3 / 9
3
しおりを挟む
――今から2年前――。
「「「ねえ。一緒にお喋りしない?」」」
以前から仲が良かった3人が独りぼっちだった由香に声をかけたのは、友達になろうとしたからではありません。彼女達は、飯田由香で遊ぶために――見下したり小馬鹿にしたり等々、ストレスの捌け口にするために声をかけ、この関係を築いたのです。
なのでこの3人だけの世界は、由香の悪い話題で一杯。
教室で隠し撮りをした一際ブサイクに映った写真をアップしてみたり、似合わない服を着せて撮った写真を上げてみたり、首から上をアプリで加工して生首を作ってみたり。露見すれば即大問題になってしまうことが、ずっとずっと行われていたのです。
《今朝ママと喧嘩してイライラしてたけど、アレで全部吹っ飛んだわ。あの顔にあの服は、破壊力ありすぎ」
《逆にどーやったら、あそこまで酷くなれるんだろーね。もしミサが由香ちゃんだったら、100%自殺してるー》
《耐えられない、よね。あんな顔で生きてくなんて地獄で、ふつー転生して次のチャンスを狙うよね》
《はいはい注目。ここでユカ先生から、有難いお言葉があります》
『ブスは努力でカバーできます。みんな死なないで!』
由香の写真に文字を合成したものがアップされ、奈々はベッド上で転げ回って大笑い。しばらくヒーヒー言ってベッドを叩き、笑い涙を拭ってタブレットに再び触れます。
《アンタ、カバーできてないからっ! ブスのままだからっ! 一番先に死なないといけないヤツだからっっっ!》
《この由香ちゃん、なんでこんなに強気なのーっっ! 自分は脱ブサイクしてると思ってるトコも最高ーっ!》
『私はこのサプリメントで、ブスから卒業できました。これが今と昔の写真です』
《ぶっ。どっちもブスじゃんっ! 全然卒業できてないじゃんっ!》
《広子ちゃん、もーやめてーっ! ミサたち笑い死にしちゃうからーっ!》
《しょうがないわね、今日はこの辺にしといてあげるわ。アンタらが死んだら笑い合う仲間がいなくなるし、丁度面白い企画が成立したことだしね》
「面白い、企画? なになに……?」
ベッドで仰向けになっていた奈々は、呟きながらフリックとタップ。何があるの? と、文字で尋ねました。
《今日の帰り道でさ。ユカが、『明日両親がいなくて一人なんですよ』って言ってたでしょ?》
《あー。言ってたねーっ》
《だから泊まりに行ってあげるよって送ってて、『お願いします』と来たワケ。んでその結果、『ユカのお宅訪問~勝手に部屋を物色しましょう~』という企画を出来るようになったワケ』
《部屋を物色!? なにそれ最高じゃんっ!》
《そういやあたし達って、一回もアイツの家に泊まったことがなかったでしょ? だからこの機会に、攻めてみようかなって思ったの》
《広子ちゃん、アナタは天才かあっ! ミサ、今からワクワクしてきたよ……っ!》
《パジャマとか部屋着とか下着を、できるだけ撮ってくるわ。明後日のこの時間をお楽しみに》
こうして3人にとって大イベントの開催が決まり、この日も1時間ほどSNSの空間に滞在。3人はそれぞれ好きな形でストレスを解消し、充実した一日が終わったのでした。
「「「ねえ。一緒にお喋りしない?」」」
以前から仲が良かった3人が独りぼっちだった由香に声をかけたのは、友達になろうとしたからではありません。彼女達は、飯田由香で遊ぶために――見下したり小馬鹿にしたり等々、ストレスの捌け口にするために声をかけ、この関係を築いたのです。
なのでこの3人だけの世界は、由香の悪い話題で一杯。
教室で隠し撮りをした一際ブサイクに映った写真をアップしてみたり、似合わない服を着せて撮った写真を上げてみたり、首から上をアプリで加工して生首を作ってみたり。露見すれば即大問題になってしまうことが、ずっとずっと行われていたのです。
《今朝ママと喧嘩してイライラしてたけど、アレで全部吹っ飛んだわ。あの顔にあの服は、破壊力ありすぎ」
《逆にどーやったら、あそこまで酷くなれるんだろーね。もしミサが由香ちゃんだったら、100%自殺してるー》
《耐えられない、よね。あんな顔で生きてくなんて地獄で、ふつー転生して次のチャンスを狙うよね》
《はいはい注目。ここでユカ先生から、有難いお言葉があります》
『ブスは努力でカバーできます。みんな死なないで!』
由香の写真に文字を合成したものがアップされ、奈々はベッド上で転げ回って大笑い。しばらくヒーヒー言ってベッドを叩き、笑い涙を拭ってタブレットに再び触れます。
《アンタ、カバーできてないからっ! ブスのままだからっ! 一番先に死なないといけないヤツだからっっっ!》
《この由香ちゃん、なんでこんなに強気なのーっっ! 自分は脱ブサイクしてると思ってるトコも最高ーっ!》
『私はこのサプリメントで、ブスから卒業できました。これが今と昔の写真です』
《ぶっ。どっちもブスじゃんっ! 全然卒業できてないじゃんっ!》
《広子ちゃん、もーやめてーっ! ミサたち笑い死にしちゃうからーっ!》
《しょうがないわね、今日はこの辺にしといてあげるわ。アンタらが死んだら笑い合う仲間がいなくなるし、丁度面白い企画が成立したことだしね》
「面白い、企画? なになに……?」
ベッドで仰向けになっていた奈々は、呟きながらフリックとタップ。何があるの? と、文字で尋ねました。
《今日の帰り道でさ。ユカが、『明日両親がいなくて一人なんですよ』って言ってたでしょ?》
《あー。言ってたねーっ》
《だから泊まりに行ってあげるよって送ってて、『お願いします』と来たワケ。んでその結果、『ユカのお宅訪問~勝手に部屋を物色しましょう~』という企画を出来るようになったワケ』
《部屋を物色!? なにそれ最高じゃんっ!》
《そういやあたし達って、一回もアイツの家に泊まったことがなかったでしょ? だからこの機会に、攻めてみようかなって思ったの》
《広子ちゃん、アナタは天才かあっ! ミサ、今からワクワクしてきたよ……っ!》
《パジャマとか部屋着とか下着を、できるだけ撮ってくるわ。明後日のこの時間をお楽しみに》
こうして3人にとって大イベントの開催が決まり、この日も1時間ほどSNSの空間に滞在。3人はそれぞれ好きな形でストレスを解消し、充実した一日が終わったのでした。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
扉の向こうは黒い影
小野 夜
ホラー
古い校舎の3階、突き当たりの隅にある扉。それは「開かずの扉」と呼ばれ、生徒たちの間で恐れられていた。扉の向こう側には、かつて理科室として使われていた部屋があるはずだったが、今は誰も足を踏み入れない禁断の場所となっていた。
夏休みのある日、ユキは友達のケンジとタケシを誘って、学校に忍び込む。目的は、開かずの扉を開けること。好奇心と恐怖心が入り混じる中、3人はついに扉を開ける。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
地球くじ
ブルマ提督
ホラー
「こんにちはー。地球くじの者です」
「誰よ、あんた」
学校の屋上の鉄柵から乗り出し、空へ飛び出した時突然変な人に話しかけられた。
「えっと、今から死ぬ方で合ってますか?」
小説家になろう、カクヨムにも投稿してます
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
【完結】人の目嫌い/人嫌い
木月 くろい
ホラー
ひと気の無くなった放課後の学校で、三谷藤若菜(みやふじわかな)は声を掛けられる。若菜は驚いた。自分の名を呼ばれるなど、有り得ないことだったからだ。
◆2020年4月に小説家になろう様にて玄乃光名義で掲載したホラー短編『Scopophobia』を修正し、続きを書いたものになります。
◆やや残酷描写があります。
◆小説家になろう様に同名の作品を同時掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
あるバイク乗りの話~実体験かフィクションかは、ご自由に~
百門一新
ホラー
「私」は仕事が休みの日になると、一人でバイクに乗って沖縄をドライブするのが日課だった。これは「私」という主人公の、とあるホラーなお話。
/1万字ほどの短編です。さくっと読めるホラー小説となっております。お楽しみいただけましたら幸いです! ※他のサイト様にも掲載。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
兵頭さん
大秦頼太
ホラー
鉄道忘れ物市で見かけた古い本皮のバッグを手に入れてから奇妙なことが起こり始める。乗る電車を間違えたり、知らず知らずのうちに廃墟のような元ニュータウンに立っていたりと。そんなある日、ニュータウンの元住人と出会いそのバッグが兵頭さんの物だったと知る。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる