ぽむ・ぽむ・ぽえむ【詩集】

みこと。

文字の大きさ
上 下
4 / 24
ファンタジー

空からこぼれた、星のお話

しおりを挟む
星がまたたく いつもの夜に
空を流れる ひかりおび

深い森へ どっかんこ
天から星が落ちて来た

大きな音を 響かせて
地上に 穴が穿うがたれた

しくしくしく 泣き声が
一晩 森を湿らせて
星の涙で 穴が満ち
朝に生まれた 小さな泉

きらめく光 銀色で
たちまち森の動物の
憩いの場所と にぎわった

昼は水面みなもトリけもの
夜は夜空の月星つきほし
映して星は さびしさを
紛らわせては 過ごしてた

やがて泉は 村人に
知られてしまい 大紛争

皆欲しがるキレイな泉

争いけぶって 血が流れ
清らか泉は しゅに染まる

誰かが叫んで こう言った

「これは、"絶望の泉"だ!」と

泉は大きなふたをされ
けものも夜空も もう見えない
人も誰も 近づかない
さびれた場所に なり果てた





ある日ある時 ふたずらし
星が出てきた 泉から 

きらきら光る しずくにへん
するするするりと 森を

道行く先で出会うのは
倒れた少年 パンいだ
息も絶え絶え 苦しそう

しずくな星が すべり込む
彼の口に 入り込む

途端に開くその瞳
立ってあゆんで 家目指す

小さな妹 空腹で
兄の帰りを持っていた

パン分け ふたり生き延びて
けれども明日は どうしよう

彼の中で ささやいて
小さな星は 伝え教える

森咲く花に その果実
食べれる木の実 様々に
集めて売れば 人気者

そうして日々を 暮らしゆく
兄妹きょうだい仲良く 過ごしゆく



ある日ある時 お城から
兵が押しかけ 兄妹きょうだい
捕らわれ 牢に入れられた

ご領主様の庭園の 薬の木の実を盗んだろう?

われなき罪 濡れ衣で
珍しい実は 森からの
恵みの木の実 伝えても
信じて貰えず 朝に夜
毎日泣いて 妹ぐったり

とうとう兄は決意した
ここから出よう どうすれば

星はこたえる その心

夜中 身体を抜け出して
さぐる城中 噂では
ご領主様の お姫様
重い病をわずらって
薬の木の実 足りてない
庭で栽培 足りてない

「それなら僕が治せます」

牢で呼ばわる少年に
命をカタに 試させる

森奥深く 泉には
そばに花咲く 癒しの木の実
たわわに実る 不思議の実

使えばたちまちやまい癒え
笑顔が戻る お姫様



ある日ある時 その日以来
星と兄妹きょうだい お城から
保護され 泉の薬屋を
開いて始める 人援ひとだす

そうして泉は いつの
“希望の泉”と呼ばれ出す

蓋除ふたのき 常に銀色に
まばゆく光る聖水に
集まる生命いのち 数知れず

兄と妹 お星様
そして微笑むお姫様

めぐる季節に 気がつくと
姫の腕には赤ちゃんが

かつてよく似た少年は
今までは青年 お父さん

地上の星は 今どこに?

すやすやすややと 眠る吾子あこ

そらも地上も 希望にいた

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

しにがみさんとりくくん

ななもりあや
児童書・童話
おりのなかに閉じ込められ死んだりくの目の前に現れたのは、顔は怖いけどとても優しい死神でした

児童絵本館のオオカミ

火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

見習い錬金術士ミミリの冒険の記録〜討伐も採集もお任せください!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?〜

うさみち
児童書・童話
【見習い錬金術士とうさぎのぬいぐるみたちが描く、スパイス混じりのゆるふわ冒険!情報収集のために、お仕事のご依頼も承ります!】 「……襲われてる! 助けなきゃ!」  錬成アイテムの採集作業中に訪れた、モンスターに襲われている少年との突然の出会い。  人里離れた山陵の中で、慎ましやかに暮らしていた見習い錬金術士ミミリと彼女の家族、機械人形(オートマタ)とうさぎのぬいぐるみ。彼女たちの運命は、少年との出会いで大きく動き出す。 「俺は、ある人たちから頼まれて預かり物を渡すためにここに来たんだ」  少年から渡された物は、いくつかの錬成アイテムと一枚の手紙。 「……この手紙、私宛てなの?」  少年との出会いをキッカケに、ミミリはある人、あるアイテムを探すために冒険を始めることに。  ――冒険の舞台は、まだ見ぬ世界へ。  新たな地で、右も左もわからないミミリたちの人探し。その方法は……。 「討伐、採集何でもします!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?」  見習い錬金術士ミミリの冒険の記録は、今、ここから綴られ始める。 《この小説の見どころ》 ①可愛いらしい登場人物 見習い錬金術士のゆるふわ少女×しっかり者だけど寂しがり屋の凄腕美少女剣士の機械人形(オートマタ)×ツンデレ魔法使いのうさぎのぬいぐるみ×コシヌカシの少年⁉︎ ②ほのぼのほんわか世界観 可愛いらしいに囲まれ、ゆったり流れる物語。読了後、「ほわっとした気持ち」になってもらいたいをコンセプトに。 ③時々スパイスきいてます! ゆるふわの中に時折現れるスパイシーな展開。そして時々ミステリー。 ④魅力ある錬成アイテム 錬金術士の醍醐味!それは錬成アイテムにあり。魅力あるアイテムを活用して冒険していきます。 ◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。 ◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。 ◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。 ◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。

盲目魔女さんに拾われた双子姉妹は恩返しをするそうです。

桐山一茶
児童書・童話
雨が降り注ぐ夜の山に、捨てられてしまった双子の姉妹が居ました。 山の中には恐ろしい魔物が出るので、幼い少女の力では山の中で生きていく事なんか出来ません。 そんな中、双子姉妹の目の前に全身黒ずくめの女の人が現れました。 するとその人は優しい声で言いました。 「私は目が見えません。だから手を繋ぎましょう」 その言葉をきっかけに、3人は仲良く暮らし始めたそうなのですが――。 (この作品はほぼ毎日更新です)

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

ことみとライ

雨宮大智
児童書・童話
十才の少女「ことみ」はある日、夢の中で「ライ」というペガサスに会う。ライはことみを「天空の城」へと、連れて行く。天空の城には「創造の泉」があり、ことみのような物語の書き手を待っていたのだった。夢と現実を行き来する「ことみ」の前に、天空の城の女王「エビナス」が現れた⎯⎯。ペガサスのライに導かれて、ことみの冒険が、いま始まる。 【旧筆名:多梨枝伸時代の作品】

守護霊のお仕事なんて出来ません!

柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。 死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。 そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。 助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。 ・守護霊代行の仕事を手伝うか。 ・死亡手続きを進められるか。 究極の選択を迫られた未蘭。 守護霊代行の仕事を引き受けることに。 人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。 「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」 話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎ ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。

処理中です...