宵闇王と精霊の竜刀

火の無い灰

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1章【異世界】

襲撃発生 ‐じゃあ早速いっちゃおう!‐

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部屋の外に出れば、明るい太陽の光が一瞬だけ目を眩ませた。
「前世じゃ死んだし、せっかくこの世界じゃ魔法があるんだから…」

外は広い草原で、白タイルの街道が繋がる先には、何やら大きな都市らしき影があった。
かなり大きな街で、真ん中には高い塔もあるようだ。
「あそこに街があるな、行ってみるか………………?」
不意に、耳に届いた音に混ざる微かな金属音。例えるなら、甲冑が鳴る音。
(まさか…………なあ…)胸中に過ぎる不吉な予感。

数十秒後、その不吉な予感が的中したことが発覚する。
大きな街を後ろから回り込んできたかのような方向から姿を現した、夥しい数の軍勢。
彼らの目的が自分であることを、直感的に悟る。
「うっわぁ…そのうち来るかもとは思ってたが、早速かよ…たまったもんじゃねーぞこっちは」
(………………ん?ちょっと待てよ、この状況なら女神様から貰ったあの魔法試せるかもな)
街の女神ステラから貰った、複合属性の超広範囲攻撃魔法殲滅魔法

少し温さを感じさせる空気に響き渡る鬨の声。
彼らの目的がレイの捕縛であることは、レイが向かう先にいることで簡単に読み取れる。
世界の終焉に響く歌声ワールド・エンド・ラーガリング】!
天に向けた掌から現れるのは、十重二十重に重なる巨大な魔法陣。
白に鈍く発光する、並の魔術師では全魔法陣それに込められた情報すら理解不能な程の圧倒的な魔力。
魔法陣が一気に砕け、レイの掌の上を基点として黒い雷光がヒュドラの如く、軍勢の方へ突き進む。
矢の様に細い雷撃は、例外なく兵士たちの急所を正確に刺し貫き、一撃で倒した。

 雷・闇属性複合系殲滅魔法【世界の終焉に響く歌声ワールド・エンド・ラーガリング】。

黒き雷撃は軍勢を倒し切ってもまだ僅かにスパークを散らし、威力が確実にオーバーキルつよすぎだったことを示している。
「うっわぁ……威力高すぎだろこれ…よほどの時以外は使わないようにしよう…」
予想外の威力に表情を引きつらせ、若干精神的にショックを受ける。
「さて、こいつらはどこの国からだ……?」
調べても意味はなさそうだが、主に好奇心にかられて地獄絵図と化している方へ向かう。
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