11 / 20
11 『魔女のポーション』1 ーマティアスside
しおりを挟む
その時の私はいきなり視線が低くなったことしかわからなかった。
ポーションを飲み終わった途端、皆の足しか見えなくなったのだ。
「「「え? マ、マティアス団長? えーーーっ!」」」
部下であるジャック、カイル、アルマンの戸惑ったような声が聞こえる。
「お前ら、足しか見えないぞ。どうなってるんだ?」
「どうなってるって、こっちが聞きたいですよ。団長ですよね」
「馬鹿なこと言ってないで、どうなっているのか説明しろ」
「どうなってるって、ネコ? 団長猫になってますよ!」
「ネコ???」
ふと足を上げてみれば、確かに猫の足だ。間違いない。
だが認めたくない。
何故猫になったんだ??
「私は普通にポーションを飲んだだけなんだぞ!」
「間違えて違うものを飲んでしまったのではないですか?」
「あの保存箱には魔女のポーションしか入ってないんだ。間違えようがないだろう」
本日の業務中に魔物から怪我を負わされ、少々傷が深かったので冒険者ギルドで売っているポーションではなく魔女のポーション(中級)を飲んだ。
白い光が身を包んだのはいつもと同じだった。だがいつもと違って包まれた時間がほんの少し長かったような気がする。そして光がなくなった時には視界が変わっていたのだ。
「確かに。魔女印がついてますね」
私が落としてしまった瓶を拾った部下のジャックが確かめてくれた。
「もしかしてこれが魔女の呪いじゃないですか?」
アルマンが言う呪いとは、魔女マチルダとの契約を破棄した場合に降りかかるかもしれないと語り継がれていた呪いのことだ。
「あれは根拠のない噂に過ぎない、という結論がでている。その証拠に契約を破棄してから数ヶ月何もおこってないだろう」
「それはそうですが、猫になるなんて魔女の呪い以外考えられませんよ」
「そうですよ。絶対に魔女の呪いですって」
確かに動物に姿を変える魔法など、魔女にしかできないような気がする。
だがそれなら何故今になって? 魔女との契約が破棄されたのは一年近く前のことなのに。
ああでもないこうでもないと意見を交わしていた時、またもや白い光に身体が包まれて、私は人間の姿に戻っていた。
猫の姿になっていたのは、十分程度。
「どういうことだ?」
猫の時は服を着ていなかったのに、人間に戻ると騎士団の服を着ていた。いったいどういった魔法なのか、検討もつかない。
「団長に分からないことが、私たちにわかるわけないでしょう」
部下たちはいわゆる脳筋だ。考える気がそもそもないのか、
「猫の時も瞳の色は同じでしたね」
「毛並みも団長のイメージに合ってましたよ」
などと緊張感のかけらもないことを話している。
他人事だと思ってのんきなものだ。これは同じ思いをさせないとな。
ポーションを飲み終わった途端、皆の足しか見えなくなったのだ。
「「「え? マ、マティアス団長? えーーーっ!」」」
部下であるジャック、カイル、アルマンの戸惑ったような声が聞こえる。
「お前ら、足しか見えないぞ。どうなってるんだ?」
「どうなってるって、こっちが聞きたいですよ。団長ですよね」
「馬鹿なこと言ってないで、どうなっているのか説明しろ」
「どうなってるって、ネコ? 団長猫になってますよ!」
「ネコ???」
ふと足を上げてみれば、確かに猫の足だ。間違いない。
だが認めたくない。
何故猫になったんだ??
「私は普通にポーションを飲んだだけなんだぞ!」
「間違えて違うものを飲んでしまったのではないですか?」
「あの保存箱には魔女のポーションしか入ってないんだ。間違えようがないだろう」
本日の業務中に魔物から怪我を負わされ、少々傷が深かったので冒険者ギルドで売っているポーションではなく魔女のポーション(中級)を飲んだ。
白い光が身を包んだのはいつもと同じだった。だがいつもと違って包まれた時間がほんの少し長かったような気がする。そして光がなくなった時には視界が変わっていたのだ。
「確かに。魔女印がついてますね」
私が落としてしまった瓶を拾った部下のジャックが確かめてくれた。
「もしかしてこれが魔女の呪いじゃないですか?」
アルマンが言う呪いとは、魔女マチルダとの契約を破棄した場合に降りかかるかもしれないと語り継がれていた呪いのことだ。
「あれは根拠のない噂に過ぎない、という結論がでている。その証拠に契約を破棄してから数ヶ月何もおこってないだろう」
「それはそうですが、猫になるなんて魔女の呪い以外考えられませんよ」
「そうですよ。絶対に魔女の呪いですって」
確かに動物に姿を変える魔法など、魔女にしかできないような気がする。
だがそれなら何故今になって? 魔女との契約が破棄されたのは一年近く前のことなのに。
ああでもないこうでもないと意見を交わしていた時、またもや白い光に身体が包まれて、私は人間の姿に戻っていた。
猫の姿になっていたのは、十分程度。
「どういうことだ?」
猫の時は服を着ていなかったのに、人間に戻ると騎士団の服を着ていた。いったいどういった魔法なのか、検討もつかない。
「団長に分からないことが、私たちにわかるわけないでしょう」
部下たちはいわゆる脳筋だ。考える気がそもそもないのか、
「猫の時も瞳の色は同じでしたね」
「毛並みも団長のイメージに合ってましたよ」
などと緊張感のかけらもないことを話している。
他人事だと思ってのんきなものだ。これは同じ思いをさせないとな。
0
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説
アニラジロデオ ~夜中に声優ラジオなんて聴いてないでさっさと寝な!
坪庭 芝特訓
恋愛
女子高生の零児(れいじ 黒髪アーモンドアイの方)と響季(ひびき 茶髪眼鏡の方)は、深夜の声優ラジオ界隈で暗躍するネタ職人。
零児は「ネタコーナーさえあればどんなラジオ番組にも現れ、オモシロネタを放り込む」、響季は「ノベルティグッズさえ貰えればどんなラジオ番組にもメールを送る」というスタンスでそれぞれネタを送ってきた。
接点のなかった二人だが、ある日零児が献結 (※10代の子限定の献血)ルームでラジオ番組のノベルティグッズを手にしているところを響季が見つける。
零児が同じネタ職人ではないかと勘付いた響季は、献結ルームの職員さん、看護師さん達の力も借り、なんとかしてその証拠を掴みたい、彼女のラジオネームを知りたいと奔走する。
ここから第四部その2⇒いつしか響季のことを本気で好きになっていた零児は、その熱に浮かされ彼女の核とも言える面白さを失いつつあった。
それに気付き、零児の元から走り去った響季。
そして突如舞い込む百合営業声優の入籍話と、みんな大好きプリント自習。
プリントを5分でやっつけた響季は零児とのことを柿内君に相談するが、いつしか話は今や親友となった二人の出会いと柿内君の過去のこと、更に零児と響季の実験の日々の話へと続く。
一学年上の生徒相手に、お笑い営業をしていた少女。
夜の街で、大人相手に育った少年。
危うい少女達の告白百人組手、からのKissing図書館デート。
その少女達は今や心が離れていた。
ってそんな話どうでもいいから彼女達の仲を修復する解決策を!
そうだVogue対決だ!
勝った方には当選したけど全く行く気のしない献結啓蒙ライブのチケットをプレゼント!
ひゃだ!それってとってもいいアイデア!
そんな感じでギャルパイセンと先生達を巻き込み、ハイスクールがダンスフロアに。
R15指定ですが、高濃度百合分補給のためにたまにそういうのが出るよというレベル、かつ欠番扱いです。
読み飛ばしてもらっても大丈夫です。
検索用キーワード
百合ん百合ん女子高生/よくわかる献血/ハガキ職人講座/ラジオと献血/百合声優の結婚報告/プリント自習/処世術としてのオネエキャラ/告白タイム/ギャルゲー収録直後の声優コメント/雑誌じゃない方のVOGUE/若者の缶コーヒー離れ
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
私はモブのはず
シュミー
恋愛
私はよくある乙女ゲーのモブに転生をした。
けど
モブなのに公爵家。そしてチート。さらには家族は美丈夫で、自慢じゃないけど、私もその内に入る。
モブじゃなかったっけ?しかも私のいる公爵家はちょっと特殊ときている。もう一度言おう。
私はモブじゃなかったっけ?
R-15は保険です。
ちょっと逆ハー気味かもしれない?の、かな?見る人によっては変わると思う。
注意:作者も注意しておりますが、誤字脱字が限りなく多い作品となっております。
精霊に転生した少女は周りに溺愛される
紅葉
恋愛
ある日親の喧嘩に巻き込まれてしまい、刺されて人生を終わらせてしまった少女がいた 。
それを見た神様は新たな人生を与える
親のことで嫌気を指していた少女は人以外で転生させてくれるようにお願いした。神様はそれを了承して精霊に転生させることにした。
果たしてその少女は新たな精霊としての人生の中で幸せをつかめることができるのか‼️
初めて書いてみました。気に入ってくれると嬉しいです!!ぜひ気楽に感想書いてください!
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
転生したので猫被ってたら気がつけば逆ハーレムを築いてました
市森 唯
恋愛
前世では極々平凡ながらも良くも悪くもそれなりな人生を送っていた私。
……しかしある日突然キラキラとしたファンタジー要素満載の異世界へ転生してしまう。
それも平凡とは程遠い美少女に!!しかも貴族?!私中身は超絶平凡な一般人ですけど?!
上手くやっていけるわけ……あれ?意外と上手く猫被れてる?
このままやっていけるんじゃ……へ?婚約者?社交界?いや、やっぱり無理です!!
※小説家になろう様でも投稿しています
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる