RE:狂奔転生ブラッドヴラド

四五茶

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夢か現か幻か

検証―②

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 イツキから出されたレモン水をゴクゴクと飲みつつ俺は思う。
 喉を潤しながら検証結果を聞くと、やはり俺は完全に異質な存在なのは確かだ。
 そもそもこの世界――アーズガルドにおける魔法には3つの原則が存在する。
 第一に、アーズガルドにおける魔法は第六魔級サークルまで。
 第二に、英雄の領域である者が行使できる魔法は第四魔級まで。
 第三に、魔法適正を有していない者は生涯魔法の行使が出来ないという三原則だ。

 何故この三原則を今思い出しているのか。
 それはかつての俺は魔法を行使できなかった――所謂欠陥品であった。
 どんな子でも第一魔級程度までなら行使できるのがアーズガルドの住人。
 なのに俺はそれすら出来ないことから、よくイジメにもあっていた。
 悲しいかな、アーズガルドで魔法を行使できない者には優しくない世界だ。

 だからなのだろうか、そんな優しくない世界で俺は有名になりたかった。
 戦士としては凡人並みであり、通っていた剣術道場でも中の中であり。
 だが生まれつき他の者達よりも手先が器用だったのが唯一の取り柄。
 なので剣術道場に通うのをやめ、野伏レンジャーになるために修行し。
 下準備をしっかり整えた後に冒険者ギルドの門を開き。
 アーズガルドでは俺の名を知らない者はいない存在まで上り詰めた。
 魔法の一つも使えない出来損ないだった俺が成し得た快挙だと言ってもいい。

 そんな俺だからハッキリと分かる――この世にあってはならない存在だ。
 アーズガルドの三原則を根底から覆す存在なんて有り得ないだろ?
 何せ魔法適正が皆無の俺には、そもそも各種属性の耐性を得ることは不可能。
 装備などである程度属性の耐性は得られることは出来る、出来るのだが。
 せいぜい第三魔級まで――いや、十分すぎる性能であるが……。

 だからこそだ、では俺は果たして一体何者であるのか?
 最早この世の理すら捻じ曲げんとする存在――化け物すら泣き喚く存在。
 第八魔級の炎をも無効化できる人間を超越したナニか。
 あー、クソ! 情報があまりにも多すぎる! 一体何者なんだ、俺は!?

「お兄様ー? レモン水のお代わりどうですかー? まだまだお代わりありますよー?」
「……あ、あぁ。すまないな。じゃあ貰おうか?」
「はいですー! じゃんじゃん飲んでくださいねー! そう言えばバーニングクマキチ2号の感想聞かせて欲しいです! どうですかー? クマちゃんのお口の中でこんがりと焼くことをコンセプトに作ってみました! えっへん!」

 あー、あの白と黒のツートンカラーの変な顔の熊のことか?
 アヘ顔ダブルピースの熊の中で焼かれてたんだよな、俺って……。
 というよりアレは熊か? なんで白と黒のツートンカラーなの? 舐めてるの?
 まぁ架空の存在の熊なんだろうが、このゴスロリ幼女さぁ?
 お前はどういうコンセプトでこれ作ったんだ? 
 そもそも2号ってなんだよ、2号あるのかよ……。

「口の中がコンセプトってのはよく分かるんだけど、別に熊じゃなくても良かったんじゃ――」
「えー! クマちゃんという愛くるしい動物さんのお口の中で悶え苦しむ姿を見たいじゃないですかー! しかもこの表情見てよ、お兄様! もうクマちゃんがね、んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! って叫びながら悦ぶ感じが出ているでしょ! 消し炭になったら涎プシャーって感じで流れ出す設計だったのにぃ! 全く、お兄様はまだまだ女の子の気持ち理解していませんね♡」

 そんなの理解出来るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
 どういうシチュエーションなの、ねぇ!? 本気で怖いよ、この幼女!
 ニーア! コイツの脳内を取り換えてこい! どういう教育してんだ!
 ん? ちょ、ちょっと待てよ? ま、まさか――。

「あ、あのさ? お、お前さ? も、若しかして俺が悶え苦しむ姿見たかったの?」
「そ、そんな! ま、まさか大好きなお兄さまをこんがり上手に焼こうだなんて思ってませんですー! そんなことしたらニーア姉様達にマジで怒られますですー! 半殺し程度なら許してくれるはずですしー! で、半殺しになったお兄様の上に跨って馬さんごっこしたかったなんて口が裂けても言えないですー!」

 ハハハ、こやつめ!
 俺を半殺し程度で遊ぼうとしていたってことだな! 
 で、回復させずに乗馬したかったわけか! 
 うんうん、なるほどなるほどねぇ……。

「このクソビッチロリっ子がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! お仕置きの時間だべー! わははははは! アヘ顔ダブルピースになれや、ごらぁ!?」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! そ、その手の動きは、ま、まさか!? く、くすぐりの刑は勘弁ですー! う……、キャハハハ! ちょ、お兄様! 優しくしてくださいですー! あぁん♡ 脇はだめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 もうやだこの幼女。
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