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ファンタジー
春が来れば、いなくなる
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ふわふわ粉散る 雪原で
輝く雪を 集めましょう
冬に色づく 木の実の青を
瞳にどうぞと はめ込んで
雪人形を作ったわ
あなたは私の友達よ
仲良くしてねと 首飾り
かけると 不思議が始まった!
くるりくるくる踊り出す
私の作った 雪人形
丸い体が舞ううちに
すっかりひとりの男の子
全身真白な男の子
そして私は思い出す
首飾りが持つ 言い伝え
昔むかしの そのまた昔
お城に仕えたご先祖様が
宝と遺した首飾り
国の滅びと同じくし
そっと預かり 大切に
伝えられてた首飾り
いまでは山の 奥深く
小さな小屋で母さまが
床の中から渡してくれた
形見の品は 魔法の道具
おとぎ話と思ってた
こんなに突然 起こった奇跡
目で見るまでは 嘘のよう
この日 この時 この瞬間
私たちは 仲良くなった
一緒に水くみ
一緒に食卓
笑って 話して 涙して
私のそばには いつの日も
寄り添い合った 彼がいた
ああ だけど
もうすぐ春が やってくる
白い大地に ひょっこりと
草の芽顔出し 鳥が啼く
雪解け水が 少しずつ
せせらぎ作る 山の川
春が来ちゃうわ 来てしまう
雪のあなたは どうなるの?
震え尋ねる 私の言葉
あなたは微笑み返事した
「春が来れば いなくなる
雪のぼくは いなくなる」
あまりな答えに 声が出ない
このまま春が 来ないといい
別れるなんて 辛すぎる
私は あなたが好きなのに
こんなにこんなに 好きなのに
いつの間にか 思ってた
きっとずっと 離れたくない
キラキラキラキラ 残酷に
雪に光が透けはじめ
白い密度は 薄青に 氷のような青色に
あの日の青い 木の実さながら
ぽたり ぽたり、また ぽたり
少しずつ 削れゆく あなたの身体
なのに どうしてそんなにも
嬉しそうなの 人の気知らず
やっぱりあなたは雪なのね
冷たい 冷たい雪なのね
ほどける雪よりたくさんの
私の涙は とまらない
たまらず顔伏せ 目を覆い
そむけた現実 とけてく雪に
足元すっかり水浸し
そしてすべてが 消え去った……?
ひとりがこわい
空虚がこわい
目の前に あなたがいない
それがこわい
そっと あげた視線の先に
……人間がいた
首飾りかけた男の子
雪の彼にそっくりな
おどろく私に 彼は言う
「雪のぼくはいなくなる ぼくは元のぼくになる」
昔むかしの そのまた昔
お城が落ちて 逃げる中
魔法の道具に隠れた生命
お妃様の お腹の子
雪命術師の手の中で 長い時刻かけ育くまれ
心を込めた器があれば
命はこの世に 息吹を得る
とけることない 人間として
春が来れば いなくなる
春が来たから 気がついた
失うこわさ あなたが好きと
出会い直して もう一度
春にはじまる 新しい恋
雪命術師のご先祖様が 隠れ先にと雪山選ぶ
真の理由は これだった
昔むかしの ちょっぴり昔
建国秘話で 語られる
王と王妃の物語
雪から生まれた王様と
春からはじまる素敵な恋
すべてを知るのは いまはもう
お城に眠る 首飾りだけ
窓の外には笑い声 いつの季節もたくさんの
にぎやか騒ぐ 楽しい声
ひっそりニッコリ煌めいた 不思議な魔法の首飾り
国に伝わる宝物
雪の国の宝物
(※楠木結衣様よりいただきましたバナーです)
(※猫じゃらし様よりいただきましたファンアートです)
(by みこと。)
輝く雪を 集めましょう
冬に色づく 木の実の青を
瞳にどうぞと はめ込んで
雪人形を作ったわ
あなたは私の友達よ
仲良くしてねと 首飾り
かけると 不思議が始まった!
くるりくるくる踊り出す
私の作った 雪人形
丸い体が舞ううちに
すっかりひとりの男の子
全身真白な男の子
そして私は思い出す
首飾りが持つ 言い伝え
昔むかしの そのまた昔
お城に仕えたご先祖様が
宝と遺した首飾り
国の滅びと同じくし
そっと預かり 大切に
伝えられてた首飾り
いまでは山の 奥深く
小さな小屋で母さまが
床の中から渡してくれた
形見の品は 魔法の道具
おとぎ話と思ってた
こんなに突然 起こった奇跡
目で見るまでは 嘘のよう
この日 この時 この瞬間
私たちは 仲良くなった
一緒に水くみ
一緒に食卓
笑って 話して 涙して
私のそばには いつの日も
寄り添い合った 彼がいた
ああ だけど
もうすぐ春が やってくる
白い大地に ひょっこりと
草の芽顔出し 鳥が啼く
雪解け水が 少しずつ
せせらぎ作る 山の川
春が来ちゃうわ 来てしまう
雪のあなたは どうなるの?
震え尋ねる 私の言葉
あなたは微笑み返事した
「春が来れば いなくなる
雪のぼくは いなくなる」
あまりな答えに 声が出ない
このまま春が 来ないといい
別れるなんて 辛すぎる
私は あなたが好きなのに
こんなにこんなに 好きなのに
いつの間にか 思ってた
きっとずっと 離れたくない
キラキラキラキラ 残酷に
雪に光が透けはじめ
白い密度は 薄青に 氷のような青色に
あの日の青い 木の実さながら
ぽたり ぽたり、また ぽたり
少しずつ 削れゆく あなたの身体
なのに どうしてそんなにも
嬉しそうなの 人の気知らず
やっぱりあなたは雪なのね
冷たい 冷たい雪なのね
ほどける雪よりたくさんの
私の涙は とまらない
たまらず顔伏せ 目を覆い
そむけた現実 とけてく雪に
足元すっかり水浸し
そしてすべてが 消え去った……?
ひとりがこわい
空虚がこわい
目の前に あなたがいない
それがこわい
そっと あげた視線の先に
……人間がいた
首飾りかけた男の子
雪の彼にそっくりな
おどろく私に 彼は言う
「雪のぼくはいなくなる ぼくは元のぼくになる」
昔むかしの そのまた昔
お城が落ちて 逃げる中
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お妃様の お腹の子
雪命術師の手の中で 長い時刻かけ育くまれ
心を込めた器があれば
命はこの世に 息吹を得る
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春が来れば いなくなる
春が来たから 気がついた
失うこわさ あなたが好きと
出会い直して もう一度
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すべてを知るのは いまはもう
お城に眠る 首飾りだけ
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にぎやか騒ぐ 楽しい声
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