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絶対強者を前にして
大剣との出会い―④
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ぼろ雑巾のような俺はただ城内を彷徨い。
そんな俺を見守るようにニーア達は後ろからだた付き従い。
それがどれだけ惨めであり、どれほど屈辱的なことか!
だから俺は吐きたくもない言葉をニーア達に吐いていた。
もう俺を放っておいてくれ、一人にしてくれと。
「それは出来かねます。私達は貴方様をお守りすると誓っていますので」
いつもの落ち着いた感じでニーアは淡々と語った。
所詮機械人形には人間の心なんか理解できないだろうさ。
いいよな、お前らは――ただ忠実に命令を守ればいいだけなのだからな。
だから俺の心の中なんてどうだっていい、そういうことだろ?
「坊ちゃま。ニーア様が言いたいのは、坊ちゃまを一人にさせたくないのです。それだけは分かって頂けないでしょうか? だからニーア様は他の姉妹の方々までお連れし、こうやって坊ちゃまの警護をしているのですよ?」
ニーアと同じ口調で語るエールに俺は正直吐き気すら覚えた。
そんな過保護など俺は求めていない、逆効果だ!
ふざけやがって! どうして一人にしてくれないんだ、お前らは!
だから俺はニーア達を無視し、再び歩きだし。
虚ろな目をしながら目的地などないように歩き続け。
そして藁にも縋る思いであの場所へと辿り着く。
そう、俺を持ち手に無理矢理させようとしたあの場所へ。
「貴方様、今はゆっくり休むべきです」
ニーアや他の姉妹達が俺の行く手を阻む。
彼女達の瞳は何とも冷徹なことか。
だが俺はどうしても手にしなければならない、あの武器を!
「五月蠅い! ローリィーから貰った大切な武器を壊されたんだ! 今の俺に足りないのは、力だ! そうだろ!? だから父上すら御すことが出来なかった武器が必要なのが何故分からない! 俺はただ強くなりたいだけなんだ!」
「それは認めかねます。ご主人様が許すはずがありま――エール? どうして私達の邪魔をするのですか?」
ニーアが驚くのも無理はない。
予想だにしていなかったが、エールが俺に味方をしていたのだ。
俺の目の前に立ち、俺の意をニーア達に分かりやすく伝え始めたのだ。
「ニーア様や他の皆様方。どうか坊ちゃまのお好きにさせて頂くことは叶わないのでしょうか?」
「私達は貴方様をお守りする立場として、今の坊ちゃまにはこの場所は相応しくないと判断しているだけです」
「それを判断するのはニーア様なのでしょうか? 私にはそう思えません。この場は私に一任して頂けないでしょうか? 私が全責任を持ちますので」
その言葉を聞き、ニーアはゆっくりと目を瞑り。
やがて黙ってエールに向かって頷くと、ニーア達はその場を去って行った。
「ご主人様から許可が下りた、そう見るべきでしょうね」
エールはそうボソっと俺に向かって呟いた。
俺は先程までの自分を酷く恥じ、エールをまともに見れなかった。
だってそうだろ? ニーア達に歯向かうような感じの態度を取ったんだぞ?
それは本来有り得ないことであり、全て俺の責任だ。
だからもう俺はこれ以上エールの力を借りるわけにはいかない。
「……この先は一人で大丈夫だ。ありがとう、エール」
「当然のことをしたまでです。だから坊ちゃま、もうそんな怖い顔をしないでくださいませんか? いつもの明るい坊ちゃまでいてください。それが私の望みですので」
心が少しだけ楽になったような気がする。
だから俺はこんな満身創痍ながらも前へと進むことが出来る。
俺を待っているあの武器の元へ、前へ、前へ。
絶世の美女達よりも俺は醜悪な醜女であるお前を選ぶ。
両腕は使い物にならない、ならば口でお前の衣服を剥いでやろう。
さぁ、俺に姿を見せろ――俺だけの女になれ!
「はぁ……、はぁ……! お前だろ……! 俺に惚れてるんだろ、なぁ!? 決してお前を離さない、離してたまるか! ククク……、クハハハハハ! あぁ……、俺だけの愛しい武器よ……」
そんな俺を見守るようにニーア達は後ろからだた付き従い。
それがどれだけ惨めであり、どれほど屈辱的なことか!
だから俺は吐きたくもない言葉をニーア達に吐いていた。
もう俺を放っておいてくれ、一人にしてくれと。
「それは出来かねます。私達は貴方様をお守りすると誓っていますので」
いつもの落ち着いた感じでニーアは淡々と語った。
所詮機械人形には人間の心なんか理解できないだろうさ。
いいよな、お前らは――ただ忠実に命令を守ればいいだけなのだからな。
だから俺の心の中なんてどうだっていい、そういうことだろ?
「坊ちゃま。ニーア様が言いたいのは、坊ちゃまを一人にさせたくないのです。それだけは分かって頂けないでしょうか? だからニーア様は他の姉妹の方々までお連れし、こうやって坊ちゃまの警護をしているのですよ?」
ニーアと同じ口調で語るエールに俺は正直吐き気すら覚えた。
そんな過保護など俺は求めていない、逆効果だ!
ふざけやがって! どうして一人にしてくれないんだ、お前らは!
だから俺はニーア達を無視し、再び歩きだし。
虚ろな目をしながら目的地などないように歩き続け。
そして藁にも縋る思いであの場所へと辿り着く。
そう、俺を持ち手に無理矢理させようとしたあの場所へ。
「貴方様、今はゆっくり休むべきです」
ニーアや他の姉妹達が俺の行く手を阻む。
彼女達の瞳は何とも冷徹なことか。
だが俺はどうしても手にしなければならない、あの武器を!
「五月蠅い! ローリィーから貰った大切な武器を壊されたんだ! 今の俺に足りないのは、力だ! そうだろ!? だから父上すら御すことが出来なかった武器が必要なのが何故分からない! 俺はただ強くなりたいだけなんだ!」
「それは認めかねます。ご主人様が許すはずがありま――エール? どうして私達の邪魔をするのですか?」
ニーアが驚くのも無理はない。
予想だにしていなかったが、エールが俺に味方をしていたのだ。
俺の目の前に立ち、俺の意をニーア達に分かりやすく伝え始めたのだ。
「ニーア様や他の皆様方。どうか坊ちゃまのお好きにさせて頂くことは叶わないのでしょうか?」
「私達は貴方様をお守りする立場として、今の坊ちゃまにはこの場所は相応しくないと判断しているだけです」
「それを判断するのはニーア様なのでしょうか? 私にはそう思えません。この場は私に一任して頂けないでしょうか? 私が全責任を持ちますので」
その言葉を聞き、ニーアはゆっくりと目を瞑り。
やがて黙ってエールに向かって頷くと、ニーア達はその場を去って行った。
「ご主人様から許可が下りた、そう見るべきでしょうね」
エールはそうボソっと俺に向かって呟いた。
俺は先程までの自分を酷く恥じ、エールをまともに見れなかった。
だってそうだろ? ニーア達に歯向かうような感じの態度を取ったんだぞ?
それは本来有り得ないことであり、全て俺の責任だ。
だからもう俺はこれ以上エールの力を借りるわけにはいかない。
「……この先は一人で大丈夫だ。ありがとう、エール」
「当然のことをしたまでです。だから坊ちゃま、もうそんな怖い顔をしないでくださいませんか? いつもの明るい坊ちゃまでいてください。それが私の望みですので」
心が少しだけ楽になったような気がする。
だから俺はこんな満身創痍ながらも前へと進むことが出来る。
俺を待っているあの武器の元へ、前へ、前へ。
絶世の美女達よりも俺は醜悪な醜女であるお前を選ぶ。
両腕は使い物にならない、ならば口でお前の衣服を剥いでやろう。
さぁ、俺に姿を見せろ――俺だけの女になれ!
「はぁ……、はぁ……! お前だろ……! 俺に惚れてるんだろ、なぁ!? 決してお前を離さない、離してたまるか! ククク……、クハハハハハ! あぁ……、俺だけの愛しい武器よ……」
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