わるいむし

おととななな

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 同性との経験はないが、知識はある。
 男性同士でも挿入は可能な事は知っている。
 それなら兄はどちら・・・なのか…
 興味本位で聞くことじゃないが、新汰の中で聞いてみたい欲望が膨れ上がってきた。
 相手が女の時には全く知りたくもなかったし、兄がバカな女を抱いてるのかと想像するだけで吐き気もしていた。
 だが、不思議と升谷と兄のそういうシーンには嫌悪を感じない。
 男同士なんて有り得ない…とまでは思っていなかったが、自分の世界には一生関わらないものだと思っていた。
 しかし今は猛烈に興味がわいている。
 「なんでも聞いていいんですよね?」
 新汰はやや強気に升谷に訊ねた。
 酒のせいか、理性というものが薄まっているらしい。
 「い~よ」
 升谷は目を細めると軽い口調で返してきた。
 「兄とはどこまですすんでるんですか?」
 新汰の質問に、細くなっていた目が一瞬丸くなる。
 だが、すぐに元に戻った。
 「どこまでって?」
 「しらばっくれないでくださいよ。子どもじゃないんだから」
 ムッとして言い返すと升谷は笑いながらごめんごめんと謝ってくる。
 「セックスしてるかどうかってこと?」
 「まぁ、つまりそうです」
 直接的な言葉に内心ドキッとする。
 それを悟られないようにグラスに口をつけた。
 「俺がお兄さんとセックスしてるの、やっぱり許せない?」
 升谷はそう言いながら、カウンターの隅へ向かっていく。
 その姿を目で追いながら新汰は答えた。
 「許せないとかそんなことはないんですけど…ただその…兄さん男の人とか経験なさそうだから」
 升谷はカウンターの隅からこちら側へやって来ると、新汰の隣の席に腰掛けた。
 カウンター越しだった距離が一気に縮まる。
 その時、升谷の方からふわりと花のような香りがした。
 今まで付き合ってきた女たちが振り撒いていた強烈なにおいではなく、オリエンタルで控えめな甘い香り。
 もっと近づいてよく知ってみたい…
 そんな風に思わせてくる香りだ。
 「ね、やってみせようか?」
 升谷が何かを提案してくる。
 新汰は首を傾げた。
 「何をです?」
 「俺と奏汰がどんな風にセックスしてるか、知りたいんでしょう?」
 「そりゃあ…まあ…」
 升谷の意図がいまいちわからず、新汰は眉間を寄せて答える。
 
 

 
 
 
 
 
 
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