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明け透けのない言い方にカチンとくる。
年下だと思って舐められてるのかもしれない。
しかし、ここで感情的になってしまってはダメだ。
こちらの印象を悪くすれば兄からの評価を落とすことはもちろん、この男と兄の仲を更に深めてしまうことになりかねない。
「気持ち悪いって思ってるんじゃない?」
「え?」
「いいよ、正直に言って」
升谷はテーブルに頬杖をつくとゆったりとした口調で促してくる。
まるで場慣れしているとでも言いたげな余裕のある態度だ。
内心イラつきながら新汰も負けじと返した。
「別に俺そういうのに偏見ないんで」
「へぇ?」
「だって好きになるのに男も女も関係ないじゃないですか」
升谷の薄い唇が意味ありげに弧を描く。
なんなんだこの男は。
新汰のイライラがますます強くなる。
もしかしてわざとイラつかせてようとしているのか?
兄のいない隙に新汰の怒りを煽り爆発させ、兄が戻ってきたところでしおらしくなる。
そういう戦法なのだろうか?
今までの恋人たちは、弟の新汰にも取り繕うタイプばかりだった。
当たり障りのない会話をして、どうでもいい話題に花を咲かせる。
そうすれば女たちの警戒も解け、後々兄から引き離しやすくもなった。
それが普通で当たり前だったのに、この男は性別も含めてイレギュラーすぎる。
蓼食う虫も好き好きと言うが一体兄はこの男のどこに惚れたのだろうか。
新汰は気持ちを落ち着かせるために飲みたくもないウーロン茶を喉の奥に流し込む。
すると、升谷が微笑みながらメニューを差し出してきた。
いつの間にか新汰のグラスは空になっている。
「どうも」
新汰はやや冷たく言うとメニューを受け取り目の前で大きく広げた。
メニューで升谷を視界から隠すと、その内側でぐるぐると牙を剥く。
「好きになるのに男も女も関係ない…か」
升谷の声がメニューの向こう側から聞こえてくる。
癪に障るのんびりとした口調に、新汰はフン、と鼻を鳴らした。
それのどこが引っかかるというんだ。
「そうだよね、この世の中にはいろんな愛のかたちがある。例えば血の繋がった兄弟同士でも愛し合っている人たちはいるしね」
それまで怒りで煮立っていた新汰の思考はたちまち冷めた。
年下だと思って舐められてるのかもしれない。
しかし、ここで感情的になってしまってはダメだ。
こちらの印象を悪くすれば兄からの評価を落とすことはもちろん、この男と兄の仲を更に深めてしまうことになりかねない。
「気持ち悪いって思ってるんじゃない?」
「え?」
「いいよ、正直に言って」
升谷はテーブルに頬杖をつくとゆったりとした口調で促してくる。
まるで場慣れしているとでも言いたげな余裕のある態度だ。
内心イラつきながら新汰も負けじと返した。
「別に俺そういうのに偏見ないんで」
「へぇ?」
「だって好きになるのに男も女も関係ないじゃないですか」
升谷の薄い唇が意味ありげに弧を描く。
なんなんだこの男は。
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もしかしてわざとイラつかせてようとしているのか?
兄のいない隙に新汰の怒りを煽り爆発させ、兄が戻ってきたところでしおらしくなる。
そういう戦法なのだろうか?
今までの恋人たちは、弟の新汰にも取り繕うタイプばかりだった。
当たり障りのない会話をして、どうでもいい話題に花を咲かせる。
そうすれば女たちの警戒も解け、後々兄から引き離しやすくもなった。
それが普通で当たり前だったのに、この男は性別も含めてイレギュラーすぎる。
蓼食う虫も好き好きと言うが一体兄はこの男のどこに惚れたのだろうか。
新汰は気持ちを落ち着かせるために飲みたくもないウーロン茶を喉の奥に流し込む。
すると、升谷が微笑みながらメニューを差し出してきた。
いつの間にか新汰のグラスは空になっている。
「どうも」
新汰はやや冷たく言うとメニューを受け取り目の前で大きく広げた。
メニューで升谷を視界から隠すと、その内側でぐるぐると牙を剥く。
「好きになるのに男も女も関係ない…か」
升谷の声がメニューの向こう側から聞こえてくる。
癪に障るのんびりとした口調に、新汰はフン、と鼻を鳴らした。
それのどこが引っかかるというんだ。
「そうだよね、この世の中にはいろんな愛のかたちがある。例えば血の繋がった兄弟同士でも愛し合っている人たちはいるしね」
それまで怒りで煮立っていた新汰の思考はたちまち冷めた。
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