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第232話 奥の手

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 マキシ・マイザーさんのとんでもタイムに、ひと騒ぎ起きたところで、次は城東さんが挑戦する番だ。
 イヤホンからは、城東さんが気合を入れている声が僅かに聞こえて来る。その気合い溜めに意味があるのか分からないが、いい結果に繋がるよう、祈るしかない。


5分後


 「ッシャ!!どぉだぁ、見たかこれぇい!!!ッしゃあ!!」

 「すっげぇえ!!!やるじゃん城東!!!!」

 「・・・・・・城東さんの記録・・・・0.19。・・・・・いや、ここに来てあり得ないだろ・・・。」

 「・・・・・・・・オワッタ。」

 何故だ?脳筋には、体内時計が完璧とか言う特技でもあるのだろうか。
 城東さんのやり方はマキシ・マイザーさんと全く同じ、口頭で数字を数えているのみ。他に何か、おかしなことはしていない筈だ。

 今までの順番なら、次は俺の番。
 どうにかして、0.91と0.19の間でタイマーを止めなければならない。

 〈空気読め脳筋!!ww〉
 〈何でだよ!!ww〉
 〈これ、奈落トロールだったか?ww〉
 〈あーあ、罰ゲームなんて決めなきゃ良かったのにww〉
 〈センチネルwwww〉
 〈草〉
 〈筋トレし過ぎて、体内時計まで鍛えられたかwww〉
 〈危険するか?危険しよう!危険するのだ!危険!!!!〉
 〈次は、奈落の番かな?〉

 「あっ!何で俺とマキシ・マイザーが、ギリギリのタイム出せたのか分かったぜ!!マキシ・マイザーは、普段からしっかりと筋トレをやってるよな?」

 「え?まぁ、そうだけど。・・・・筋トレ?」

 「多分だが、俺とマキシ・マイザーは筋トレ中、どのトレーニングでも、持続秒数を自分の中で数えている筈だ。決まった時間内で筋トレをするより、一つ一つのトレーニング時間を延ばしたり縮めたりして、好き放題鍛える方が肌に合っているからな!!その時、自分の中で時間を計りながらトレーニングをしている内に、俺達の体内時計が鍛えられていたと考えられるだろう。な?理に適ってるだろ?」

 「・・・・・しょうがないですね。それじゃあ次は、俺が挑戦します。センチネルさん、それで大丈夫ですよね?」

 「・・・あぁ、元より最後に挑戦するのは想定済みだった。・・・・どうしたものか。」

 手元のスマホを設定し、ちゃんと六十秒から減少するのを確かめながら、一か八か、咄嗟に思いついた作戦に賭けるしかない事に、緊張が高まる。

 「大丈夫大丈夫。この『60秒で分かる、OOさんじライバーとOOすぽの違い!!』の動画内容をきっちり思い出せば、何とかなる筈だ。いや、少し早めに止めなければ、時間オーバーになるのか。」

 この動画は、俺が切り抜き動画の中で特に気に入っている物で、今までに五十回以上は観ているし、内容も細かい部分以外はしっかりと覚えている節がある。
 まぁ、早い話、この動画を流しながらタイマーをスタートさせれば、一秒以内に留めることは可能だろう。普通に不正だから、やらないけどな。

 「・・・・頼む、上手くいってくれ。」


 
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