今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

文字の大きさ
上 下
56 / 550
君のために

間違った選択

しおりを挟む
 白斗はくとに次の休みの日に練習しようと言われた。そんなこと言われてしまい俺は授業に集中できないでいた。
 「直也くん~。」
 クラスの男子が甘い声を出して近づいて来た。
 「なに?」
 「今日さー、クラスのみんなでカラオケ行くことになったんだけど行く~?」
 「・・いかな・・・すぐ帰るけど行っていい?」
 直也は少し考えてそう言う。すると甘い声を出して来た男子生徒は後ろを振り返って「直也くん。行くって!」と甘い声ではない声でクラス内に言う。すると身だしなみをみんな気にしだす。いろんなところから
 「ここで狙わないでいつ狙うの」 
 「夫いるけど、一妻多夫婚いっさいたふこんが禁止なんってどこに書いてないから良いよね。」
 など俺が狙われていることを改めて感じる。

 白斗が言っていた練習のことも忘れられる気がした。








   


 放課後。クラスメイトに後で行くと伝え、最初に職員室に向かった。
  
 「失礼します。神瀬かみせです。」
 「ああ、神瀬君。こっちこっち。」
 担任が遠くから声を上げる。
 「入って入って」
 「ここは」
 「職員用の会議室。神瀬君に会いたいって言う方がいるんだ」
 「は、はぁ」
 扉を開けると、髪は長く、後ろで器用にまとめられている。顔立ちは中性的でどちらかわからないが、ここは男高なため男だろう。体は肩幅が広く、男だと言う答えを出していた。その人は俺が入ると同時に立ち上がる。
 「お初にお目にかかります。篠秋しのあき 弥生やよいです。」
 「篠秋 弥生・・・手紙の!」
 「そうです。」
 「もう少し歳をとっている方だと思っていました。」
 「よく言われます。会長なのに若すぎると」
 「2人とも座りになって、今、お茶持ってくるから」
 担任がどこか楽しそうに会議室を後にする。
 「失礼します。それで、要件とは?」
 「その前に聞きたいことがあるのでは?」
 「え?」
 「あ、失礼。私、人を観察することが好きで、」
 「・・・2つ質問いいですか?」
 「是非」
 「・・・担任とはどう言う関係ですか?」
 「あの子は・・・そうだね。正直に言う。あの子は私の息子だ。」
 「口調が・・」
 「君も素で話してくれ、うわべだけの礼儀はいらないよ。」
 「・・・分かりました。では、質問をなんこか追加させてください。」
 「・・・」
 目の前にいる会長は静かに頷く。
 「女性なら失礼ですが、男ですから、答えてください。年齢は?」
 「君はすごいな。顔で判断しか?体か?」
 「俺が判断したのはこの学校です。」
 「この学校が男高だからか。答えよう、私は35歳だ。」
 「では、担任は?」
 「あの子は23歳だ。」
 「夫か妻は?」
 「いない。・・・結論から言う。あの子は孤児だ。血の繋がりはない。」
 「ありがとうございます。」
 「次の質問は?」
 「これは単に気になってるだけなんですけど、俺の母親と父親とは仲がいいんですか?」
 「・・・レベルが違い過ぎるって言う感じかな?」
 「?」
 「はつてんは私にとって上の存在、神に等しいかな。」
 「逆かと思ってました。」
 「2人は私のことを同等と捉えてくれているが私には手を伸ばしても掴めない存在に見える。神瀬君もだよ。私はいくら手を伸ばしても君達には届かない。」
 手を伸ばして俺を掴もうとするが自ら掴まず引っ込める。

 
 それからいくつかの質問をした。

 「こっちらからも良いかな?白斗君のことについてだ。いつ、行為をするだ?」
 「・・・やりますから、口を出さないでもらいたい。」
 「分かった。結果を待ってることにするよ。それでは私は忙しいから帰るとする。神瀬君。またお話ししよう。」
 俺は立ち上がってお辞儀をした。
 「あれ?ヤヨちゃん帰っちゃうの?」
 「ごめんね。お仕事残っているの。」
 「分かった。これは神瀬君と僕で飲むね。」
 「そうしてくれ。」
 担任との話が聞こえた。担任の意外な一面を見た気がする。
 
 数分担任とお茶をして、クラスメイトの元に行った。

 「待ってたよ~直也くん。」
 
 それから18時になるまで、男子の自慢話や付き合うメリットについて聞かされた。
 時計を見るとそろそろ19時になるところだったから俺は「もう帰る」と一言言うと「捕まえろ」と誘って来た男子が命令する。それと同時に両腕両足を捕まえられた。
 「帰っても良いって言ったのに!」
 「良いとは言ってない。直也。最後まで付き合ってもらうからな。」




   






 結局、帰ることができたのは21時を過ぎた頃だった。
 「た、ただいまー、白斗?」
 リビングに行くとソファで寝ている白斗がいた。机の上にラップがしてある夕飯が目に入った。二つとも食べ終わっていなかった。
 「待っていたのか。ひどいことしちゃったなぁ。ごめんね白斗。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

なんで俺の周りはイケメン高身長が多いんだ!!!!

柑橘
BL
王道詰め合わせ。 ジャンルをお確かめの上お進み下さい。 7/7以降、サブストーリー(土谷虹の隣は決まってる!!!!)を公開しました!!読んでいただけると嬉しいです! ※目線が度々変わります。 ※登場人物の紹介が途中から増えるかもです。 ※火曜日20:00  金曜日19:00  日曜日17:00更新

越えられない壁で僕らの幸せは・・・

綾瑪 東暢
BL
 繋家に産まれた繋 志飛(つなぎ しと)は男だった。残念なことに繋家に男は不要だった。両親は初めての子供だと言うことで志飛を女として育てることにし繋 志綾(つなぎ しあ)と名前を変えた。  繋家と違って女を不要としている要家。要家とはお隣同士の家であり両家の決まりで必ず繋家と要家の子供同士は結婚しないといけなかった。  それは伝統で昔からやって来ていること。誰も変えることの出来ない伝統。  要家の三男として要 荼泉(かなめ とい)が産まれた。  この流れで行くと荼泉と志綾は結婚することになる。が、どっちらも男。  伝統を守り、性別を隠しながら結婚するのか、伝統を破り、性別を明かして追い出されるか・・・

王道にはしたくないので

八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉 幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。 これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

弟が生まれて両親に売られたけど、売られた先で溺愛されました

にがり
BL
貴族の家に生まれたが、弟が生まれたことによって両親に売られた少年が、自分を溺愛している人と出会う話です

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

嫌われものの僕について…

相沢京
BL
平穏な学校生活を送っていたはずなのに、ある日突然全てが壊れていった。何が原因なのかわからなくて気がつけば存在しない扱いになっていた。 だか、ある日事態は急変する 主人公が暗いです

処理中です...