3 / 5
ミルク
しおりを挟む
外に出ると、人工的なオレンジに白い道が染まっていた。
ガードレール越しに光り走る車と反対方向に歩いて、駅に向かう。
道路に見飽きて顔をそむける。
遠くの道には明るい家々があった。
すぐ側には賑やかな文句の居酒屋があった。
道を渡ったら大きかったはずのカフェがあった。
小さな手で持つお金では入れなかったカフェ。
鞄の財布はレシートで膨らんでいる。
まだ、やっているのか。
入ると、そこもまたオレンジだった。
暗く茶色いオレンジ。
蛍光灯に照らされて軽食が悪目立ちをしている。
掲げられたメニューはあまりにも見づらくて読めない。
笑顔の店員は歓迎の言葉で注文を急かしてくる。
あぁ、何を頼めばいいのか分からなくなってきた。
詰まった声で頼んだロイヤルミルクティー。
結局、冒険は上手くいかない。
出される優しいオレンジを見てそう思う。
いつも通り窓際の端っこに座り、せめてもの抵抗に砂糖を入れないで飲む。
苦い。
ミルクが入ってるはずなのに、苦い。
恥ずかしさを感じながらカウンターへ砂糖を取りに行く。
無駄な意地を張ってノンカロリーの包を1つ取る。
意識して更に恥ずかしくなった。
気を取り直して一口。
甘くない。
苦い。
こんなはずじゃなかった。
やけくそになって、今度はスティックを2本一気に入れた。
甘い。
自販機と変わらないくらい甘い。
5倍も出して手に入れた約100円の味。
一気に飲み干して、周囲の軽快なタップ音や疲れ気味のキーボードに配慮してトレーを片付ける。
外は相変わらずオレンジだった。
もう帰ろうと降ろされたシャッターやブラインドに目を向けることなく駅に着く。
階段を上がる人の数に自然と足が駆け下りる。
降りた先に自販機を、その中の、安っぽいピンクを見つけた。
何故か急にそれを買わなきゃいけない気がして、発車ベルに急かされながらボタンを押す。
急いで飛び乗った車内。
行儀が悪いと心で呟いて、さしたストローを咥える。
やっぱりぼうけんは上手くいかない。
知らないいちごミルクは不味かった。
ガードレール越しに光り走る車と反対方向に歩いて、駅に向かう。
道路に見飽きて顔をそむける。
遠くの道には明るい家々があった。
すぐ側には賑やかな文句の居酒屋があった。
道を渡ったら大きかったはずのカフェがあった。
小さな手で持つお金では入れなかったカフェ。
鞄の財布はレシートで膨らんでいる。
まだ、やっているのか。
入ると、そこもまたオレンジだった。
暗く茶色いオレンジ。
蛍光灯に照らされて軽食が悪目立ちをしている。
掲げられたメニューはあまりにも見づらくて読めない。
笑顔の店員は歓迎の言葉で注文を急かしてくる。
あぁ、何を頼めばいいのか分からなくなってきた。
詰まった声で頼んだロイヤルミルクティー。
結局、冒険は上手くいかない。
出される優しいオレンジを見てそう思う。
いつも通り窓際の端っこに座り、せめてもの抵抗に砂糖を入れないで飲む。
苦い。
ミルクが入ってるはずなのに、苦い。
恥ずかしさを感じながらカウンターへ砂糖を取りに行く。
無駄な意地を張ってノンカロリーの包を1つ取る。
意識して更に恥ずかしくなった。
気を取り直して一口。
甘くない。
苦い。
こんなはずじゃなかった。
やけくそになって、今度はスティックを2本一気に入れた。
甘い。
自販機と変わらないくらい甘い。
5倍も出して手に入れた約100円の味。
一気に飲み干して、周囲の軽快なタップ音や疲れ気味のキーボードに配慮してトレーを片付ける。
外は相変わらずオレンジだった。
もう帰ろうと降ろされたシャッターやブラインドに目を向けることなく駅に着く。
階段を上がる人の数に自然と足が駆け下りる。
降りた先に自販機を、その中の、安っぽいピンクを見つけた。
何故か急にそれを買わなきゃいけない気がして、発車ベルに急かされながらボタンを押す。
急いで飛び乗った車内。
行儀が悪いと心で呟いて、さしたストローを咥える。
やっぱりぼうけんは上手くいかない。
知らないいちごミルクは不味かった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる