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第五層 魂の修福 編
お風呂回再び。
しおりを挟む目が覚めたら朝だった。どうやら俺は、魔食チャンポンの影響で失神してしまってたらしい。素っ裸のまま、しかも風呂場の床上で。
それでも風邪を引かないで済んだのは、『グルメモンスター』によって効果が上昇した魔食で強靭な肉体を得たおかげだな。
ちなみに魔力覚醒者であっても病気にはなるぞ?魔力を得た最初期は健康になった気がしてそれをよく忘れがちだが、レベルアップして魔素を体内に蓄積させてゆくとその負担で逆に不健康体になってゆく。つまり段々と体調を崩しやすくなってゆく。むしろ病気にかかりやすくなる訳だ。それを予防しながら肉体を強化するために生まれた文化が『魔食』だった。
という話は…前にしたっけ?
俺はすっかり冷えてしまった湯を抜いて、改めて湯を沸かした。
その間に身体を清める。例のごとく魔食した影響で体内が作り代えられたからだ。その際は体内に溜まってた毒素は抜けて出る。
なので身体中ベトベト…て言うかカピカピだ。こうなるのが分かってたから素っ裸で魔食してた訳だ。
なのでこの状態のまま風呂に入る訳にいかない俺は、何度もシャンプーしたり、石鹸を削りきる勢いで何度も身体をゴシゴシ洗ったりを繰り返しながら、ステータスを確認した。
ステータス画面はシャンプー中、目を瞑ったままでも閲覧出来るからな。時短だ時短。
=========ステータス=========
名前 平均次
MP 11660/11660
《基礎魔力》
攻(M)490→530
防(F)101→109
知(S)191→232
精(G)28→33
速(神)586→622
技(神)442→514
運 -0.3
《スキル》
【MPシールドLV11】【MP変換LVー】【暗算LV9】【機械操作LV3】【語学力LV7】【大解析LV7】
【剛斬魔攻LV3】【貫通魔攻LV2】【重撃魔攻LV4】【双滅魔攻LV2】
【韋駄天LV8】【魔力分身LV4】
【螺旋LV4】【震脚LV4】【チャージLV3】【超剛筋LV4】
【痛覚大耐性LV8→9】【負荷大耐性LV4→5】【疲労大耐性LV3→4】【精神超耐性LV1→3】【雷耐性LV4】new!【毒耐性LV4】new!【麻痺耐性LV2】new!
【平行感覚LV8】【視野拡張LV9】
【虚無双LVー】【界体進初LVー】new!【吸収LVー】new!
《称号》
『魔神の器』『英断者』『最速者』『武芸者』『神知者』『強敵』
《装備》
『鬼怒守家の木刀・太刀型』
『鬼怒守家の木刀・脇差型』
《重要アイテム》
『ムカデの脚』
=========================
器礎魔力の上昇は、9つもの魔食材を食らったにしては、大人しい感じだった。
でもよく考えてみれば前回上昇した際に食らっていたのは『狂い餓鬼大頭の肝』と『餓鬼大将の大肝』と『阿修羅丸の心臓』、それに『例のダンジョンコア』という、超高級魔食材のフルコースだったからな。つまりは、これが普通なのだろう。
「いや普通じゃないな…」
才子が調理したおかげか、昨日はスキルが凄い事になっていた。
その殆んどは残念ながら耐性スキルだった訳だが、魔食関連のスキルが全部レベル9、進化直前の足踏み状態だったのもあって、それらが一気にレベルアップ!と同時に進化!しかもスキル合成システムまで介入してきた…ところへ、【内界】まで介入してきて…
「あー、そーだった。それでゲットしたのが…というか産まれたのが…この、【界体進初】…だっけか…」
これは【内界】とスキル合成システムとのすったもんだの末に産まれた曰く付き。システム的には『超変異スキル』って位置付けらしい。
あと、よく見ればスキル欄から【内界】がなくなっていて、称号欄からは『ソウルイーター』がなくなっていた。つか…
「えええ!『グルメモンスター』までねーじゃんっ!」
魔食関連のスキルが全部持ってかれた訳だから、しょうがないっちゃしょうがないけど俺の中では一番頼りにしてた力だぞ!?
「いやそもそも良いのかこれ!?称号ってシステムからの借り物だろ?それを、俺専用のスキルの生け贄にしちまうなんて…」
このスキルは、【魔吸食】【剛免疫】【剛排泄】【剛臓】【剛血】【剛骨】に加えて【内界】と、畑違いで借り物でもある称号の『ソウルイーター』や『グルメモンスター』までも巻き込んで合成され、産まれたスキルかもしれない…?
「…って事か?──えええ。一体、どんなスキルになったんだ…ッ」
いてもたってもいられず、俺はしゃかしゃかとシャンプーに勤しんでいた手を止め、そのスキルの詳細を確認した。
【界体進初…一つの世界をその身に宿すまでに進化した初の生命体、個体名平均次のためだけに産みだされた、システムにない超変異を遂げた覇道のスキル。
このスキル効果により、平均次の肉体と内界は影響し合うようになった。
生物の枠を越えたその生態により、際限無く成長出来、その成長のためにありとあらゆるものを取り込み、それを体内で…いや、魂レベルでの【吸収】まで出来てしまう。
内界容量などの事情により、取り込める大きさや量に限界はあり、それをさらに【吸収】となると制限もされる。
だがそれらについても段階を追って解消されてゆくだろう。この怪物め。】
「なん……じゃぁこりゃぁ…ッッ!」
確かに、よく見れば【吸収】というスキルが増えている。これは【界体新書】が産まれた事で派生したスキル…
「…って、事か?そしてありとあらゆるものをいつかは吸収して…際限なく成長……? って、もはやモンスター以上の化物じゃねぇかっ!怪物呼ばわりも納得のヤバさだわっ!マジヤバ過ぎる!略してマジ過ぎヤバいっ!いや殆んど略してないよつか俺相当焦ってるよ!?」
そりゃ焦るよ!?
『うーむ。なんたる壮大なスキル…さすが、ダンジョンで魂を補強した男は、、、違うなっ!』
「いや、それやったのお前だから!?つか何で毎回他人事みたくコメントするの!?もっと親身になってもよくなくない??」
『よくなくないとは…はて、親身になった方が良いのか良くないのか……ふむ。昔生まれの我にはとんと──』
「…とか、すっとぼけてんじゃねえこのトンデモソウルメイトっ!魂共有してて相方が言うニュアンス理解出来ねぇとか随分と都合良くなくないっ!?」
『だから。よくなくないとは、はて、昔生まれなのでとんと──』
「──てめ──あ。人生的にも人外的にも大先輩のくせして俺より先に現実逃避してやがるな?待て待てまだ行くな!俺が先に──」
「なに一人で絶叫してるの」──ガラガラガラ──「ホント変わり者よね均兄ぃって。」──ガラガラガラ、ピシャン。
「うるせえ才子!今取り込み中…ってゆーか入浴中なんですがっ!?ナニ勝手に入ってきてんの──」
と、声をかけられ振り向いたら才子がいた……のだが。
「──っておい!なんて格好してんだコラっ!」
裸だった。
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