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炎獄より悪意を込めて
新たな拠点―②
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階段を下りると、ハーモニーがお辞儀をしながら俺を待っていた。
相変わらず男装が良く似合う顔立ちであり、とても凛々しく思える。
そんな彼女の案内を受けて、1階にある応接室までやってきた。
そこには既に二人分のティーカップや焼き菓子が用意されており。
俺と二人で話す場を設けてくれていたのだとすぐに分かった。
「さ、ご主人様。そちらへお座りください。紅茶を淹れますね♪」
そっと俺のカップに紅茶を淹れるハーモニーであるのだが。
仮にハーモニーがライのような平たい胸の民であればどれ程良かったものか。
男の理性を軽く破壊できる二つの果実が今、こうして目の前にある。
しかもご丁寧に胸元だけは素肌が完全に見える状態、コイツは俺を殺す気か?
上機嫌に兎のような尻尾をふりふりしなくてもいいんですよ、お嬢さん?
「ささ、どうぞお飲みください。この紅茶の原料は影食いの森で採れたものを使用しております。城で飲むものよりも質は落ちますが、それでも気軽に飲む分には困らない程度の味であることはボクが保証しますよ?」
「……ほぉ? いや、中々上等なものだぞ、これは。にしてもだ、父上は5年前から既に動いていたのだな」
「はい。ですのでご主人様はこれからこちらで生活して頂き、後日ニーア姉様を含めて他の姉妹達も呼び寄せる手筈となっております。まぁニーア姉様は本日中にはこちらに参られる予定ではありますが」
「念のために聞くが、それは機械人形に限った話か?」
「いえ、当然人造人間の人員も増やしていきます。どうかご安心を! ボクが責任を持ってご主人様のために尽くさせて頂きますので! 朝の食事から夜の食事まで! 何でもお世話します! ふひひひっ! もうボクに全てを捧げるつもりでお任せください!」
な、何故お前はそんな赤面した表情をしながら興奮しているんだ!?
ど、どうしてお前は口から涎をだらしなく垂らしているんだ!?
は、発情期の雌犬のような感じで俺を見るんじゃない! この馬鹿が!
ま、まさかとは思うが、こ、この紅茶が原因なのか!?
うっ……、り、理性を保っていたはずだというのに、お、俺の下半身が!
お、落ち着け、落ち着くのだ! ボルの裸体でも思い浮かべろ、俺!
……よし、人間として大事な何かを失ったが、俺は至って冷静だ。
だが、肝心のこの馬鹿はそうじゃないんだよなぁ……。
おぅ、どうしてお前はさ、両眼がハートマークになってるんですかねぇ?
えっと、この場には俺とハーモニーしかいない状況でさ?
俺は凄く冷静であり、ハーモニーはもうなんかスイッチ入ってるし?
よ、よし! とりあえず聞きたかった情報を聞き出すとするか。
「ご、ごほん! あー、ハーモニー? お、お前のことだ、この周辺の情報は当然仕入れてはいるんだろ?」
「無論でございます! ご主人様と素敵な場所で楽しめるようにと、それはもう余念なく隅々まで調べております! 何なら今からその……、ふひ、ふひひひっ! ちょ、ちょうどニーア姉様もおりませんし、絶好のタイミングですよね!? こ、これは、き、きっと、い、いだ、偉大なるそ、創造主様からのご褒美かと思われます! ご、ご主人様! こ、ここで、ボ、ボクと既成事実を作ろうではありませんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
や、やっぱりあの紅茶にヤバいモノが混入していたんじゃないのか!?
普段のハーモニーならばこんな凶行は絶対しない従順なメイドだ。
そ、それが、い、今や! お、俺とこうやって力比べし!?
う、うぐぐ……! こ、コイツ!? そんなか細い腕で俺を負かすだと!?
ちょ、ソ、ソファーを倒そうとするんじゃない! この馬鹿!?
「ふひっ! ふひひひっ! ご、ご主人様! ボ、ボクのは、初めてをどうぞお受け取り――」
――ガチャ……。
「……ハーモニー、これはどういう状況ですか?」
俺はその時心底安堵し、声がした方向を見たのだが。
そこにいたニーアの表情は何とも形容しがたく。
端的に表現するのであれば、竜の逆鱗より酷く恐ろしい形相というべきか。
俺がすぐに視線をそらし、こうやって神々に救いを乞うているレベル!
クソ! 俺は何も悪くない、悪くないんだよ! 畜生がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
「おぉ! ニーア姉様! 早いご到着ではありませんか!」
「質問の答えになっておりません。どうして貴方様を襲ったのですか?」
「確かにニーア姉様から見たらそう見えたかもしれませんね。申し訳ございません、ご主人様と最近会話をする機会がなかったものですから、つい甘えてたのです。反省しておりますので、何卒ご容赦ください」
「……今回は目を瞑りますが、貴方様に迷惑をかけない範囲でお願いします。私も同席しても宜しいでしょうか? 少々お腹が空いてしまったのですが……」
「これはこれは! ではすぐに焼き菓子の用意をしますので、少々お待ちください♪」
た、助かったと思えばいいんだよな?
ま、まさかハーモニーに力負けしてしまうだなんて予想外なんだが……。
童貞を奪われるよりも遥かにショックが大きすぎるぞ、はぁ……。
相変わらず男装が良く似合う顔立ちであり、とても凛々しく思える。
そんな彼女の案内を受けて、1階にある応接室までやってきた。
そこには既に二人分のティーカップや焼き菓子が用意されており。
俺と二人で話す場を設けてくれていたのだとすぐに分かった。
「さ、ご主人様。そちらへお座りください。紅茶を淹れますね♪」
そっと俺のカップに紅茶を淹れるハーモニーであるのだが。
仮にハーモニーがライのような平たい胸の民であればどれ程良かったものか。
男の理性を軽く破壊できる二つの果実が今、こうして目の前にある。
しかもご丁寧に胸元だけは素肌が完全に見える状態、コイツは俺を殺す気か?
上機嫌に兎のような尻尾をふりふりしなくてもいいんですよ、お嬢さん?
「ささ、どうぞお飲みください。この紅茶の原料は影食いの森で採れたものを使用しております。城で飲むものよりも質は落ちますが、それでも気軽に飲む分には困らない程度の味であることはボクが保証しますよ?」
「……ほぉ? いや、中々上等なものだぞ、これは。にしてもだ、父上は5年前から既に動いていたのだな」
「はい。ですのでご主人様はこれからこちらで生活して頂き、後日ニーア姉様を含めて他の姉妹達も呼び寄せる手筈となっております。まぁニーア姉様は本日中にはこちらに参られる予定ではありますが」
「念のために聞くが、それは機械人形に限った話か?」
「いえ、当然人造人間の人員も増やしていきます。どうかご安心を! ボクが責任を持ってご主人様のために尽くさせて頂きますので! 朝の食事から夜の食事まで! 何でもお世話します! ふひひひっ! もうボクに全てを捧げるつもりでお任せください!」
な、何故お前はそんな赤面した表情をしながら興奮しているんだ!?
ど、どうしてお前は口から涎をだらしなく垂らしているんだ!?
は、発情期の雌犬のような感じで俺を見るんじゃない! この馬鹿が!
ま、まさかとは思うが、こ、この紅茶が原因なのか!?
うっ……、り、理性を保っていたはずだというのに、お、俺の下半身が!
お、落ち着け、落ち着くのだ! ボルの裸体でも思い浮かべろ、俺!
……よし、人間として大事な何かを失ったが、俺は至って冷静だ。
だが、肝心のこの馬鹿はそうじゃないんだよなぁ……。
おぅ、どうしてお前はさ、両眼がハートマークになってるんですかねぇ?
えっと、この場には俺とハーモニーしかいない状況でさ?
俺は凄く冷静であり、ハーモニーはもうなんかスイッチ入ってるし?
よ、よし! とりあえず聞きたかった情報を聞き出すとするか。
「ご、ごほん! あー、ハーモニー? お、お前のことだ、この周辺の情報は当然仕入れてはいるんだろ?」
「無論でございます! ご主人様と素敵な場所で楽しめるようにと、それはもう余念なく隅々まで調べております! 何なら今からその……、ふひ、ふひひひっ! ちょ、ちょうどニーア姉様もおりませんし、絶好のタイミングですよね!? こ、これは、き、きっと、い、いだ、偉大なるそ、創造主様からのご褒美かと思われます! ご、ご主人様! こ、ここで、ボ、ボクと既成事実を作ろうではありませんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
や、やっぱりあの紅茶にヤバいモノが混入していたんじゃないのか!?
普段のハーモニーならばこんな凶行は絶対しない従順なメイドだ。
そ、それが、い、今や! お、俺とこうやって力比べし!?
う、うぐぐ……! こ、コイツ!? そんなか細い腕で俺を負かすだと!?
ちょ、ソ、ソファーを倒そうとするんじゃない! この馬鹿!?
「ふひっ! ふひひひっ! ご、ご主人様! ボ、ボクのは、初めてをどうぞお受け取り――」
――ガチャ……。
「……ハーモニー、これはどういう状況ですか?」
俺はその時心底安堵し、声がした方向を見たのだが。
そこにいたニーアの表情は何とも形容しがたく。
端的に表現するのであれば、竜の逆鱗より酷く恐ろしい形相というべきか。
俺がすぐに視線をそらし、こうやって神々に救いを乞うているレベル!
クソ! 俺は何も悪くない、悪くないんだよ! 畜生がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
「おぉ! ニーア姉様! 早いご到着ではありませんか!」
「質問の答えになっておりません。どうして貴方様を襲ったのですか?」
「確かにニーア姉様から見たらそう見えたかもしれませんね。申し訳ございません、ご主人様と最近会話をする機会がなかったものですから、つい甘えてたのです。反省しておりますので、何卒ご容赦ください」
「……今回は目を瞑りますが、貴方様に迷惑をかけない範囲でお願いします。私も同席しても宜しいでしょうか? 少々お腹が空いてしまったのですが……」
「これはこれは! ではすぐに焼き菓子の用意をしますので、少々お待ちください♪」
た、助かったと思えばいいんだよな?
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