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第二章:4騎士との出会い
第14話・フィンの小屋で一夜を
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「……椅子のままだと疲れが取れないよ。ベッドを使うといい」
そう言って、小屋の奥にある簡素なベッドを示した。
木枠のしっかりした作りの上に、清潔な布団が敷かれている。
「……助かります」
ヴィクトルは静かに頷き、そっとルナの体を抱き上げた。
「……っ」
彼女の軽さに、ヴィクトルの表情がほんのわずかに曇る。
抱えた腕の中に感じるのは、あまりに儚い体の重み。
(もう少し、彼女の負担を減らせる方法を探さなければ……)
そんなことを思いながら、ベッドへと慎重に歩く。
フィンはベッドの布団を軽く整えると、ヴィクトルがルナフィエラを横たえやすいよう手伝った。
「ゆっくり……そう、これで大丈夫」
ルナフィエラの体が柔らかい布団に沈む。
彼女の安らかな寝顔を見て、フィンは小さく微笑んだ。
「寝てる間に少しでも回復するといいけど……」
「そうですね」
ヴィクトルはルナフィエラの寝顔を見つめ、微かに息をついた。
すると、傍で様子を見ていたユリウスが、フィンに向かって軽く手を上げた。
「僕、色々聞きたいことがあるんだけど」
「……ルナが起きてからにしよう」
フィンが穏やかにそう返すと、ユリウスは肩をすくめる。
「まぁ、そうだね。彼女がいないと話せないことも多いし」
「それに、今は休むことが優先だろ?」
「んー……それもそうか」
ユリウスはあっさりと納得し、軽く伸びをした。
「じゃあ僕も寝ようかな。せっかく休める場所があるんだしね」
フィンは「適当に好きな場所を使っていいよ」と言いながら、小屋の隅に敷いてある予備の毛布を指さした。
シグはすでに外の見張りを終え、戻ってくると「ようやく寝れるか」と言いながら毛布を手に取った。
「俺は適当に床で寝る。どうせ朝になれば起こされるだろうし」
ユリウスも「僕もそれでいいや」と同じように毛布を取り、適当な場所で横になった。
ヴィクトルはしばらくルナフィエラのそばにいたが、彼女の呼吸が落ち着いているのを確認すると、ようやく少しだけ距離を取る。
「私もここで休ませてもらいます」
「うん、それがいい」
フィンも毛布を手にしながら、最後にルナの寝顔をちらりと見た。
(……久しぶりに会えたんだな)
心の奥が少しだけ温かくなる感覚があった。
彼女の姿が消えてしまったあの日から、ずっと探していた。
そして、ようやく再会できた。
——今はまだ、何も聞かない。
彼女が目を覚ましたら、話をしよう。
そう思いながら、フィンも毛布を被り、静かに目を閉じた。
——————
静かな小屋の中で、ルナフィエラはゆっくりと目を開けた。
天井に広がる木の梁が、ぼんやりとした視界の中に映る。
(……ここは)
まだ眠る前の記憶が朧げに蘇る。
森を抜け、フィンの小屋へと辿り着いたこと。
疲れ果て、ヴィクトルに支えられながらここで休んだこと。
ふと、横を見る。
小屋の中には、穏やかな寝息が満ちていた。
ヴィクトルはルナのそばに敷いた毛布の上で静かに眠っている。
ユリウスは壁際に寄りかかるようにして毛布を被り、シグは床の上で適当に寝転がっていた。
そしてフィンも、少し離れた場所で穏やかな寝息を立てている。
(……みんな、ちゃんと寝てるんだ)
少し安心しながらも、自分だけが目を覚ましてしまったことに、ルナフィエラは小さく息をついた。
もう一度寝ようと目を閉じる。
けれど、眠れない。
長い眠りから目覚めたばかりなのに、なぜか頭が冴えてしまっていた。
体は少し軽くなっている気がするけれど、意識だけがやけに覚醒している。
(……寝られないなら)
少しだけ外の空気を吸おう。
ルナフィエラは静かにベッドを抜け出した。
物音を立てないように気をつけながら、そっと扉のほうへ向かう。
——そのとき。
「……ルナフィエラ?」
低く、眠たげな声が響いた。
驚いて振り返ると、シグが目を覚ましてこちらを見ていた。
「……起こした?」
「いや、俺もそろそろ目が覚めるころだった」
シグは上体を起こし、軽く伸びをした。
「どこ行く気だ?」
「ちょっと外に出ようかと思って……」
「……なら、俺も行く」
「え?」
ルナフィエラが驚いている間に、シグは軽く体をほぐしながら立ち上がる。
「夜明け前だろ? 一人で出るのは危ねぇよ」
「でも……」
「それに、俺もちょうど起きたところだしな」
シグは軽く肩をすくめると、扉のほうへ向かい、先に開けてくれた。
「ほら、行くなら早く」
ルナフィエラは小さく笑いながら、シグの後に続いた。
——外は、静寂に包まれていた。
森の中に立つ小屋の周囲は、深い夜の闇に沈んでいる。
けれど、東の空にはほんのわずかに薄紅色の光が差し込み始めていた。
「……夜明け前って、こんなに静かなんだ」
ルナフィエラはそっと息を吐く。
シグは隣で腕を組みながら空を見上げ、短く答えた。
「そうだな。こういう時間、嫌いじゃねぇよ」
ルナフィエラも同じように空を見上げる。
澄んだ空気が肌を撫で、冷たくも心地よい感覚を残していく。
「……悪くないね」
そう呟いたルナフィエラの横顔を見ながら、シグは小さく笑った。
「お前、少し顔色よくなったな」
「……そう?」
「ちょっとは回復したんじゃねぇの」
シグは気楽な口調で言うが、その視線はどこか優しい。
「まぁ、もうしばらくは無理すんなよ」
「……分かってる」
そう言いながらも、ルナフィエラの中には不思議な感覚があった。
(ここに来て、少しだけ……呼吸が楽になった気がする)
「……ありがとう、シグ」
ルナフィエラはそっと微笑んだ。
「お?」
「付き合ってくれて」
「……別に」
シグはそっぽを向いて、肩をすくめた。
「俺が勝手に来たんだしな」
そう言いながらも、彼の声はどこか柔らかかった。
夜明け前の静寂の中で、二人はしばらくの間、何も言わずに空を見つめていた——。
そう言って、小屋の奥にある簡素なベッドを示した。
木枠のしっかりした作りの上に、清潔な布団が敷かれている。
「……助かります」
ヴィクトルは静かに頷き、そっとルナの体を抱き上げた。
「……っ」
彼女の軽さに、ヴィクトルの表情がほんのわずかに曇る。
抱えた腕の中に感じるのは、あまりに儚い体の重み。
(もう少し、彼女の負担を減らせる方法を探さなければ……)
そんなことを思いながら、ベッドへと慎重に歩く。
フィンはベッドの布団を軽く整えると、ヴィクトルがルナフィエラを横たえやすいよう手伝った。
「ゆっくり……そう、これで大丈夫」
ルナフィエラの体が柔らかい布団に沈む。
彼女の安らかな寝顔を見て、フィンは小さく微笑んだ。
「寝てる間に少しでも回復するといいけど……」
「そうですね」
ヴィクトルはルナフィエラの寝顔を見つめ、微かに息をついた。
すると、傍で様子を見ていたユリウスが、フィンに向かって軽く手を上げた。
「僕、色々聞きたいことがあるんだけど」
「……ルナが起きてからにしよう」
フィンが穏やかにそう返すと、ユリウスは肩をすくめる。
「まぁ、そうだね。彼女がいないと話せないことも多いし」
「それに、今は休むことが優先だろ?」
「んー……それもそうか」
ユリウスはあっさりと納得し、軽く伸びをした。
「じゃあ僕も寝ようかな。せっかく休める場所があるんだしね」
フィンは「適当に好きな場所を使っていいよ」と言いながら、小屋の隅に敷いてある予備の毛布を指さした。
シグはすでに外の見張りを終え、戻ってくると「ようやく寝れるか」と言いながら毛布を手に取った。
「俺は適当に床で寝る。どうせ朝になれば起こされるだろうし」
ユリウスも「僕もそれでいいや」と同じように毛布を取り、適当な場所で横になった。
ヴィクトルはしばらくルナフィエラのそばにいたが、彼女の呼吸が落ち着いているのを確認すると、ようやく少しだけ距離を取る。
「私もここで休ませてもらいます」
「うん、それがいい」
フィンも毛布を手にしながら、最後にルナの寝顔をちらりと見た。
(……久しぶりに会えたんだな)
心の奥が少しだけ温かくなる感覚があった。
彼女の姿が消えてしまったあの日から、ずっと探していた。
そして、ようやく再会できた。
——今はまだ、何も聞かない。
彼女が目を覚ましたら、話をしよう。
そう思いながら、フィンも毛布を被り、静かに目を閉じた。
——————
静かな小屋の中で、ルナフィエラはゆっくりと目を開けた。
天井に広がる木の梁が、ぼんやりとした視界の中に映る。
(……ここは)
まだ眠る前の記憶が朧げに蘇る。
森を抜け、フィンの小屋へと辿り着いたこと。
疲れ果て、ヴィクトルに支えられながらここで休んだこと。
ふと、横を見る。
小屋の中には、穏やかな寝息が満ちていた。
ヴィクトルはルナのそばに敷いた毛布の上で静かに眠っている。
ユリウスは壁際に寄りかかるようにして毛布を被り、シグは床の上で適当に寝転がっていた。
そしてフィンも、少し離れた場所で穏やかな寝息を立てている。
(……みんな、ちゃんと寝てるんだ)
少し安心しながらも、自分だけが目を覚ましてしまったことに、ルナフィエラは小さく息をついた。
もう一度寝ようと目を閉じる。
けれど、眠れない。
長い眠りから目覚めたばかりなのに、なぜか頭が冴えてしまっていた。
体は少し軽くなっている気がするけれど、意識だけがやけに覚醒している。
(……寝られないなら)
少しだけ外の空気を吸おう。
ルナフィエラは静かにベッドを抜け出した。
物音を立てないように気をつけながら、そっと扉のほうへ向かう。
——そのとき。
「……ルナフィエラ?」
低く、眠たげな声が響いた。
驚いて振り返ると、シグが目を覚ましてこちらを見ていた。
「……起こした?」
「いや、俺もそろそろ目が覚めるころだった」
シグは上体を起こし、軽く伸びをした。
「どこ行く気だ?」
「ちょっと外に出ようかと思って……」
「……なら、俺も行く」
「え?」
ルナフィエラが驚いている間に、シグは軽く体をほぐしながら立ち上がる。
「夜明け前だろ? 一人で出るのは危ねぇよ」
「でも……」
「それに、俺もちょうど起きたところだしな」
シグは軽く肩をすくめると、扉のほうへ向かい、先に開けてくれた。
「ほら、行くなら早く」
ルナフィエラは小さく笑いながら、シグの後に続いた。
——外は、静寂に包まれていた。
森の中に立つ小屋の周囲は、深い夜の闇に沈んでいる。
けれど、東の空にはほんのわずかに薄紅色の光が差し込み始めていた。
「……夜明け前って、こんなに静かなんだ」
ルナフィエラはそっと息を吐く。
シグは隣で腕を組みながら空を見上げ、短く答えた。
「そうだな。こういう時間、嫌いじゃねぇよ」
ルナフィエラも同じように空を見上げる。
澄んだ空気が肌を撫で、冷たくも心地よい感覚を残していく。
「……悪くないね」
そう呟いたルナフィエラの横顔を見ながら、シグは小さく笑った。
「お前、少し顔色よくなったな」
「……そう?」
「ちょっとは回復したんじゃねぇの」
シグは気楽な口調で言うが、その視線はどこか優しい。
「まぁ、もうしばらくは無理すんなよ」
「……分かってる」
そう言いながらも、ルナフィエラの中には不思議な感覚があった。
(ここに来て、少しだけ……呼吸が楽になった気がする)
「……ありがとう、シグ」
ルナフィエラはそっと微笑んだ。
「お?」
「付き合ってくれて」
「……別に」
シグはそっぽを向いて、肩をすくめた。
「俺が勝手に来たんだしな」
そう言いながらも、彼の声はどこか柔らかかった。
夜明け前の静寂の中で、二人はしばらくの間、何も言わずに空を見つめていた——。
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