RE:狂奔転生ブラッドヴラド

四五茶

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あの日より1ヵ月後

基礎トレーニング―②

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「おほぉ~! 坊ちゃまお疲れ様っす! ねぇねぇ、どんな気持ちっすかぁ~? ぶひゃひゃひゃひゃ! なんかすっげぇ疲れてるっすねぇ!」

 あ、あのさ? こ、この状態見て察することできないかい?
 瀕死の魚がさ、浜で打ち上げられてピクピク痙攣しているかのような状態だぜ?
 普通の子供はさ、濁流なんかに喜んで飛び込まねぇんだよ! このボケが!
 それを分かっているのにも関わらず飛び込んだ俺もどうかと思うがな!
 頼むから俺のほっぺをツンツンしないで! こら! ほっぺを引っ張るな!

 はぁ……、この馬鹿メイド――ライ・テック・デルタには困ったものだ。
 猫の耳と眼が特徴的な機械人形オートマタなのだが、マジモンのポンコツメイド。
 とにかくいたずら好きな少女であり、胸のまな板具合がなんとも残念なことか。
 普通はこの年頃はもう少し成長していてもいいんのだが、まぁもう手遅れだな。
 安心しろ、ライ、お前のようなまな板が好きな男も多分いるはずだぜ?

「坊ちゃま~? どうして僕のおっぱいを凝視してるんすかぁ~? あ! 欲求不満っすか? いゃ~ん♡ 僕の魅力って本当に天井知らずっす! 僕を欲しちゃうのは分かるんすけどぉ~? もうちょっと男磨いてからにして欲しいっすね!」
「…………え? あ、ごめんね? そのおっぱいでさ、そもそも突き抜ける天井ないよね? なんでそんな勘違いしてるのかな? 揉めないおっぱいなんて俺の胸と同じレベ――」
「あ、聞こえないのでもう喋らなくていいっす! ――覚悟できてるっすよね? オラオラオラオラァァァァァァァァァァ!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 全く嬉しくない腕十字固めをモロに食らう。
 これがニーアやそこにいる他のメイド達ならばさ、男として凄く満足する。
 だがな、て、てめぇのはマジで殺意しか感じねぇんだよ! ダボが!
 唯一お前がマシな部分は尻しかねぇから! って言ったら更に締められるか!
 だ、だすげ、誰かだすげでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 

「ライ様、坊ちゃまも十分に反省しているかと」
「え~? このクソガキが反省するわけないっすよ! 僕のパンティでも興奮しないクソガキっすよ!? 坊ちゃまの好みに合わせてさ、ちゃんとピンク色を選んだのに全く興奮しないインポ野郎っすよ!? ムキィィィィィィィィィィ!」
「……それはきっとまだ坊ちゃまがライ様の魅力を分かっていないだけかと。何せまだ坊ちゃまは幼いですし、もう少し成長すればライ様の魅力に気づくはずです」
「あ、そっか! 小便臭いガキだから興奮しないだけっすよね! ありがとう、エール! 君は本当に賢いメイドっす! これからも坊ちゃまのお世話を頼むっすよ! ぶひゃひゃひゃひゃ!」

 エール・トリニティ、彼女は機械人形ではなく人造人間ホムンクルスだ。
 そんな彼女は他の人造人間とはまるで別次元の存在である。
 ニーア曰く、家事もそうだが戦闘力も自分と遜色ない実力者らしい。
 人造人間のメイド達を束ねる存在でもあり、ボルからの評価も非常に高い。
 故に俺の警護も担当し、そして俺の生活回りも彼女が責任者である。

「坊ちゃま、大丈夫ですか? どうぞ、お飲み物でございます」

 ただ一つ残念なことがあるとすれば、今まさにやろうとしていることだ。
 平然と哺乳瓶を渡し、しかもその中身は栄養価値が高いミルク。
 つまり俺のことを完全に赤ん坊だと思っているのだ、この女神は!
 中身が成人男性の俺からすれば、そのミルクはまさに禁忌の飲み物すぎる!
 そんな禁忌の飲み物を拒絶できるはずなど誰が出来ようか、いや出来ない!
 拒否するようならば、それは女神に対する冒涜に他ならないだろ!
 飲むならば、溺れてしまおう、ママミルク――何言ってるんだ、俺……。

「ぷぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! ぼ、坊ちゃま、マジで最高っす! ねぇねぇ、どうしてそんなに目を輝かせて飲んでいるのでちゅか? エールちゃんのおっぱいだと思って飲んでいる感じでちゅよねー? ママのおっぱいおいちぃでちゅか~?」
「だーぶ……、じゃなくて! ち、違う! ご、誤解だ! こ、これには深い事情が――」
「深い事情なんてないっすよね~? なんで両手でしっかり抱えて飲んでるんでちゅか? やっぱりエールちゃんをママだと思っちゃってるのでちゅ? そりゃあ男の子としてまだまだ成長足りまちぇんね! 母乳大好きな変態さんですねぇ! ぶひゃひゃひゃひゃ!」

 もういいもん、俺、子供だし?
 そんなノリで俺は一生懸命エールのミルクを飲む。
 うん、完全に変態発言やもしれないが、搾りたてな感じが最高なのだ。
 赤ん坊がママのおっぱいを欲する理由を俺は完全に理解した、してしまった。
 だからライに馬鹿にされようが構わない、俺はミルクを飲むために生まれ変わった!
 そう豪語したっていいじゃない! だって人間だもの! 男の子だもの!
 
「坊ちゃま、いい子いい子♪」
「ばぶばーぶ! だーぶだぶだー! ばぶばぶ! きゃははははは!」
「やっべぇっす! またお茶会で坊ちゃまのアホさについて語れるっす!」
「うるせぇペチャパイ。てめぇはおっぱい育ててこい、話はそれからだ」
「――――坊ちゃま? 素振りっすけど、とりあえずいつもの倍でやるっすよ?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? お、横暴だ! ママー、助けて―!」
「坊ちゃま、頑張れば絵本読んであげますよ?」
「ばぶ! がんばりゅ! ばびゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
「……うわぁ、マジでキモいっす」
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