かれると思うはずです。」
 『神瀬家の人達には敵いませんね。直也君。このこと受け止めてくれますか?』
 「受け止めます。」
 そうして白音は最初に『ごめんなさい』と呟いてから話し始めた。













 白音が白斗を売ることを決めたのは小学5年生の時。この時から売る決断をした。だから白斗には祖父の会社が倒産、その代わり白音が夜の仕事をしなくてはいけない。倒産して悲しんでいる祖母の世話をしてと白斗に言った。小学5年だった白斗は白音を心配して「家事も、おばあちゃんのお世話も僕に任せてお母さんはお仕事頑張って」とそう言った。
 離婚して父親は5年生に上がる時にはいなかった。
 離婚が原因ではない。白斗を売ったのは・・・

 『

 『4年生に白斗が上がった時から私の中にダメな感情が湧いて来てしまったんです。』

 『あの子に愛されたい、親子ではなく、私の・・・夫として愛されたいと』

 『あいつに・・私の大好きだったあいつに似て来た白斗を私は。』

 『だから・・・遠ざけるために白斗を売った。今の現校長に提案を持ちかけた。』

 『白斗もあいつも昔から魅力的だった。2人が一緒に歩けば人々の視線は2人に集まる。それを利用したんです。私、はつさんとてんさんが男高の従業員であると言うことを知っていましたし、どんなことをやっているかも知っていました。だから、薬についても知りました。その薬を飲めば男高の男どもは白斗に惹かれるしかないだろって、そう思って校長に会いに行ったんです。』

 『そしたら一生男高にいる代わりにと買ってくださったんです。』


 喋り終わったのか白音は黙った。

 「・・・・なんだよそれ・・・意味分かんないですよ。息子を愛した?暴力を振ってくるあいつと似て来た息子を?」
 『・・・』
 「なんで・・・白斗は貴方のこと大好きだったのに・・・」
 『それはきっと勘違いです。』
 「なんで、なんで・・・こんなのないよ・・・」
 葉の方を見て涙を流した。葉は静かに目を閉じて「それが白音の決断だったのよ」とそう呟いた。





 「・・・くそ!」

   








 
 「直也!」
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