15 / 34
第一章
第十五話 終わりの日
しおりを挟む
国王による王妃及び第二王子殺害の事件ののち、フィー家ら三公を筆頭に、王家の変更要求が議会に提出された。
しかし現王ゼシウスは、それを一瞥して退ける。
「つまらん」
そして、反乱は起こった。
もはや王家に集まる不満は、抑えようがないほどに膨らんでいた。それはゼシウスにだけではなく、すでにこの世にいない王妃の散財による財政難からくる増税なども含まれていた。王家につくものはほとんどおらず、しかし長い歴史の中で切れない絆もあったのか、王家の為に剣を取るものたちも確かにいた。
それらを武で退け、ザルバロはゼシウスの前に立つ。
「ベレロフォーン家は、これで終わりだ」
「ザルバロか」
「私利私欲でしか動かない王は、もう必要ない」
「そうか、まあいい」
ゼシウスは、自分を討つものが来るのを玉座に座り待っていた。周りには、散々抱いた女たちの死体が転がっている。その中には、聖女ミアの姿もあった。
「……何か、言い残したことはあるか」
「……あれは……ジスは、どうしてる」
「もう、ここにはいない」
「そうか」
そういうと、ふっと笑んで血塗られた剣を構えザルバロに突進してきた。
「っ!!」
咄嗟に剣を構えるザルバロ。
ゼシウスは、自身の剣を交えることなく、ザルバロの剣に身を沈めた。
「ゼシウス王……」
「ああ……俺は、好き勝手やらせて、もらった……。先に行って、待っていると……ジス、に……」
「…………」
ずるりと崩れ落ちるゼシウス。
床に倒れ動かなくなった王に向けて、ザルバロはひと言「はい」と言葉を落とした。
ゼシウスは、王としては失格者だった。仕事は全て臣下に任せ、政治にはまるで関わってこなかった。
王家の役割は血を繋ぐことと思っていたので、子を成すことはしていた。豪胆な性格と容姿は女に好まれたので、それが仕事ならばまさに天職である。ゼシウスは、誰もが惹かれ体を差し出すほどに魅力的な男であった。
ただ、それだけだった……。
しかし現王ゼシウスは、それを一瞥して退ける。
「つまらん」
そして、反乱は起こった。
もはや王家に集まる不満は、抑えようがないほどに膨らんでいた。それはゼシウスにだけではなく、すでにこの世にいない王妃の散財による財政難からくる増税なども含まれていた。王家につくものはほとんどおらず、しかし長い歴史の中で切れない絆もあったのか、王家の為に剣を取るものたちも確かにいた。
それらを武で退け、ザルバロはゼシウスの前に立つ。
「ベレロフォーン家は、これで終わりだ」
「ザルバロか」
「私利私欲でしか動かない王は、もう必要ない」
「そうか、まあいい」
ゼシウスは、自分を討つものが来るのを玉座に座り待っていた。周りには、散々抱いた女たちの死体が転がっている。その中には、聖女ミアの姿もあった。
「……何か、言い残したことはあるか」
「……あれは……ジスは、どうしてる」
「もう、ここにはいない」
「そうか」
そういうと、ふっと笑んで血塗られた剣を構えザルバロに突進してきた。
「っ!!」
咄嗟に剣を構えるザルバロ。
ゼシウスは、自身の剣を交えることなく、ザルバロの剣に身を沈めた。
「ゼシウス王……」
「ああ……俺は、好き勝手やらせて、もらった……。先に行って、待っていると……ジス、に……」
「…………」
ずるりと崩れ落ちるゼシウス。
床に倒れ動かなくなった王に向けて、ザルバロはひと言「はい」と言葉を落とした。
ゼシウスは、王としては失格者だった。仕事は全て臣下に任せ、政治にはまるで関わってこなかった。
王家の役割は血を繋ぐことと思っていたので、子を成すことはしていた。豪胆な性格と容姿は女に好まれたので、それが仕事ならばまさに天職である。ゼシウスは、誰もが惹かれ体を差し出すほどに魅力的な男であった。
ただ、それだけだった……。
1
お気に入りに追加
499
あなたにおすすめの小説
自称マッチョな伯爵令息に婚約破棄された侯爵令嬢は、冒険者になります
みこと
ファンタジー
「ディアナ、貴様との婚約は破棄する!」まさにテンプレな婚約破棄宣言をしたのはヴォルフ伯爵家嫡男、カール。残念ながら、彼は私、シュナイダー侯爵家次女、ディアナの婚約者です。
実は私、元日本人の転生者です。
少し、いやかなり残念なカールはマッチョを自称し、何でも「真実の愛」を見つけたらしいです。
まぁ「ふ〜ん」って感じです。
マッチョって言うより肥満でしょう...私は細マッチョがいいです。むふ♡
晴れて自由になった私は冒険者になろうと思います。
不憫なままではいられない、聖女候補になったのでとりあえずがんばります!
吉野屋
恋愛
母が亡くなり、伯父に厄介者扱いされた挙句、従兄弟のせいで池に落ちて死にかけたが、
潜在していた加護の力が目覚め、神殿の池に引き寄せられた。
美貌の大神官に池から救われ、聖女候補として生活する事になる。
母の天然加減を引き継いだ主人公の新しい人生の物語。
(完結済み。皆様、いつも読んでいただいてありがとうございます。とても励みになります)
虐げられるのは嫌なので、モブ令嬢を目指します!
八代奏多
恋愛
伯爵令嬢の私、リリアーナ・クライシスはその過酷さに言葉を失った。
社交界がこんなに酷いものとは思わなかったのだから。
あんな痛々しい姿になるなんて、きっと耐えられない。
だから、虐められないために誰の目にも止まらないようにしようと思う。
ーー誰の目にも止まらなければ虐められないはずだから!
……そう思っていたのに、いつの間にかお友達が増えて、ヒロインみたいになっていた。
こんなはずじゃなかったのに、どうしてこうなったのーー!?
※小説家になろう様・カクヨム様にも投稿しています。
義妹がすぐに被害者面をしてくるので、本当に被害者にしてあげましょう!
新野乃花(大舟)
恋愛
「フランツお兄様ぁ〜、またソフィアお姉様が私の事を…」「大丈夫だよエリーゼ、僕がちゃんと注意しておくからね」…これまでにこのような会話が、幾千回も繰り返されれきた。その度にソフィアは夫であるフランツから「エリーゼは繊細なんだから、言葉や態度には気をつけてくれと、何度も言っているだろう!!」と責められていた…。そしてついにソフィアが鬱気味になっていたある日の事、ソフィアの脳裏にあるアイディアが浮かんだのだった…!
※過去に投稿していた「孤独で虐げられる気弱令嬢は次期皇帝と出会い、溺愛を受け妃となる」のIFストーリーになります!
※カクヨムにも投稿しています!
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
今さら跡継ぎと持ち上げたって遅いです。完全に心を閉ざします
匿名希望ショタ
恋愛
血筋&魔法至上主義の公爵家に生まれた魔法を使えない女の子は落ちこぼれとして小さい窓しかない薄暗く汚い地下室に閉じ込められていた。当然ネズミも出て食事でさえ最低限の量を一日一食しか貰えない。そして兄弟達や使用人達が私をストレスのはけ口にしにやってくる。
その環境で女の子の心は崩壊していた。心を完全に閉ざし無表情で短い返事だけするただの人形に成り果ててしまったのだった。
そんな時兄弟達や両親が立て続けに流行病で亡くなり跡継ぎとなった。その瞬間周りの態度が180度変わったのだ。
でも私は完全に心を閉ざします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる