37 / 47
夢か現か幻か
検証―②
しおりを挟む
イツキから出されたレモン水をゴクゴクと飲みつつ俺は思う。
喉を潤しながら検証結果を聞くと、やはり俺は完全に異質な存在なのは確かだ。
そもそもこの世界――アーズガルドにおける魔法には3つの原則が存在する。
第一に、アーズガルドにおける魔法は第六魔級まで。
第二に、英雄の領域である者が行使できる魔法は第四魔級まで。
第三に、魔法適正を有していない者は生涯魔法の行使が出来ないという三原則だ。
何故この三原則を今思い出しているのか。
それはかつての俺は魔法を行使できなかった――所謂欠陥品であった。
どんな子でも第一魔級程度までなら行使できるのがアーズガルドの住人。
なのに俺はそれすら出来ないことから、よくイジメにもあっていた。
悲しいかな、アーズガルドで魔法を行使できない者には優しくない世界だ。
だからなのだろうか、そんな優しくない世界で俺は有名になりたかった。
戦士としては凡人並みであり、通っていた剣術道場でも中の中であり。
だが生まれつき他の者達よりも手先が器用だったのが唯一の取り柄。
なので剣術道場に通うのをやめ、野伏になるために修行し。
下準備をしっかり整えた後に冒険者ギルドの門を開き。
アーズガルドでは俺の名を知らない者はいない存在まで上り詰めた。
魔法の一つも使えない出来損ないだった俺が成し得た快挙だと言ってもいい。
そんな俺だからハッキリと分かる――この世にあってはならない存在だ。
アーズガルドの三原則を根底から覆す存在なんて有り得ないだろ?
何せ魔法適正が皆無の俺には、そもそも各種属性の耐性を得ることは不可能。
装備などである程度属性の耐性は得られることは出来る、出来るのだが。
せいぜい第三魔級まで――いや、十分すぎる性能であるが……。
だからこそだ、では俺は果たして一体何者であるのか?
最早この世の理すら捻じ曲げんとする存在――化け物すら泣き喚く存在。
第八魔級の炎をも無効化できる人間を超越したナニか。
あー、クソ! 情報があまりにも多すぎる! 一体何者なんだ、俺は!?
「お兄様ー? レモン水のお代わりどうですかー? まだまだお代わりありますよー?」
「……あ、あぁ。すまないな。じゃあ貰おうか?」
「はいですー! じゃんじゃん飲んでくださいねー! そう言えばバーニングクマキチ2号の感想聞かせて欲しいです! どうですかー? クマちゃんのお口の中でこんがりと焼くことをコンセプトに作ってみました! えっへん!」
あー、あの白と黒のツートンカラーの変な顔の熊のことか?
アヘ顔ダブルピースの熊の中で焼かれてたんだよな、俺って……。
というよりアレは熊か? なんで白と黒のツートンカラーなの? 舐めてるの?
まぁ架空の存在の熊なんだろうが、このゴスロリ幼女さぁ?
お前はどういうコンセプトでこれ作ったんだ?
そもそも2号ってなんだよ、2号あるのかよ……。
「口の中がコンセプトってのはよく分かるんだけど、別に熊じゃなくても良かったんじゃ――」
「えー! クマちゃんという愛くるしい動物さんのお口の中で悶え苦しむ姿を見たいじゃないですかー! しかもこの表情見てよ、お兄様! もうクマちゃんがね、んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! って叫びながら悦ぶ感じが出ているでしょ! 消し炭になったら涎プシャーって感じで流れ出す設計だったのにぃ! 全く、お兄様はまだまだ女の子の気持ち理解していませんね♡」
そんなの理解出来るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
どういうシチュエーションなの、ねぇ!? 本気で怖いよ、この幼女!
ニーア! コイツの脳内を取り換えてこい! どういう教育してんだ!
ん? ちょ、ちょっと待てよ? ま、まさか――。
「あ、あのさ? お、お前さ? も、若しかして俺が悶え苦しむ姿見たかったの?」
「そ、そんな! ま、まさか大好きなお兄さまをこんがり上手に焼こうだなんて思ってませんですー! そんなことしたらニーア姉様達にマジで怒られますですー! 半殺し程度なら許してくれるはずですしー! で、半殺しになったお兄様の上に跨って馬さんごっこしたかったなんて口が裂けても言えないですー!」
ハハハ、こやつめ!
俺を半殺し程度で遊ぼうとしていたってことだな!
で、回復させずに乗馬したかったわけか!
うんうん、なるほどなるほどねぇ……。
「このクソビッチロリっ子がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! お仕置きの時間だべー! わははははは! アヘ顔ダブルピースになれや、ごらぁ!?」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! そ、その手の動きは、ま、まさか!? く、くすぐりの刑は勘弁ですー! う……、キャハハハ! ちょ、お兄様! 優しくしてくださいですー! あぁん♡ 脇はだめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
もうやだこの幼女。
喉を潤しながら検証結果を聞くと、やはり俺は完全に異質な存在なのは確かだ。
そもそもこの世界――アーズガルドにおける魔法には3つの原則が存在する。
第一に、アーズガルドにおける魔法は第六魔級まで。
第二に、英雄の領域である者が行使できる魔法は第四魔級まで。
第三に、魔法適正を有していない者は生涯魔法の行使が出来ないという三原則だ。
何故この三原則を今思い出しているのか。
それはかつての俺は魔法を行使できなかった――所謂欠陥品であった。
どんな子でも第一魔級程度までなら行使できるのがアーズガルドの住人。
なのに俺はそれすら出来ないことから、よくイジメにもあっていた。
悲しいかな、アーズガルドで魔法を行使できない者には優しくない世界だ。
だからなのだろうか、そんな優しくない世界で俺は有名になりたかった。
戦士としては凡人並みであり、通っていた剣術道場でも中の中であり。
だが生まれつき他の者達よりも手先が器用だったのが唯一の取り柄。
なので剣術道場に通うのをやめ、野伏になるために修行し。
下準備をしっかり整えた後に冒険者ギルドの門を開き。
アーズガルドでは俺の名を知らない者はいない存在まで上り詰めた。
魔法の一つも使えない出来損ないだった俺が成し得た快挙だと言ってもいい。
そんな俺だからハッキリと分かる――この世にあってはならない存在だ。
アーズガルドの三原則を根底から覆す存在なんて有り得ないだろ?
何せ魔法適正が皆無の俺には、そもそも各種属性の耐性を得ることは不可能。
装備などである程度属性の耐性は得られることは出来る、出来るのだが。
せいぜい第三魔級まで――いや、十分すぎる性能であるが……。
だからこそだ、では俺は果たして一体何者であるのか?
最早この世の理すら捻じ曲げんとする存在――化け物すら泣き喚く存在。
第八魔級の炎をも無効化できる人間を超越したナニか。
あー、クソ! 情報があまりにも多すぎる! 一体何者なんだ、俺は!?
「お兄様ー? レモン水のお代わりどうですかー? まだまだお代わりありますよー?」
「……あ、あぁ。すまないな。じゃあ貰おうか?」
「はいですー! じゃんじゃん飲んでくださいねー! そう言えばバーニングクマキチ2号の感想聞かせて欲しいです! どうですかー? クマちゃんのお口の中でこんがりと焼くことをコンセプトに作ってみました! えっへん!」
あー、あの白と黒のツートンカラーの変な顔の熊のことか?
アヘ顔ダブルピースの熊の中で焼かれてたんだよな、俺って……。
というよりアレは熊か? なんで白と黒のツートンカラーなの? 舐めてるの?
まぁ架空の存在の熊なんだろうが、このゴスロリ幼女さぁ?
お前はどういうコンセプトでこれ作ったんだ?
そもそも2号ってなんだよ、2号あるのかよ……。
「口の中がコンセプトってのはよく分かるんだけど、別に熊じゃなくても良かったんじゃ――」
「えー! クマちゃんという愛くるしい動物さんのお口の中で悶え苦しむ姿を見たいじゃないですかー! しかもこの表情見てよ、お兄様! もうクマちゃんがね、んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! って叫びながら悦ぶ感じが出ているでしょ! 消し炭になったら涎プシャーって感じで流れ出す設計だったのにぃ! 全く、お兄様はまだまだ女の子の気持ち理解していませんね♡」
そんなの理解出来るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
どういうシチュエーションなの、ねぇ!? 本気で怖いよ、この幼女!
ニーア! コイツの脳内を取り換えてこい! どういう教育してんだ!
ん? ちょ、ちょっと待てよ? ま、まさか――。
「あ、あのさ? お、お前さ? も、若しかして俺が悶え苦しむ姿見たかったの?」
「そ、そんな! ま、まさか大好きなお兄さまをこんがり上手に焼こうだなんて思ってませんですー! そんなことしたらニーア姉様達にマジで怒られますですー! 半殺し程度なら許してくれるはずですしー! で、半殺しになったお兄様の上に跨って馬さんごっこしたかったなんて口が裂けても言えないですー!」
ハハハ、こやつめ!
俺を半殺し程度で遊ぼうとしていたってことだな!
で、回復させずに乗馬したかったわけか!
うんうん、なるほどなるほどねぇ……。
「このクソビッチロリっ子がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! お仕置きの時間だべー! わははははは! アヘ顔ダブルピースになれや、ごらぁ!?」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! そ、その手の動きは、ま、まさか!? く、くすぐりの刑は勘弁ですー! う……、キャハハハ! ちょ、お兄様! 優しくしてくださいですー! あぁん♡ 脇はだめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
もうやだこの幼女。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
男気ゴリラが大暴れ!恋する魔法少女リーザロッテは今日も右往左往!
ニセ梶原康弘
ファンタジー
『昨日より今日、今日より明日、きっと素敵な何かが待っている…』
流浪の底辺魔法少女リーザロッテは空腹で行き倒れていたところを王子様に助けられ一目惚れ。だが彼の国は横暴な隣国の前に風前の灯火だった。その上、隣国で暗躍する魔法少女も彼に熱烈求愛!
果たしてリーザロッテは愛する彼の国を救い、シンデレラになれるのか?
明日を信じる彼女に奇跡を授けるのは…読者のあなたかも知れない
めざせ魔獣博士!!~筆は剣より強し~
暇人太一
ファンタジー
転校のための学校見学中に集団転生に巻き込まれた林田壮真。
慈悲深い女神様が信徒に会う代わりに転生させてくれ、異世界で困らないようにステータスの設定もさせてくれることに。
その際、壮真は選択できる中で一番階級が低い中級職業である【魔獣学者】を選んだ。
理由は誰とも競合しそうにないということと、面白そうだからという二つ。
しかも、ユニークスキルが【魔獣図鑑】という収集モノ。
無能を演じ、七人の勇者たちを生贄にして図鑑をコンプリートするための旅を謳歌する。
そんな物語である。
魔獣ゲットだぜっ!!!
正義の剣は闘いを欲する
花邑 肴
ファンタジー
とある任務の失敗で子供化(10歳)&魔力減退の呪いに掛かってしまった、アルカサール王国・憲兵魔術師エフェルローン(26歳) 世界でも指折りの最弱魔術師と成り果てた彼を、ここぞとばかりに貶めたのは、正義を行使する責務に携わる職場の上官や、同僚たちであった。
それから数年後。
上司からのオーバーワークや同僚からの陰口などの嫌がらせに耐え続け、正義への信念を捨て去る代わりに、それなりの緩く平穏な生活を手に入れたエフェルローン。
しかし、その平穏な生活は、とある任務と正義感溢れる一人の新米女憲兵の教育を上官から託される事により徐々に崩壊していく。
事件と新米女憲兵との関わりの中、見せつけられるのは至る所に蔓延る正義の歪み。
正されるべきだと分かっていながらも、自分への無力感や正義に対する不信感から見て見ぬふりを決め込もうとするエフェルローン。
しかし、新米女憲兵や事件に無理やり巻き込んだ後輩たちの、正義を貫こうとする真っ直ぐで直向きな様子に。
自らの正義を殺したエフェルローンの心は揺れる。
そんな、正義と不義の狭間を漂う彼が、最後に選ぶ自らの正義の形とは――?
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
Re:オークキング ~呪毒でオーク堕ちした第八王子、美少女を寝取るスキルだけで生き残ってやる!?”美少女わらしべ”復讐劇~
書記係K君
ファンタジー
王位継承を争う”第一王子”に呪毒を盛られ、異世界最弱の【豚頭鬼-オーク-】になってしまった”第八王子”。
彼は復讐を誓うと、女を支配する能力だけを武器に――村娘を襲い、罠を仕掛け、村を奪い、エルフを騙し、
ゴブリンと戦争し……徐々に復讐を成し遂げていく。【ダークファンタジー”美少女わらしべ”復讐劇】
◆◇◆
※ご感想なども頂けると大変嬉しいです。”ぶひっ”の一言でも嬉しいです笑。
※おかげ様で”HOTランキング”入りできました!
※第1回「次世代ファンタジーカップ」最終順位38位にランクインできました!
皆さまに応援いただいたおかげです。本当にありがとうございます!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる