今から君を守るのに理由が必要ですか・・?(仮)

綾瑪 東暢

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欲発剤

思ってること

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 病室を出て医者を探す。探してるつもりで静かの場所に来ていた。
 「ダメだな・・・」
 静かな、誰もいない場所に無意識に来てしまった直也なおやは椅子に座って手で顔を覆う。
 (白斗に会えば、なにかわかるかもって勝手に思ってた。あそこで目を覚まさないと思ってた。もしかしたら俺は目を覚まさないことを望んでいたのかもしれない)
 そう思ってしまう。
 「はぁー」
 「あの、大丈夫ですか?」
 急に声をかけられて顔を上げる。そこには車椅子に乗った男の子がいた。
 「・・・」
 「あ、ごめんなさい。ここ、僕が好きな場所で、来たら貴方がいたので声をかけてしまいました。」
 「・・・・」
 「あの~」
 「ごめん、驚いて。君、車椅子・・・あ、悪い。」
 「いいえ、車椅子びっくりしますよね。」
 「あぁ。」
 「僕、ここに入学してすぐに病気になってしまって・・家族に悪くてどうしようかと思っていたんです、そしたら学校側が一緒ここにいる条件ならいてもいいと言ってくれたので承諾したんです。学校側はこの病気が治ると思っているでしょうか・・・ってごめんなさい。初対面の方に自分勝手な話を」
 「うんん。」 
 「聞いてもいいですか?何があったんですか?」
 「・・・俺の婚約者が自殺未遂を・・・」
 「!ごめんなさい。無神経でした。」
 「聞いてくれるかな?誰かに話したいんだ。」
 「僕で良いんですか?」
 車椅子に乗っている男の子は百々目とどめ ゆきと言った。百々目は直也の話に耳を傾ける。直也は白斗のことを話した。
 「・・・その人のこと本当に愛してるんですね。」
 「そうなんだ。でも何かしてやりたいのに俺に何かをする勇気が出ないしあいつは俺に頼りたくないと言う。・・・どうすればあいつを幸せにできるんだろう」
 「・・・・羨ましいです。僕には心配してくれるような婚約者がいないので、でも一人だけ僕の見舞いに毎日来てくれる人がいます。婚約者でもないただのクラスメイトなんですけど・・・嬉しいんです。僕個人の意見なんですけど・・直也さんの婚約者さんはきっと貴方に負担をかけたくないだけなんだと思います。貴方を頼り過ぎたくないんです。」
 「分かってる。分かってるけど、俺はもっと頼られたいし、それを負担だとは思ってない。それを何回も言ってる。それでもあいつは」
 「直也さん。貴方の婚約者さんは僕と似てますね」
 そう言った百々目は窓を見た。
 窓には病院の庭が綺麗に光り輝いていた。
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