ビバリウム

結城由真

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「どうしてミクを犯してたの」

 ソファーに座り二人が情事を終えるのを待っていた。
 リビングに戻ってきた上半身裸の悟に、自分でもびっくりするくらい冷静に尋ねる。
 ミクは下着類姿で、よろよろとした様子で彼の後から姿を現し、まだ恍惚とした様子で地べたに寝転んだ。
 その生々しさに嫌悪感が募る。

「ただの躾だよ」

 悟は悪びれもなくそう答えた。

「躾……」

 反芻して、ゆっくりと静かな怒りが胸の中に充満していく。
 その矛先は悟ではなく、疲れ果て眠りについてしまったミクへと向けられた。

「……じゃあ、私も躾していいでしょ?」

 うっすらと笑みを浮かべる。
 悟はクスッと笑い頷いた。

「……お好きにどうぞ」

 彼が了承することはわかっていた。
 この人は途轍もなく残酷で、人の心など持ち合わせていないことが明らかになってしまったから。

 それからすぐに、私は大型のゲージを購入し、リビングに置いてミクをそこに閉じ込めた。
 首輪を繋ぎ、服を全て剥ぎ取って裸にさせ、四つん這いでいることを命じた。
 もちろん風呂やトイレなんかにはいかせない。
 三日もすればリビングは悪臭が漂い、それにイライラして何度もミクをなぶった。

 ミクは私を見つめ、ひたすら涙を流して鳴いていた。
 それでも私は同情なんてわかない。

 コイツは私を不幸に陥れた醜悪な女だ。
 私がこんなふうになったのは、全てミクのせい。

「ううっ……う……」

 二日間食事を与えなかったミクの前で、カップラーメンを啜る。
 彼女は涎を垂らし何度も懇願するように呻いた。
 もったいぶるように時間をかけて食べた後、口に指を入れて吐き気を催し嘔吐する。
 その吐瀉物を皿に入れてゲージの中に入れると、ミクは勢いよくそれを貪った。

「汚ねえ犬」

 ボザボサになったミクの髪を掴み引っ張り上げる。
 痣だらけの顔で目をひん剥いた彼女に苛立ちを抑えられず、勢いよくビンタした。
 ミクはぶるぶると震えながら、それでも吐瀉物に口をつける。

 生きる為にはここまで惨憺たる状況も受け入れるのかと、人間の業のようなものをまざまざと感じ薄ら寒くなる。

 ミクが生きようとすればするほど許し難い憎しみが込み上げて、虐待はエスカレートしていった。
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