婚約破棄された仮面令嬢は今宵もひた隠す〜それは幸せな第二の人生を歩むため〜

【あなたと最初で最後の人生を歩みたい】
そう思うのは、誰も寄り付かない辺境の地の領主――公爵令嬢ユリア・アルバレア。
とある王国の第一王太子に婚約を破棄されるも、終始無言のまま動揺すらせず、その場を立ち去った。彼女はとっくの前に幸せを掴んでいたのだ。

そんなユリアは今宵も仮面を着け目元を隠す。それは幼い頃、目に大きな火傷を負い、その跡が残っているからこそだった。

ユリアでも今は平民の出の婚約者クレンと幸せな日々を送っている。しかし彼との年の差は十歳以上。物事の考え方や趣味も違う。
そんな何もかも違う二人だが、たった一つだけ同じ思いを胸に秘めている。
それは生涯お互い愛し付き添い、悔いの残らない幸せな第二の人生を歩もうというものだった。