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腹喰い事件1章
腹喰い事件5
しおりを挟む一時間後。
「ただいま~、何とかホテル取れたよ。ここ数日は人気の公演ばかりだからか、どこのホテルも混んでいたわ…」
ジュディがぐったりとして表情でメグの家に戻ってきた。
「おかえり、お疲れ様。ジェシカはまだみたいね。」
イザベラはバラバラになっていた記事をを机の面でトントンと叩き、形を揃えた。
「イザベラは?何か面白い記事は見つかった?」
「もちろん。そういう記事しか集めていないから、どれも興味深かったよ…その中でも凄惨すぎる事件や今後起こりそうな事件、国を巻き込むような大きな事件をまとめておいた。上から色々閲覧制限がかけられているNSSOにとって、とても重要な資料だったわ。例えばこれ、前に起きたアヘン事件と似たような事件が違う国で起きていた。」
「『腐敗した上層部、募る不満』…うわー…お偉いさんがアヘンに手を出していたっていうか、それでお金を儲けていたのか…チェストラのは民間だったもんね。」
「そう、あの事件は裏稼業に手を出していた組織の人間だったから、国は全く関係なくて安心したけど、またこういう事件が出てきたら、もしかしたらチェストラの上層部内にも闇に繋がっている者がいるかもしれないっていう考えがこの記事のおかげで生まれてくるでしょう?」
「確かに。灯台下暗しってこともあるからね。」
「ただいま帰りましたー」
扉をたたく音と共にマージが扉を開け、ジェシカが戻ってきた。
「おかえり。何とかアポイントは取れた?」
「うん、取れたよ。明日の16時に会えるって。メグさんの招待状がなきゃ、ほとんどの確率で会えなさそうなほど混んでいたわ。流石大きな病院って感じね。」
「順調だね、2人ともありがとう。今は13時過ぎで公演は19時から。準備も考えると、17時前にはホテルで着替えた方が良いね。」
「私、お腹空いたから何か食べたい。」
「じゃあ、レストランで今後の予定を練ろう。ノートはもうまとめてあるから、マージさんにお礼を言おう。」
そう言うとイザベラは席を立って、マージさんがいる部屋の開いたドアを叩いた。
「マージさん、2人とも帰って来たので次の場所に移動しようと思います。」
「あら、目的は果たせたのね。もうちょっとゆっくり休みなさいと言いたいところだけど、仕事中だものね。食器は片づけるから、そのままでいいわよ。」
「ありがとうございます。」
ガサゴソと物音がし、荷物とイザベラのコートを持ったジェシカとジュディが現れた。
「準備が早いわね、玄関まで送るわ。」
そう言うとマージが立ち上がったので、イザベラはジュディからコートを受け取り、慌てて着た。
「メグには私から伝えておくわ。3人ともはるばるご苦労様。事件が解決に向かうといいわね。」
「いえ、こちらこそありがとうございました。お二人がいなかったら、こんなに順調に進まなかったです。」
外に出たジェシカはそう言って、頭を下げた。
「その通りです。急に来たのにも関わらず、ありがとうございました。」
「いいえ、また仕事じゃない時にでもいらっしゃい。気を付けてね!」
「はい!ありがとうございました。失礼します!」
ジュディがそう言ったのを合図に三人はメグの家の前の道路に進み、ホテルに向かって歩き出した。
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「確かホテルの近くに手ごろなお店があったから、そこに行こう!場所は何となくだけど覚えてる」
ホテルに着いた3人は部屋に荷物を置き、貴重品だけを持って、再び街に繰り出していた。
「何も知らないから、ジュディに任せるよ。」
「迷ったらごめんね…アッ、あそこあそこ!ちょっと人が多いけど、それだけ評価が高いってことでしょ?」
ジュディが指さした店を見てみると、確かに人が集まっている。そこにしようとジェシカが言ったので、3人は店に向かった。
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「「「ごちそうさまでした。」」」
料理を一通り食べ終わった3人は満足気に息を吐いた。
「美味しかったね、久しぶりの外食だから、普段は作らない料理ばかり頼んでしまったわ。」
ジェシカが満腹になった腹をさすりながら、言った。
「分かる、人数が多いから生地を作る料理は作りたくないのよね…」
イザベラは食べ終わったラザニアを思い出して、頬を緩ませた。
「これからどうする?あと二時間は何かできるよ。」
「何も分かっていない以上、動けないからね……そうだ、この街にもスラム街的なところはあるのかな?もしかしたら、ここでもチェストラのような事件があったかもしれない。」
「あ~確かに。でも警察に聞けないもんね…自分たちでスラムの人たちに聞く?そもそもあるのかな?」
そう言うとジュディは鞄から地図を取り出し、スティリンジットでの観光に関する注意事項を読み始めた。
「ここにもスラム街はあるけど、チェストラより狭いし、ここから少し離れている。だから、行くとしても明日だね。」
「そっか…じゃあ、そこは明日病院に行く前に行こう。他の街のスラム街がどうなっているのか知りたいし。」
「分かった。じゃあ、後2時間だし、今日は観光にしない?きっとジュディが行きたいところもたくさんあるんじゃないかな?もしかしたら、思いがけない発見があるかもしれない。」
ジェシカがそう提案した。
「そうよね。まだ時間はあるし、明日から忙しくなるかもしれないし!じゃあジュディの行きたいところを今から、たくさん回ろう。」
「本当!?じゃあ行きたいところのルートを確認するから待ってね。」
そう言うとジュディは再び地図をじっくりとチェックし、名所を上手く回るためのルートを考えた。
「2時間で回れるところに絞ったから、早く行こう!どこも有名だから、解説はしてあげるね!」
「良いガイド、楽しみにしているね。」
「それは助かる。」
イザベラはそう言いつつも、心の中で全然興味ないんだけどなぁと呟き、会計を済ませるためにウェイターを呼んだ。
※次話は3/18予定です。
イザベラは何でも興味持ち、知識豊富そうに見えますが、観光地とかオペラには全然興味ないです。昔から音楽やバレエなどの教養に身近だったジュディやエマ、クレアはクラシックを聞いたり、オペラの作品を読んだりしたことがあります。しかし、イザベラを代表とするスラム出身のメンバーのほとんどはそういうのが身近になく、生きるのに必要では無いと考えているため、わざわざ知ろうとはしていません。訓練の一環として、ある程度の知識はありますが…
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