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プロローグ
NSSOの館
しおりを挟むイザベラや他のメンバーが住んでいる家は警視庁を出て、大通り沿いに歩き数分のところにある。
「ただいま~」
階段を上って、玄関を開け、コートを脱ぎながら中に向かって声をかけた。
「おかえり~」
イザベラを出迎えてくれたのは、色白い肌に軽くウェーブがかかったユリエ・インフィールドだ。彼女がNSSOに来た理由は、幼馴染のジェシカにあると言われている。自分から言わない限り、過去について聞くのはお互い控えているのだ。
「市場、結構混んでたからちょっといつもより待ってもらうかも。」
「いいよ全然、今日は誰が担当だっけ?」
「今日は私とジョーとステラとスーザンとリリーよ」
イザベラは軽く頷きながら、リビングルームに移動した。リビングには、レイとジュリーとケリーが犬の話で盛り上がっていた。事件が起きた時は、みんな活躍してくれるのだが、何もないときは自分だけが仕事をしているような気がして、イザベラは複雑な気持ちになった。
「あ、おかえり~」
ちょうど階段から降りてきたクレア・フロントが声をかけてきた。彼女は特殊でNSSOに個人で支援金を出してくれているジョン・フロントの娘である。父親にNSSOの活動報告をしたりするために父親の推薦という形で入ってきた。運動神経も良く、頭の回転も速く、演技力も高いので、イザベラのような過去を持っているほとんどのメンバーからはあまり好かれていないが、実力があるので何とも言えないのだ。
「やほ、」
「お疲れ、今月上旬の決算報告書できたから、あとでもっていくね」
「ありがとう」
イザベラはそういうと立ち上がって、自室に戻るために階段を上がった。イザベラの部屋は二階で、同じ階にはジョー、ジュディ、ジェシカがいる。上って一番奥の自室に入ったイザベラはコートを椅子にかけてベッドに倒れこんだ。
・
「……ザベラ…イザベラ、ご飯だよ」
イザベラはふっと目を開けた。いつの間にか寝ていた。起こしに来てくれたのは、かわいい顔に細い腕をしているくせに、パンチ力が強すぎるジュディだった。
「…ごめん、ありがとう」
とりあえずイザベラはそういうと下に降りて、ダイニングルームに向かった。
ダイニングルームにはすでに全員集まっていて、皿を並べたり、グラスに水を注いでいたりしていた。今日のディナーはミートパイにスープとサラダだ。イザベラは空いてる席に座った。
「全員分、料理まわった?よしよし、じゃあ、手を合わせてください。いただきます。」
「「「「「「「いただきます」」」」」」」
今日の晩御飯担当であるリリーのあいさつに合わせて、みんなは料理を食べ始めた。
「ユリエ、今日のミートパイいつもよりスパイシーじゃん」
「ラベンダー、ナプキン取って」
「今日トレーニング中にイケメンがいたんだけどさ…」
「ちょっとケリー!食べ物を口に入れたまま、話さないで」
全員がきっちり集まるのは食事の時だけだから、いつも賑やかだ。それにいつまでも話すから、一時間以上はかかる。
「そろそろ私シャワー浴びるわ」
腹が満たされ、皆がぼんやりしてきた時にふっとローレンス・ウッドがそういったのを合図に、だんだんと皿を片付けだした。なぜか結構疲れていたイザベラも足早に片づけて、シャワーを浴びに行った。
シャワー室は地下一階にあり、最新のシャワーヘッドを使える。人数が多いから、一人当たりのシャワーの時間も限られている。一番に入ったローレンスの隣の個室にイザベラは入った。今日の疲れを水でほぐしながら、早めに切り上げ、自室に戻り、明日は休みということでまともに片づけもしないまま、イザベラは直ぐに眠りについた。
ドォーーーーン、ゴロゴロゴロゴロ……
久しぶりに聞いた雷の音と雨の音にイザベラは一瞬目が覚めた。窓がついている部屋のため、外が時折、光っているのを見たイザベラはまたすぐに眠りについてしまった。
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