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炎獄より悪意を込めて
後始末―②
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メビウスと屋敷に戻り、ローリィーの到着を応接室にて待つ。
先程到着したばかりのエールが紅茶などを準備しているのは分かる。
それはメイドの役割を果たしているからな、実に素晴らしい。
だがな、ニーアよ? お前は別にここにいる必要はないのではないか?
「貴方様の警護は私の務め」とかドヤ顔で言ってたけどさ?
その務めであれば、多分エールで事足りると俺は思うぞ?
「――貴方様、私の顔をまじまじと見てどうされましたか?」
「……いやな、お前がここにいる必要は全くないんじゃないか?」
「何を言いますか、全く……。私は貴方様の専属メイドでございます。ハーモニーの件もそうですし、メビウスもそうです。どこぞの虫が貴方様を狙うか分かったものではないのですよ? 少しぐらいご自覚してください」
――パリン!
おわっ!? エ、エール、ど、ど、どうしたぁ!?
普段のお前ならば有り得ないぞ、カップを割ってしまうだなんて。
普通に落としたのならば百歩譲って分かる、分かるが!?
爪が手に食い込むほど握る必要はないよね!?
白亜のような色のタイルを真っ赤に染める必要はないよね!?
「こ、これは大変失礼しました! すぐに替えのコップを用意します! も、申し訳ございません!」
替えのコップよりも大事なことがあると思うんだが!?
「エ、エール! 手は何ともないか!? あぁもう! ったく俺のハンカチで止血しないと……。よし、多少血は滲むが手当してこい。全く、体を大事にしろよ」
「あ、ありがとうございます! 坊ちゃまは本当にお優しいですね♪ ――ニーア様、その話を詳しくお聞かせくださることは可能でしょうか?」
「ローリィー様がお帰りになられたら詳しく教えてあげますよ、エール」
「ありがとうございます。では今すぐ片付けの程を――」
「エール、今は一人になりたいでしょう? それに貴方様も心配しているではありませんか? 後は私がやっておきます」
「……ではお言葉に甘えて。失礼します」
ニ、ニーア、お、お前なぁ……。
エールの性格を分かっているよな? 最も俺のことを最優先する女だぞ?
先程のお前の発言を聞いたらどう思うかぐらい察しろよ、ったく。
普段通りの表情でお前と会話を交わしたが、ありゃあ大層ご立腹だぞ?
「……貴方様、無事で良かったです。心配しておりました」
俺の方を見ずに清掃しながら言われてもそこまで嬉しくはないが。
ご、ごほん! ま、まぁ? コ、コイツなりに心配しているようだし?
べ、別に? ぜ、全然、う、嬉しくないんだからね!
「ハン! 俺が負けるわけないだろうが? なんせ俺だし? 超絶美形主人公的な感じだし、ま、まぁ、よ、余裕だし?」
「……相も変わらず貴方様は貴方様ですね。それとメビウスに関してですが、貴方様が同行の許可をしたというのは本当でしょうか?」
うわぁ……、これどう答えればいいんだ?
許可した覚えがないと言えば、メビウスが絶対根に持つパターンだろ?
で、許可したと認めれば、これからずっとメビウスが付いてくる可能性もある。
ニーアの印象を悪くはしたくないし、下手な嘘もつきたくないな。
が、今回だけはメビウスよ、ちょっとだけ庇ってやるよ。
「いや? お前が俺を心配して同行を許可したんじゃないのか? メビウスからはそう聞いているが、違うのか?」
「……なるほど、そういうことでしたか。あの子は相変わらず貴方様のことになると見境がないですから。ですので、あまり叱らないでおくようにします」
「程々にな。それと、ニーア。今後勝手に俺を尾行させるような真似は絶対させるな。それはニーア、お前とて例外ではない。分かったな?」
「了解しました、貴方様。全員に伝えておきます。タイルの汚れがまだ目立ちますね……。モップなどが不足しているので少々席を外させて頂きます。何か用があればそこのベルを使いくださいませ」
そう言うとニーアはその場から離れて行った。
一応は清掃はしているようだがカップの破片はそのままか、ったく。
仕方がない、俺がこれだけは片付けておいてやるか。
先程到着したばかりのエールが紅茶などを準備しているのは分かる。
それはメイドの役割を果たしているからな、実に素晴らしい。
だがな、ニーアよ? お前は別にここにいる必要はないのではないか?
「貴方様の警護は私の務め」とかドヤ顔で言ってたけどさ?
その務めであれば、多分エールで事足りると俺は思うぞ?
「――貴方様、私の顔をまじまじと見てどうされましたか?」
「……いやな、お前がここにいる必要は全くないんじゃないか?」
「何を言いますか、全く……。私は貴方様の専属メイドでございます。ハーモニーの件もそうですし、メビウスもそうです。どこぞの虫が貴方様を狙うか分かったものではないのですよ? 少しぐらいご自覚してください」
――パリン!
おわっ!? エ、エール、ど、ど、どうしたぁ!?
普段のお前ならば有り得ないぞ、カップを割ってしまうだなんて。
普通に落としたのならば百歩譲って分かる、分かるが!?
爪が手に食い込むほど握る必要はないよね!?
白亜のような色のタイルを真っ赤に染める必要はないよね!?
「こ、これは大変失礼しました! すぐに替えのコップを用意します! も、申し訳ございません!」
替えのコップよりも大事なことがあると思うんだが!?
「エ、エール! 手は何ともないか!? あぁもう! ったく俺のハンカチで止血しないと……。よし、多少血は滲むが手当してこい。全く、体を大事にしろよ」
「あ、ありがとうございます! 坊ちゃまは本当にお優しいですね♪ ――ニーア様、その話を詳しくお聞かせくださることは可能でしょうか?」
「ローリィー様がお帰りになられたら詳しく教えてあげますよ、エール」
「ありがとうございます。では今すぐ片付けの程を――」
「エール、今は一人になりたいでしょう? それに貴方様も心配しているではありませんか? 後は私がやっておきます」
「……ではお言葉に甘えて。失礼します」
ニ、ニーア、お、お前なぁ……。
エールの性格を分かっているよな? 最も俺のことを最優先する女だぞ?
先程のお前の発言を聞いたらどう思うかぐらい察しろよ、ったく。
普段通りの表情でお前と会話を交わしたが、ありゃあ大層ご立腹だぞ?
「……貴方様、無事で良かったです。心配しておりました」
俺の方を見ずに清掃しながら言われてもそこまで嬉しくはないが。
ご、ごほん! ま、まぁ? コ、コイツなりに心配しているようだし?
べ、別に? ぜ、全然、う、嬉しくないんだからね!
「ハン! 俺が負けるわけないだろうが? なんせ俺だし? 超絶美形主人公的な感じだし、ま、まぁ、よ、余裕だし?」
「……相も変わらず貴方様は貴方様ですね。それとメビウスに関してですが、貴方様が同行の許可をしたというのは本当でしょうか?」
うわぁ……、これどう答えればいいんだ?
許可した覚えがないと言えば、メビウスが絶対根に持つパターンだろ?
で、許可したと認めれば、これからずっとメビウスが付いてくる可能性もある。
ニーアの印象を悪くはしたくないし、下手な嘘もつきたくないな。
が、今回だけはメビウスよ、ちょっとだけ庇ってやるよ。
「いや? お前が俺を心配して同行を許可したんじゃないのか? メビウスからはそう聞いているが、違うのか?」
「……なるほど、そういうことでしたか。あの子は相変わらず貴方様のことになると見境がないですから。ですので、あまり叱らないでおくようにします」
「程々にな。それと、ニーア。今後勝手に俺を尾行させるような真似は絶対させるな。それはニーア、お前とて例外ではない。分かったな?」
「了解しました、貴方様。全員に伝えておきます。タイルの汚れがまだ目立ちますね……。モップなどが不足しているので少々席を外させて頂きます。何か用があればそこのベルを使いくださいませ」
そう言うとニーアはその場から離れて行った。
一応は清掃はしているようだがカップの破片はそのままか、ったく。
仕方がない、俺がこれだけは片付けておいてやるか。
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