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第四層 格上死戦彷徨 編

大どんでん返し返し!からの急転直下!

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 ──ガゴォオオオオオオンンンッ!!


 …こんな強烈な攻撃と何度も打ち合えば相当な負荷となる。だから、


『【負荷耐性L10】に上昇します。上限到達。【負荷大耐性LV1】に進化します。』

『【疲労耐性L10】に上昇します。上限到達。【疲労大耐性LV1】に進化します。』

 こうして耐性スキルだって進化してしまう。

 そして前にも言ったが、耐性スキルはスキル育成の天敵だ。あるべき負担を減らすのだから当たり前──そのはずが…っ、


 ──ガァッゴォオオオオオンンンッ!!


『【斬撃魔攻LV10】に上昇します。上限到達。【剛斬魔攻】と【斬刻魔攻】の二つから進化先を選んで下さい。』

『【刺突魔攻LV10】に上昇します。上限到達。【貫通魔攻】と【連突魔攻】の二つから進化先を選んで下さい。』

「…嘘だろ…っ?」

 スキル育成の天敵である耐性スキルが進化した後で何故、こんな簡単にスキルレベルが上がるんだ?

 それも、ついさっきLV9に上昇したばかりのスキルが。

 つまり、上昇直後な上に進化手前で一番上がりにくい状態だったはずのそれが、何故?

「いや嬉しいけどさすがに変だろっ!?」

 疑問は残るが、ともかく。

 スキルの進化先を、俺は即座に選択した。性能は以下の通りだ。

【剛斬魔攻LV1…斬撃による攻撃行動の際、攻撃力が上がる。現在の増加率1.6倍。その攻撃力をさらに1.1倍増幅して剛斬となす。】

【貫通魔攻LV1…刺突による攻撃行動の際、攻撃力が上がる。現在の増加率1.6倍。その攻撃力をさらに1.1倍増幅して貫通をなす。】

 この進化したスキルの力で今度こそ!阿修羅丸の右手を潰してやる!






 ──ていうのはフェイントだ。

 ──ドゴォオオォォオンンッッ!!!

「ぎぉっ!?」

 阿修羅丸は空振った。ヤツの攻撃は俺の幻影を掻き消しながら、ダンジョンの床を削るだけに終わった。

 この幻影の正体は言わずと知れた【魔力分身】。魔力に自分の器礎魔力をコピーして放出する技。

 それを発動した。

 直撃した瞬間に霧散する俺の分身を見た阿修羅丸は『はあ?』って顔をしている。

 その背後を完全にとった俺は『いかな阿修羅丸でも、これは絶対、避けられない』という確信の表情をしてるはずだ。

『魔力分身LV4に上昇しました。』

 今世になってさんざん無茶な動きをしてきたから分かったんだが。

 魔力をどう扱おうが関節の駆動域にはどうしたって限界がある。

 俺が今から放つ全力攻撃を、阿修羅丸が迎撃するには、振り向くだけでなく、全力を出せる体勢になる必要がある。

 そう、関節の駆動域には限界がある以上、

①振り向いて
②関節を十全に駆動させられる体勢になる。

 という、二段階を踏む必要があって、どんなに速さに優れていようが今の阿修羅丸にそれをする余裕はない。

 つまりもう、どうしようもない。

 絶対に間に合わない。

 当たる。必ず当たる。

 え?右手破壊を諦めたのか、だとぅ?

 知るかよ、これも戦略の内だ。

 そう、戦略。つまりこの策は最初から用意していた。この分身からの不意打ちはいざって時の切り札だった。

 スローモーションで見る阿修羅丸の顔は焦燥に染まっている。『裏切られた!?』って感じがアリアリだ。

 嗚呼、阿修羅丸。

 悪く思うな阿修羅丸。

 これが経験の差ってやつだ。

 お前は強かったよ──






 
 ──ガゴォオオオオオオンンンッ!!









「はあ!?」

 おいおい嘘だろ!?

 弾かれた。防がれた。

 それも、

 
「後ろ向きのまま──だとぅ!?」


 なんで!?と見れば阿修羅丸の腕が蛇のようにシュルシュルとうねっていて──いやいやなんだそれ。

 当の阿修羅丸も「あれー?」って顔をしていて──て、おい。

 進化した次いでにそうなったのか。

 隻腕のハンデを克服するためにそうなったのか。

 克服どころか、さらに戦闘に特化してそうなった。そういう事か。

 俺のそんな心の声に気付いてない阿修羅丸は、不思議そうに右腕を操作している。

 蛇のようにうねらせたり、鞭のようにしならせたり。

 見た感じ、無数の関節が備わっているようだな。

 前言撤回。ヤツの右腕に関してはないようだな可動域の限界は。そっかー凄いなー…っていうか阿修羅丸よ。

 もしかして、今の今まで気付いてなかったとか?

「気付いてなかった…ようだな…おいおいおいおいおい…マジか」

 気付かないまま、ただの餓鬼だった頃の関節仕様で戦っていた、そういう事か?

 それを今になって、この土壇場になってやっと気付いた…というか、それを気付かせたのって、


「俺か!マジかっ!」


 ああ。やっぱ悪い事は出来ないな。いや戦闘に善も悪もないんだがな。それでもバチが当たった感がひどいな。多分だが今の俺って、焦燥に染まって『裏切られた!?』って感じアリアリなんだろうなぁ。

 という訳で振り出しに戻りまーす(※やけ糞になっておりまーす)


  ・

  ・

  ・

  ・

  ・


 ──ガッゴォオオオオオンンンッ!!!


 ヤバい。マジヤバい。

 全然終わらない。

 チキンレース、終わってくんない。

 MP残量、マジヤバい。

 いや待て。冷静になれ俺。

 片言なってる俺。

 ここはもう一度冷静になって、分析してとにかく冷静に──


 ──ガッゴォオオオオオンンンッ!!!


 「ぐううううっ!?」

 くっ、阿修羅丸の全力攻撃を打ち落とす事には、何とか成功してるけど。

 あれだけスキルレベルが上がったんだぞ?そのおかげで俺の攻撃力は相当に強くなったはずだ。

 なのになんで『なんとか』どまりのままなんだ!?
 
 そうだ攻撃力…

 今の倍率は、どうなってる!?


【剛斬魔攻LV1】で1.6倍さらに1.1倍。
【重撃魔攻LV2】で1.65倍さらに1.2倍。
【直撃魔攻LV2】で1.65倍さらに1.2倍。 
【螺旋LV1】で1.1倍。
【震脚LV1】で1.1倍。
【チャージLV1】で1.1倍。
【爆息LV1】で1.03倍。
【ポンプLV1】で1.03倍。
【超剛筋LV1】で1.3倍。

1.6×1.1×1.65×1.2×1.65×1.2×1.1×1.1×1.1×1.03×1.03×1.3=12.6659831382、ってほら!

 12.7倍率にまで達してる!

 やっぱりだ。

 俺の攻撃はイケてる、

「のに、なんで…っ」

 いやだから、
 焦るなっ、
 迷うなっ、
 信じろっ、

 このまま…っ!

 信じてこのまま! 




 ──ドギュッ!
      

「 、お 」


 ブッシャアァアッ!!


「ぎぎゃっあ、があっ!!」


 難攻不落に見えたあの右手が、

 血を吹いて──これは──え?切り裂いたのか!?俺がっ?マジかッ!

 でもほら、

 あの阿修羅丸が、慌ててる!

 実際に傷口を見てみれば、中指と薬指の間の付け根から手首の間接にかけて切り開かれてて、奇妙な枝分かれ状態になっていて、、、

 グロいっ!かなりっ!けどっ!

 成功だ!

 部位破壊に成功したっ!

 これで阿修羅丸の攻撃力は大きく損なわれる。

 そうなればあの恐るべき衝撃波だって弱くなるはず。

 衝撃波の脅威がなくなったなら後は簡単──今度こそヤツの懐に潜り込んで──この…極大にまで増強された一撃──叩き込んでやれば──それでこの勝負にも真の決着が──そんな場面のはず──だったのにっ!




「──お…ぐ!!がぁァァああああっ!!??」




 ──そうはならなかった。

 何故なら俺も吹き飛ばされたからだ。

 ヤツの右手の耐久を破って破壊したはいいが。

 その右手が生んだ衝撃波を相殺し切れなかった。


(だからっっ、なんでだよ…ッッ?)


 今までで最高の一撃だったはずが何故…も何も。

 こうして俺の分厚いだけの【MPシールド】は破壊され、貫通されてしまったんだから。

 当然、その衝撃波は俺の肉体を散々に刻むと同時、打ち据え、内部にまで衝撃を伝え、

 その結果強化されてたはずの肉体の内部、筋肉や内臓や骨までボロボロにして。

 自身に降り掛かったそんなこんなを確認しながら俺は…

 吹き飛ばされ、滞空しながら、

 それをひたすら長く感じながら、

 致命一歩手前がもたらす痛みと極限の集中力がもたらすスローモーションを持て余しながら、
 
 なら次いでにと自分こステータスを表示しながら、

 そこで…やっと、気付いたのだった。

 大強化したにも関わらず、

 こうして俺の攻撃が打ち負けた理由を。

 
「(ぐ…っ、そう…か、こんな、これが…)ぐはぁ…ッ!」

 
 だがそれは遅すぎたらしい。

 滞空時間にも終わりが来た。

 ドガ──地に叩き付けられ、

「がはあぅッ!」

 それで吹き飛ばされた勢いがなくなる訳もなく。

 ドゴ、ド、ドキャ──何度も何度もバウンドしながら、

「がう、べ、ぎゃぅっ!?」

 ガガガ──その度に肉とほねとMPシールドで地面を削りながら、

「あが、あ、あ、あ!」

 その度に阿修羅丸の一撃に潰された肉が痛み、

「うぶ…っ!」

 その度に阿修羅丸の一撃で捻られた関節がぐねり、

「あぎっ!うあげ…っ、」

 その度に大量の血を吐いて撒いて、なすって、

「ぶふぉ、あぼ…ッ」

 多種多様な血痕を残しながら。

 やがて壁に激突──ドゴオオオンンッ!

「ごぶ、あ…っ!」

 この時はゴチャ、とか。バリ、とか。ブチュ、とか。ありとあらゆる…陰惨過ぎてあまり表現したくない破壊音とか破裂音の合成音を、ダメージの総決算よろしく体内から聞かされなから。

 衝突の衝撃で天井からパラパラ降り落ちる破片を感じながら。

 それが傷に染みるとか今更な事を思いながら、


「こ れ…が、… …」


 ずっと不気味に思いつつ、謎なままだった『アレ』の効果を理解したのだったが…


「…それ も…今、更か…」


 そう、今更だった。
 何故なら俺は、負けたのだから。

 俺は今度こそ、
 打つ手を失ったのだから。

 つまりは、もう、
 俺は、死んでしまうのだろうから。


 そんな、最悪以下のタイミングで、


 …聞こえた。聞かされた。




 ──力が、欲しいか──



 俺の奥深くをまさぐるような、不気味な欲にまみれた声。


(くそ…このタイミング で かよ…)


 そう、遂にこの時が来てしまった。

 お目当てのスキルがまだ準備出来てない。

 さらにはこんな重傷を負ったこのタイミングで。

 ここぞとばかりに。

 ダンジョンも、ダンジョンが産み落とした餓鬼達も。

 その中で様々な進化を果たした進化餓鬼達も。

 つまりは今、俺を殺そうとしている阿修羅丸でさえ、本命の敵ではなかった。

 今になって接触してきやがったコイツ。

 思念の怪物。

 コイツを倒しに俺は、やりたくもない魔食に手を出して、何度も挫折しかけたスキル育成を諦めないで、

 ホント、死ぬような思いで、やってきたのだ。ここへ。

 この、化物を、倒すために。

 
 ──『鬼』


(くそ、コイツだけは、ここで滅ぼさないと──)

 前世。

 義介さんに憑り付き、時間をかけて狂わせ、才子を殺し、才蔵をも狂わせた。結果、義介さんと才蔵も死んで──

 今世では絶対に、許さない。

 なのに今、満身創痍。

 危機的状況に危機的状況が重複しちまった状況。

 このまま、コイツが憑り付く相手が俺になったりしたら…?

(大家さんまで危険に──)

 こんなやつをまた、野放しにしたら?

(許せるか、そんなん!)

 負ける?
 死ぬ?
 
(勝手抜かすなっ!俺…頑張れよ…ほら、)

 そう、まだだぞ。俺。

 そんな結末のために生き直したんじゃ、ないはずだっ、だよな?

 だがら、だから、アイツを外に出すな。ここで踏ん張って、ここで、ここで、


 倒すしかねえ。

 外に出したら、また同じ事を、コイツは、するぞ?また、あんな、ひでえ、アレコレを。


(──させる、かよッ!)


 俺は今一度、



 ──豪ッ、



   心の火を燃やした。










=========ステータス=========


名前 平均次たいらきんじ

MP 992/7660 ↓alert!

《基礎魔力》

攻(M)180 
防(F)39 
知(S)98 
精(G)17 
速(神)214 
技(神)154 
運   10

《スキル》

【MPシールドLV7】【MP変換LVー】【暗算LV2】【機械操作LV3】【語学力LV2】【大解析LV2】

【剛斬魔攻LV1】new!【貫通魔攻LV1】new!【重撃魔攻LV2】【直撃魔攻LV2】

【韋駄天LV8】【魔力分身LV3→4】

【螺旋LV1】【震脚LV1】【チャージLV1】【爆息LV1】【ポンプLV1】【超剛筋LV1】

【痛覚大耐性LV1】【負荷大耐性LV1】new!【疲労大耐性LV1】new!【精神耐性LV9】

【魔食耐性LV5】【強免疫LV5】【強排泄LV5】【強臓LV5】【強血LV5】【強骨LV3】

【平行感覚LV2】【視野拡張LV2】

《称号》

『魔神の器』『英断者』『最速者』『武芸者』『神知者』『強敵』『破壊神』『グルメモンスター』

《装備》

『鬼怒守家の木刀・太刀型』
『鬼怒守家の木刀・脇差型』

《重要アイテム》

『ムカデの脚』

=========================
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