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第6話(3)
しおりを挟む そう。昨日から必死に考えたけど、堂々巡りで進展がなかった。つまり、無策。
でも今朝――マシマロとレートの寝顔を見ていたら、これで良いと思うようになった。
言い訳じゃないけど、こういう話は事前に考えた薄っぺらい台詞よりも、その場で胸の内から溢れ出てくる感情をぶつけた方が、相手にもより伝わるはずだから。
「樹坂さん、顔色が悪いようですが……」
「いえ。大丈夫ですよ」
「それならいいのですけど……」
スゥさんが、心配そうに見つめてくれる。
うん。大丈夫。大丈夫だ。
「よっし! セット完了ですっ! では、皆さんこの場所から動かないでくださいね。それと、確認のため本部に電話をさせていただきますねー」
スマホ型の装置を取り出し、通話を始め――
「こちら、リリです。……はい、整いました。はい、いつでも。……はい。回線の62番ですね。承知しました。はい、はい。失礼しますです」
無事終了。雰囲気からするに、相手は課長ではないらしい。
「あちらはいつでもいいそうなので。さっそく始めたいと思います。が、その前に進行の説明をば。ちなみに、司会進行役は私が勤めます」
「あの。進行なんてあるんですね?」
「大切な国の行事の一環ですからね。流れといたしましては…………最初は私の挨拶。この時は演出上修助さんを隠すために前に出ますのでご了承下さい。そして、その次が修助さんの出番です。私がお尋ねしますので、答えていただくだけで結構なのですよ。出番は一瞬ですし、カメラは喋りませんので、何の心配もございません」
「はい。わかりました」
一瞬、か。そうなればいいんだけど……。
でも今朝――マシマロとレートの寝顔を見ていたら、これで良いと思うようになった。
言い訳じゃないけど、こういう話は事前に考えた薄っぺらい台詞よりも、その場で胸の内から溢れ出てくる感情をぶつけた方が、相手にもより伝わるはずだから。
「樹坂さん、顔色が悪いようですが……」
「いえ。大丈夫ですよ」
「それならいいのですけど……」
スゥさんが、心配そうに見つめてくれる。
うん。大丈夫。大丈夫だ。
「よっし! セット完了ですっ! では、皆さんこの場所から動かないでくださいね。それと、確認のため本部に電話をさせていただきますねー」
スマホ型の装置を取り出し、通話を始め――
「こちら、リリです。……はい、整いました。はい、いつでも。……はい。回線の62番ですね。承知しました。はい、はい。失礼しますです」
無事終了。雰囲気からするに、相手は課長ではないらしい。
「あちらはいつでもいいそうなので。さっそく始めたいと思います。が、その前に進行の説明をば。ちなみに、司会進行役は私が勤めます」
「あの。進行なんてあるんですね?」
「大切な国の行事の一環ですからね。流れといたしましては…………最初は私の挨拶。この時は演出上修助さんを隠すために前に出ますのでご了承下さい。そして、その次が修助さんの出番です。私がお尋ねしますので、答えていただくだけで結構なのですよ。出番は一瞬ですし、カメラは喋りませんので、何の心配もございません」
「はい。わかりました」
一瞬、か。そうなればいいんだけど……。
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