7 / 24
ねこ関連
ライムはビタミン!
しおりを挟むとりあえずハッピー先生は後回しにして山小屋へ向かう。
すっかり忘れていたがあの眠り姫がようやく目を覚ましたらしい。
今どうしてることやら。少々気になる。
「いらっしゃい。あれ珍しいお客さんだ。何の用? 」
いつも料理でお世話になってる管理人の女性。
それだけでなく人手が足りないと駆り出されるのでほぼ毎日顔を合わせている。
決して自分から積極的に関わろうとせずサポート役に徹している。
だからなのか名前を知らない。
勝手に管理人さんだとか。山小屋のおばさんと呼んでいる。
本名を知らないから適当に。だからこういう場面では困る。
まあここは素直に奥さんでいいか。
「お邪魔します。ちょっと用事が。二階に上がらせてもらいますね奥さん」
「奥さんって言わないの。二人は夫婦じゃないんだから」
照れながら訂正する。
もちろん知ってるんだけどな……
「二階って? ああそうか。君も見たか。ぜひ見舞ってやってくれ」
謎の少女の存在を隠す訳でもなく会わせない訳でもない。
お見舞いの許しを得る。
「はい、ではお言葉に甘えまして」
「お客さんが一人先に来てる。それと私はちょっと出かけるから留守を頼むよ」
そう言うと女は走って行ってしまった。
これはチャンス? それとも俺は嵌められた?
俺を試すつもりかもしれない。
留守を頼むか…… シードクターもお出かけか。
相談したいことがあったのに。次の機会だな。
二階に上がろうとしたその時声が……
気付かれないように足音を立てずに上へ。
「お名前は? 」
「あーちゃん」
「もう一度。お名前は? 」
「アリー」
「年齢は? 」
「十六歳」
「もう一度」
「十六歳と数ヶ月」
「家族は? 」
「いないよ」
「家族は? 」
「家族なんかじゃない。あいつらは家族なんかじゃない」
さっきまで天使のような少女が声を荒げる。
やはり彼女にも何かしらの過去があるのだろう。
ここに来た者は皆そうだ。トラウマ級の思い出。
何かしら重いのを抱えてる。俺も含めて……
「ここに来た目的は? 」
「連れて来られた」
「目的は? 」
「マウントシーで暮らすこと」
「はいもういいよ。頑張ったね」
聞き取りを終える。
「ねえ一緒に遊ぼう? 」
「ダメダメ! 今日は忙しいの」
甘えん坊のあーちゃんとつれないエレン。
甘える妹とそれを咎める姉。
まるで本当の姉妹のよう。
「彼女の容態はどうだ? 」
ノックもせず入るのは俺の主義じゃないがドアが開いていたら仕方がない。
尋問が終わるまで大人しくしていたのだから文句ないだろ?
「ちょとあなた…… 」
俺の顔を見て怯えている。何かあるのか?
「君の名は確か深海さんだっけ? 俺は大河だ」
知ってるだろうがあーちゃんにも自己紹介しなくてはな。
「知ってますよ。ですが勝手に入るあまりの非礼。この子だって怯えてるじゃない」
よく見ると確かに震えている。これはまずかったかな。
「俺も用があってな。お見舞いに来た」
「彼女が嫌がってます。それ以上近づきにならないで」
あーちゃんの前に立つ。弱いものを守ろうと必死だ。
「君はあーちゃんて言うのか? 」
「聞き耳を立ててたんですね? まったく困った人」
受け入れる気配が無い。
「あーちゃん俺だ。初めてじゃないはずだ」
そう俺もこの子も一緒にベットに寝かされていた。
そう言う意味では深い関係にあると言っても過言ではない。
彼女も俺をうっすら覚えてるかもしれない。
あの時は眠り姫に興味を示さなかった。
なぜなら俺には彼女たちがいたから。
マウントシー攻略が俺の使命。
間違ってもこんな小さな女の子をターゲットにしない。
見た目は十歳前後だが二人の会話から十六歳だと分かりビックリしている。
幼過ぎる見た目。かわいい女の子は嫌いじゃない。
いや俺は変態じゃない。
「あーちゃん。俺だ忘れたか? 」
手を差し出し歩き出す。
「近づかないでと言ったでしょう」
えらい剣幕で顔を紅潮させる。
「ハイハイ。分かったよ。それで彼女の容態はどうなんだ? 」
なおも近づこうとすると無理矢理止められる。
「なぜあなたにお答えしなければならないんですか? 」
確かによく考えればそうだ。まさしく正論。
俺もそれが聞きたいくらいだ。
「ここの管理人にはお世話になってる。ここに来れたのは彼らに認められた証拠さ」
「分かりました」
結局折れるエレン。
警戒するエレンを無視してあーちゃんを見舞うことに。
続く
すっかり忘れていたがあの眠り姫がようやく目を覚ましたらしい。
今どうしてることやら。少々気になる。
「いらっしゃい。あれ珍しいお客さんだ。何の用? 」
いつも料理でお世話になってる管理人の女性。
それだけでなく人手が足りないと駆り出されるのでほぼ毎日顔を合わせている。
決して自分から積極的に関わろうとせずサポート役に徹している。
だからなのか名前を知らない。
勝手に管理人さんだとか。山小屋のおばさんと呼んでいる。
本名を知らないから適当に。だからこういう場面では困る。
まあここは素直に奥さんでいいか。
「お邪魔します。ちょっと用事が。二階に上がらせてもらいますね奥さん」
「奥さんって言わないの。二人は夫婦じゃないんだから」
照れながら訂正する。
もちろん知ってるんだけどな……
「二階って? ああそうか。君も見たか。ぜひ見舞ってやってくれ」
謎の少女の存在を隠す訳でもなく会わせない訳でもない。
お見舞いの許しを得る。
「はい、ではお言葉に甘えまして」
「お客さんが一人先に来てる。それと私はちょっと出かけるから留守を頼むよ」
そう言うと女は走って行ってしまった。
これはチャンス? それとも俺は嵌められた?
俺を試すつもりかもしれない。
留守を頼むか…… シードクターもお出かけか。
相談したいことがあったのに。次の機会だな。
二階に上がろうとしたその時声が……
気付かれないように足音を立てずに上へ。
「お名前は? 」
「あーちゃん」
「もう一度。お名前は? 」
「アリー」
「年齢は? 」
「十六歳」
「もう一度」
「十六歳と数ヶ月」
「家族は? 」
「いないよ」
「家族は? 」
「家族なんかじゃない。あいつらは家族なんかじゃない」
さっきまで天使のような少女が声を荒げる。
やはり彼女にも何かしらの過去があるのだろう。
ここに来た者は皆そうだ。トラウマ級の思い出。
何かしら重いのを抱えてる。俺も含めて……
「ここに来た目的は? 」
「連れて来られた」
「目的は? 」
「マウントシーで暮らすこと」
「はいもういいよ。頑張ったね」
聞き取りを終える。
「ねえ一緒に遊ぼう? 」
「ダメダメ! 今日は忙しいの」
甘えん坊のあーちゃんとつれないエレン。
甘える妹とそれを咎める姉。
まるで本当の姉妹のよう。
「彼女の容態はどうだ? 」
ノックもせず入るのは俺の主義じゃないがドアが開いていたら仕方がない。
尋問が終わるまで大人しくしていたのだから文句ないだろ?
「ちょとあなた…… 」
俺の顔を見て怯えている。何かあるのか?
「君の名は確か深海さんだっけ? 俺は大河だ」
知ってるだろうがあーちゃんにも自己紹介しなくてはな。
「知ってますよ。ですが勝手に入るあまりの非礼。この子だって怯えてるじゃない」
よく見ると確かに震えている。これはまずかったかな。
「俺も用があってな。お見舞いに来た」
「彼女が嫌がってます。それ以上近づきにならないで」
あーちゃんの前に立つ。弱いものを守ろうと必死だ。
「君はあーちゃんて言うのか? 」
「聞き耳を立ててたんですね? まったく困った人」
受け入れる気配が無い。
「あーちゃん俺だ。初めてじゃないはずだ」
そう俺もこの子も一緒にベットに寝かされていた。
そう言う意味では深い関係にあると言っても過言ではない。
彼女も俺をうっすら覚えてるかもしれない。
あの時は眠り姫に興味を示さなかった。
なぜなら俺には彼女たちがいたから。
マウントシー攻略が俺の使命。
間違ってもこんな小さな女の子をターゲットにしない。
見た目は十歳前後だが二人の会話から十六歳だと分かりビックリしている。
幼過ぎる見た目。かわいい女の子は嫌いじゃない。
いや俺は変態じゃない。
「あーちゃん。俺だ忘れたか? 」
手を差し出し歩き出す。
「近づかないでと言ったでしょう」
えらい剣幕で顔を紅潮させる。
「ハイハイ。分かったよ。それで彼女の容態はどうなんだ? 」
なおも近づこうとすると無理矢理止められる。
「なぜあなたにお答えしなければならないんですか? 」
確かによく考えればそうだ。まさしく正論。
俺もそれが聞きたいくらいだ。
「ここの管理人にはお世話になってる。ここに来れたのは彼らに認められた証拠さ」
「分かりました」
結局折れるエレン。
警戒するエレンを無視してあーちゃんを見舞うことに。
続く
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
左左左右右左左 ~いらないモノ、売ります~
菱沼あゆ
児童書・童話
菜乃たちの通う中学校にはあるウワサがあった。
『しとしとと雨が降る十三日の金曜日。
旧校舎の地下にヒミツの購買部があらわれる』
大富豪で負けた菜乃は、ひとりで旧校舎の地下に下りるはめになるが――。
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録〜討伐も採集もお任せください!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?〜
うさみち
児童書・童話
【見習い錬金術士とうさぎのぬいぐるみたちが描く、スパイス混じりのゆるふわ冒険!情報収集のために、お仕事のご依頼も承ります!】
「……襲われてる! 助けなきゃ!」
錬成アイテムの採集作業中に訪れた、モンスターに襲われている少年との突然の出会い。
人里離れた山陵の中で、慎ましやかに暮らしていた見習い錬金術士ミミリと彼女の家族、機械人形(オートマタ)とうさぎのぬいぐるみ。彼女たちの運命は、少年との出会いで大きく動き出す。
「俺は、ある人たちから頼まれて預かり物を渡すためにここに来たんだ」
少年から渡された物は、いくつかの錬成アイテムと一枚の手紙。
「……この手紙、私宛てなの?」
少年との出会いをキッカケに、ミミリはある人、あるアイテムを探すために冒険を始めることに。
――冒険の舞台は、まだ見ぬ世界へ。
新たな地で、右も左もわからないミミリたちの人探し。その方法は……。
「討伐、採集何でもします!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?」
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録は、今、ここから綴られ始める。
《この小説の見どころ》
①可愛いらしい登場人物
見習い錬金術士のゆるふわ少女×しっかり者だけど寂しがり屋の凄腕美少女剣士の機械人形(オートマタ)×ツンデレ魔法使いのうさぎのぬいぐるみ×コシヌカシの少年⁉︎
②ほのぼのほんわか世界観
可愛いらしいに囲まれ、ゆったり流れる物語。読了後、「ほわっとした気持ち」になってもらいたいをコンセプトに。
③時々スパイスきいてます!
ゆるふわの中に時折現れるスパイシーな展開。そして時々ミステリー。
④魅力ある錬成アイテム
錬金術士の醍醐味!それは錬成アイテムにあり。魅力あるアイテムを活用して冒険していきます。
◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。
◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。
◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。
盲目魔女さんに拾われた双子姉妹は恩返しをするそうです。
桐山一茶
児童書・童話
雨が降り注ぐ夜の山に、捨てられてしまった双子の姉妹が居ました。
山の中には恐ろしい魔物が出るので、幼い少女の力では山の中で生きていく事なんか出来ません。
そんな中、双子姉妹の目の前に全身黒ずくめの女の人が現れました。
するとその人は優しい声で言いました。
「私は目が見えません。だから手を繋ぎましょう」
その言葉をきっかけに、3人は仲良く暮らし始めたそうなのですが――。
(この作品はほぼ毎日更新です)
ことみとライ
雨宮大智
児童書・童話
十才の少女「ことみ」はある日、夢の中で「ライ」というペガサスに会う。ライはことみを「天空の城」へと、連れて行く。天空の城には「創造の泉」があり、ことみのような物語の書き手を待っていたのだった。夢と現実を行き来する「ことみ」の前に、天空の城の女王「エビナス」が現れた⎯⎯。ペガサスのライに導かれて、ことみの冒険が、いま始まる。
【旧筆名:多梨枝伸時代の作品】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる