17 / 47
絶対強者を前にして
大剣との出会い―④
しおりを挟む
ぼろ雑巾のような俺はただ城内を彷徨い。
そんな俺を見守るようにニーア達は後ろからだた付き従い。
それがどれだけ惨めであり、どれほど屈辱的なことか!
だから俺は吐きたくもない言葉をニーア達に吐いていた。
もう俺を放っておいてくれ、一人にしてくれと。
「それは出来かねます。私達は貴方様をお守りすると誓っていますので」
いつもの落ち着いた感じでニーアは淡々と語った。
所詮機械人形には人間の心なんか理解できないだろうさ。
いいよな、お前らは――ただ忠実に命令を守ればいいだけなのだからな。
だから俺の心の中なんてどうだっていい、そういうことだろ?
「坊ちゃま。ニーア様が言いたいのは、坊ちゃまを一人にさせたくないのです。それだけは分かって頂けないでしょうか? だからニーア様は他の姉妹の方々までお連れし、こうやって坊ちゃまの警護をしているのですよ?」
ニーアと同じ口調で語るエールに俺は正直吐き気すら覚えた。
そんな過保護など俺は求めていない、逆効果だ!
ふざけやがって! どうして一人にしてくれないんだ、お前らは!
だから俺はニーア達を無視し、再び歩きだし。
虚ろな目をしながら目的地などないように歩き続け。
そして藁にも縋る思いであの場所へと辿り着く。
そう、俺を持ち手に無理矢理させようとしたあの場所へ。
「貴方様、今はゆっくり休むべきです」
ニーアや他の姉妹達が俺の行く手を阻む。
彼女達の瞳は何とも冷徹なことか。
だが俺はどうしても手にしなければならない、あの武器を!
「五月蠅い! ローリィーから貰った大切な武器を壊されたんだ! 今の俺に足りないのは、力だ! そうだろ!? だから父上すら御すことが出来なかった武器が必要なのが何故分からない! 俺はただ強くなりたいだけなんだ!」
「それは認めかねます。ご主人様が許すはずがありま――エール? どうして私達の邪魔をするのですか?」
ニーアが驚くのも無理はない。
予想だにしていなかったが、エールが俺に味方をしていたのだ。
俺の目の前に立ち、俺の意をニーア達に分かりやすく伝え始めたのだ。
「ニーア様や他の皆様方。どうか坊ちゃまのお好きにさせて頂くことは叶わないのでしょうか?」
「私達は貴方様をお守りする立場として、今の坊ちゃまにはこの場所は相応しくないと判断しているだけです」
「それを判断するのはニーア様なのでしょうか? 私にはそう思えません。この場は私に一任して頂けないでしょうか? 私が全責任を持ちますので」
その言葉を聞き、ニーアはゆっくりと目を瞑り。
やがて黙ってエールに向かって頷くと、ニーア達はその場を去って行った。
「ご主人様から許可が下りた、そう見るべきでしょうね」
エールはそうボソっと俺に向かって呟いた。
俺は先程までの自分を酷く恥じ、エールをまともに見れなかった。
だってそうだろ? ニーア達に歯向かうような感じの態度を取ったんだぞ?
それは本来有り得ないことであり、全て俺の責任だ。
だからもう俺はこれ以上エールの力を借りるわけにはいかない。
「……この先は一人で大丈夫だ。ありがとう、エール」
「当然のことをしたまでです。だから坊ちゃま、もうそんな怖い顔をしないでくださいませんか? いつもの明るい坊ちゃまでいてください。それが私の望みですので」
心が少しだけ楽になったような気がする。
だから俺はこんな満身創痍ながらも前へと進むことが出来る。
俺を待っているあの武器の元へ、前へ、前へ。
絶世の美女達よりも俺は醜悪な醜女であるお前を選ぶ。
両腕は使い物にならない、ならば口でお前の衣服を剥いでやろう。
さぁ、俺に姿を見せろ――俺だけの女になれ!
「はぁ……、はぁ……! お前だろ……! 俺に惚れてるんだろ、なぁ!? 決してお前を離さない、離してたまるか! ククク……、クハハハハハ! あぁ……、俺だけの愛しい武器よ……」
そんな俺を見守るようにニーア達は後ろからだた付き従い。
それがどれだけ惨めであり、どれほど屈辱的なことか!
だから俺は吐きたくもない言葉をニーア達に吐いていた。
もう俺を放っておいてくれ、一人にしてくれと。
「それは出来かねます。私達は貴方様をお守りすると誓っていますので」
いつもの落ち着いた感じでニーアは淡々と語った。
所詮機械人形には人間の心なんか理解できないだろうさ。
いいよな、お前らは――ただ忠実に命令を守ればいいだけなのだからな。
だから俺の心の中なんてどうだっていい、そういうことだろ?
「坊ちゃま。ニーア様が言いたいのは、坊ちゃまを一人にさせたくないのです。それだけは分かって頂けないでしょうか? だからニーア様は他の姉妹の方々までお連れし、こうやって坊ちゃまの警護をしているのですよ?」
ニーアと同じ口調で語るエールに俺は正直吐き気すら覚えた。
そんな過保護など俺は求めていない、逆効果だ!
ふざけやがって! どうして一人にしてくれないんだ、お前らは!
だから俺はニーア達を無視し、再び歩きだし。
虚ろな目をしながら目的地などないように歩き続け。
そして藁にも縋る思いであの場所へと辿り着く。
そう、俺を持ち手に無理矢理させようとしたあの場所へ。
「貴方様、今はゆっくり休むべきです」
ニーアや他の姉妹達が俺の行く手を阻む。
彼女達の瞳は何とも冷徹なことか。
だが俺はどうしても手にしなければならない、あの武器を!
「五月蠅い! ローリィーから貰った大切な武器を壊されたんだ! 今の俺に足りないのは、力だ! そうだろ!? だから父上すら御すことが出来なかった武器が必要なのが何故分からない! 俺はただ強くなりたいだけなんだ!」
「それは認めかねます。ご主人様が許すはずがありま――エール? どうして私達の邪魔をするのですか?」
ニーアが驚くのも無理はない。
予想だにしていなかったが、エールが俺に味方をしていたのだ。
俺の目の前に立ち、俺の意をニーア達に分かりやすく伝え始めたのだ。
「ニーア様や他の皆様方。どうか坊ちゃまのお好きにさせて頂くことは叶わないのでしょうか?」
「私達は貴方様をお守りする立場として、今の坊ちゃまにはこの場所は相応しくないと判断しているだけです」
「それを判断するのはニーア様なのでしょうか? 私にはそう思えません。この場は私に一任して頂けないでしょうか? 私が全責任を持ちますので」
その言葉を聞き、ニーアはゆっくりと目を瞑り。
やがて黙ってエールに向かって頷くと、ニーア達はその場を去って行った。
「ご主人様から許可が下りた、そう見るべきでしょうね」
エールはそうボソっと俺に向かって呟いた。
俺は先程までの自分を酷く恥じ、エールをまともに見れなかった。
だってそうだろ? ニーア達に歯向かうような感じの態度を取ったんだぞ?
それは本来有り得ないことであり、全て俺の責任だ。
だからもう俺はこれ以上エールの力を借りるわけにはいかない。
「……この先は一人で大丈夫だ。ありがとう、エール」
「当然のことをしたまでです。だから坊ちゃま、もうそんな怖い顔をしないでくださいませんか? いつもの明るい坊ちゃまでいてください。それが私の望みですので」
心が少しだけ楽になったような気がする。
だから俺はこんな満身創痍ながらも前へと進むことが出来る。
俺を待っているあの武器の元へ、前へ、前へ。
絶世の美女達よりも俺は醜悪な醜女であるお前を選ぶ。
両腕は使い物にならない、ならば口でお前の衣服を剥いでやろう。
さぁ、俺に姿を見せろ――俺だけの女になれ!
「はぁ……、はぁ……! お前だろ……! 俺に惚れてるんだろ、なぁ!? 決してお前を離さない、離してたまるか! ククク……、クハハハハハ! あぁ……、俺だけの愛しい武器よ……」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話
白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。
世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。
その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。
裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。
だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。
そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!!
感想大歓迎です!
※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。
異世界に転生!堪能させて頂きます
葵沙良
ファンタジー
遠宮 鈴霞(とおみやりんか)28歳。
大手企業の庶務課に勤める普通のOL。
今日は何時もの残業が無く、定時で帰宅途中の交差点そばのバス停で事件は起きた━━━━。
ハンドルを切り損なった車が、高校生3人と鈴霞のいるバス停に突っ込んできたのだ!
死んだと思ったのに、目を覚ました場所は白い空間。
女神様から、地球の輪廻に戻るか異世界アークスライドへ転生するか聞かれたのだった。
「せっかくの異世界、チャンスが有るなら行きますとも!堪能させて頂きます♪」
笑いあり涙あり?シリアスあり。トラブルに巻き込まれたり⁉
鈴霞にとって楽しい異世界ライフになるのか⁉
趣味の域で書いておりますので、雑な部分があるかも知れませんが、楽しく読んで頂けたら嬉しいです。戦闘シーンも出来るだけ頑張って書いていきたいと思います。
こちらは《改訂版》です。現在、加筆・修正を大幅に行っています。なので、不定期投稿です。
何の予告もなく修正等行う場合が有りますので、ご容赦下さいm(__)m
あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。
▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ......
どうしようΣ( ̄□ ̄;)
とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!!
R指定は念のためです。
マイペースに更新していきます。
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる