推しと俺はゲームの世界で幸せに暮らしたい!

花輝夜(はなかぐや)

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1章

☆毒まで推す

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ルイは恥ずかしがって布団を深くかぶりしっかりと自分を抱いている。
片喰はベッドから降りると入口の方にまとめた荷物の方へ行き、勝手にルイの医療鞄を漁った。見込み通り、スカーフや手袋の替えがたくさん入っている。そこから手袋を一枚拝借し、タオルも手に取るとベッドへ戻った。
布団の中でまだ不貞腐れているかと思ったルイは予想に反して起き上がって片喰を見ていた。
暴れてはだけたバスローブの間から白い胸板が覗き見える。
誘っているのか?と思わず唾を飲み込んだが、薄暗い部屋で光るルイの薄い紫色の瞳は不安の色を湛えていた。

「…どこにも行きやしねえよ」

「うっ…そういうんじゃないよ」

顔を背けて再び布団の奥へ潜るルイだが不機嫌そうな声とは裏腹に触っても抵抗はしなかった。
片喰は布団の中へ潜り、背を向けて丸くなるルイを後ろから抱きしめる。
早鐘を打つ心臓の音が、ルイに聞こえてしまいそうだった。柄にもなく緊張していた。
女性とこういった経験がないわけではない。ただ、そういうことをしたのは大人になってからの話であって、そこには純粋な恋心や好意ではなく打算や酒の勢い、慰みとしての意味合いが大きかった。
推している相手を、こうして抱きしめたことはない。

「ルイ…お前、その……こういった経験は?」

込み上げる恥ずかしさに耐え切れず粋ではないことを聞いてしまう。
耳元で声を掛けられてくすぐったさに震えたルイはまた真っ赤になっていた。

「こ、こ、こういったってなに!?しないよ…最後まで…は…。その…、なくは、ないんだけど」

「なに?どうやってやったんだ?避妊具をつければ毒におかされないのか?毒消しか?相手はどんな奴だ?」

立ち絵だったルイとは違い、このルイは経験もないだろうと高を括ってした質問に予想外の返答が来て片喰はムードなど全て破壊して尋問のような形相になった。
最後までする気は毛頭なかったが、手段があるなら知りたい。

「同じ毒属性の人だったんだ。僕の毒は下手な毒属性にも猛毒だけど…相手も同じくらいで、その…まだ、毒属性以外の人とは経験とかなくて…その人としか…で、でもそれも、あの、いわゆる都合のいい性欲処理的な関係で…」

今ほど毒属性ではない自分を恨んだことはない。たどたどしく赤裸々な話をするルイを片喰は力いっぱい抱きしめた。

「ルイ」

「んん…苦しいよ、片喰さ…」

「俺が、これから先はずっと愛してやるよ。お前の毒も含めて全部」

片喰は手袋をつけてルイのバスローブを完全に解く。腕の中のルイは可哀想なくらい固まってしまっていた。

「恥ずかしいか?ルイ」

「……ううん」

ルイの声が震えている。片喰が持ってきたタオルを顔に当て、表情はわからない。
拒否されていないことを確認し、片喰はルイの下半身にそっと触れた。
手袋越しでもわかるほど熱をもって固くなっている。

「んっ…」

痛くないよう軽く上下に扱くとルイの上擦った声が漏れた。腰に響くような嬌声で片喰の血が一点に集中する。
バスローブ越しにルイのお尻に擦れ、ルイは居心地が悪そうにした。

「あ、あたってる…」

「しょうがねえだろ、我慢しろ」

ゆるゆると優しくルイのものを触る。幼く可愛い顔をしていて、これ以上ないほど怒張したものは不釣り合いで余計に愛おしく思えた。

「ぁっ、んっ…」

「……声が出るタイプなんだな」

「………っ!」

煽るように嬌声をあげるルイに、しっかり押し付けながら余裕なく呟く。
ルイは顔に当てていたタオルを噛んだ。声が出ていることが無意識だったのだ。
玉の方からなぞるように先へ指を滑らせる。敏感な先を執拗に撫で、そのままぐっと掴んで皮を利用して押し下げる。膨らんだ亀頭に指をひっかけ、小刻みに扱く。

「ふっ、ぅ…んんっ……!」

動かすたびにルイの肢体がびくびくと震え、ルイのものも反り返って膨らみ別の生き物のように跳ねて震える。
辛抱ならない片喰は自分のものをルイのお尻にバスローブごと挟み押し付けて腰を動かした。

「はぁっ、ルイ……気持ちいい…」

「!?ぅーっ、ぅ、んっ、んっ…!」

バスローブのふわふわとした感触越しにルイの体温を感じる。
片喰の硬さがルイのお尻を擦り抉り、ルイは今までとは比べ物にならないほど大きく跳ねて仰け反った。

「あぁ、ぁ、ゃっ、ゃ…!」

タオルが口から離れたようで、抑えのきかないだらしない声が漏れる。

「気持ちいいのか?ここが、っ」

「ゃ…っ、ぁ、あ!」

今まで顔を隠していたタオルがずれてルイの顔が少しあらわれる。
ただ普通に自慰行為をする程度のもののはずが、そんなものではないほど蕩けた顔をしてタオルはぐしゃぐしゃになっていた。猛毒タオルの完成だ。

「…お前、毒属性の相手って、まさか…男か…!?」

お尻に異常な反応を見せるルイに片喰は事実かもわからない嫉妬で気が狂いそうだった。
ルイのタオルを奪い取るとそれでルイのものを包み、手袋を引っぺがして後ろから押し倒す。

「ぁえ?あ…」

急にタオルを奪われ、手袋を手放した片喰にルイは処理が追い付かず言いたいことが言えない。
片喰はうつ伏せになったルイに上から体重をかけ、お尻を抉った。

「ひっ、ぅっ……!」

「はぁっ、出せよ、ルイ」

ルイのものは体重をかけられ、タオルに擦れて刺激を受ける。同時にお尻を突き上げられて二か所で快感を突き付けられたルイは仰け反った。

「う、ぁ、あっ、だめ、あ、かたばみひゃ、ぁ、だめっ…!」

「はぁ、はっ…」

「い、く、ぁっ、いく、いっ………!!!」

大きく震え、びゅく、びゅくとタオルの中に勢いよく吐精する。片喰はルイのお尻に突き付けたままバスローブに思いきり射精した。

「はぁ、はぁっ…」

二人分の上がった息が部屋を支配する。
ルイが呻きながら体を起こそうとしたところで片喰はふと我に返った。
ルイのお尻にはべったりと自分の精子がついている。
ルイはバスローブ越しにお尻を男のいちもつでごりごりと刺激され、床で擦ってタオルに情けない射精をしている。
ただ手で抜くつもりだった片喰は真っ青になった。

「ルイ、す、すまん…その…」

「あ、だめ触らないで」

ルイは手早くタオルと手袋を回収すると風呂場の方へと持って行った。あまりにあっさりとした様子に片喰は拍子抜けする。

「片喰さん、だめだよ。手袋外したでしょ」

「あ、いや…そうだな…」

「それに、今回は良かったけどタオルくらい挟んでても万が一のことがあるんだから気を付けてね」

「あ、はい…」

喘いでいたルイとの温度差に片喰はどこか寂しいような思いを胸に抱く。
風呂場で汚れたものや自分を全部を洗ったルイはそそくさとベッドに戻って来て、ちゃっかりと片喰の腕の中におさまった。
怒っているかと思ったが、むしろ機嫌は良さそうだった。

「…久しぶりだから早かったかも、僕」

「え?いや俺もそうだった…それに勝手に色々して、すまん…」

戻ってきたルイは口元にスカーフを巻いていた。代わりに背中を向けず、片喰の方を向いて腕の中で丸くなっている。

「ううん。その…相手が、男ってのは、そうだったんだ」

「……」

「その人しかいなくて。お互いにどっちも相手をしてたんだ。」

ルイは片喰を上目遣いで見上げる。
そこには先程も見えた不安の色がほんの少しだけ滲んでいて、片喰は次の問いにルイが望むままの答えをするしかなかった。

「幻滅した?」

「…いや」

興奮はした。嫉妬もした。片喰は率直な意見は言わず、ただそれだけ答えた。
ルイは片喰の瞳に真実を見て幸せそうに笑う。

「不思議だね、会ったばっかりなのに。片喰さんのこと、何か信用してる」

「…俺はずっと知ってたからな」

「僕は知らなかった。もっと教えてくれる?片喰さんのこと。僕のことを愛してくれる人のことを、僕はもっと知りたい」

片喰に体をすっかり預けたルイは真剣な目で片喰を見透かしている。
片喰はふっと小さく笑って、ルイの額にキスをした。

「これから教えてやるよ。お前のすべてを救うって決めたからな」

「全てって?」

「毒も愛するが、お前が自身の毒を嫌うならそれも消してやるよ。いつかな」

「またまた」

ルイははしゃいで笑う。その笑顔に寂しさは滲んでいない。強い安心だけが片喰へと向けられていた。
どこかつかみどころのないルイの本当の顔を見た気がして、片喰は優しく抱きしめる。
外の音も聞こえず、何の気配もない。シャワールームの水滴が定期的に落ちる音を聞きながら、そのまま二人は眠りに落ちた。
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