今から君を守るのに理由が必要ですか・・？（仮）

婚約者

ごめんなさい

　朝、眩しさで目が覚めた。部屋を出てリビングに向かうといい匂いがした。
　「あ、おはよう。白斗はくと。朝ご飯できたよ。食べよう。」
　「・・・おはよう。直也なおや。ありがとう」
　そう言って椅子に座った。
　「「いただきます」」


　「美味しかった。」
　「良かった。自炊して来て良かった」
　食べ終わり食器を持って立ち上がった。
　「いいよ、俺がやる。」
　「・・・ありがとう。」
　「白斗。ここにくる前何があったの？」
　「ッ。・・・」
　「言いずらいなら無理して言う必要はないよ。」
　食器を丁寧に洗いながら直也は質問する。　
　「うんん、話すよ。父親と母親が離婚して母親の方について行ったの。母親の祖父母の家でお世話になってた。祖父が会社経営していたからそこそこ裕福な生活だった。でも小学5年生に上がる前に祖父の会社が倒産して、多額の借金を抱えることになっちゃったの。」
　「それでここに買われたの？」
　「そのとき、買われてたらここにくるのは小学５年生の時だったよ。そこから、母親は夜の仕事も初めて、祖父はショックで寝込んでしまった。祖母だけはまだ、希望があるとか言って変な場所に通うようになってしまった。お金を返すどころかどんどん借金が増えて・・・高校に上がる前に、母親と祖父母は僕を国に売った。」
　「白斗・・・よく頑張ったね。」
　手をタオルで拭いて白斗の頭を撫でた。
　「そんな、家族にも見捨てられた僕が直也のそばにいていいの？」
　「白斗がいいんだよ。俺の側にずっといて欲しいのは白斗なんだよ。白斗以外いらない。」
　「僕は学生じゃないからお金も稼げない。直也の負担になっちゃう。」
　「白斗。任せて欲しい。白斗は頑張ったんだから休んでいいんだよ。」
　直也の優しさが逆に白斗の胸を苦しくする。

　ふさわしくない

　負担をかけてしまう

　そんな言葉が白斗の頭の中に何回も何回も流れていた。