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第205話 巡回④
しおりを挟む両手で持った折り畳みナイフを前に突き出しながら、勢いよく突進してくる男性の腕に右手の懐中電灯を叩きつける。
「グワッ⁉クソッ!!」
男は、痛みに呻きながらも態勢を立て直し、右手に折り畳みナイフを構えなおす。
本当ならここで、武装解除出来ることの方が多いのだが、懐中電灯で攻撃して来た部分が両腕だったせいか、効果は薄かったようだ。ただし、左腕は故障せることに成功したらしい。
「ちくしょうっ!ちくしょうがっ!!」
疼く。
先ほどと同じように突進して来た男。
今度は、相手が持っている折り畳みナイフの先端をよく見ながら、突き出されたナイフを躱して男の胸元へ入り込む。そして、男の腕を掴み、折り畳みナイフの刃先が男の太股へ向くように手首を捻じった後、そのままの勢いでナイフを振り下ろすと、男の太股へ綺麗に刺さった。
「へっ?あっ、ぎゃあああああああ!!!!!!!!」
「はぁ、《《うるさいなぁ》》」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5分後
「はぁ、はぁ、真田さん!!大丈夫ですか!!」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
「あっ、二人共来てくれたんですね!!ほら、侵入者を捕まえましたよ!!」
外から聞こえて来た悲鳴の場所にまで辿り着いた猿飛と上杉の視界には、複数の警備員に拘束されている、警備員と同じ格好をした男の姿と、その姿を遠目から見ながら手を拭いている、真田の姿があった。
「今、警察の方にも連絡が終わって、こちらに向かっているそうなので、一時間程休憩を挟んだ後に、今度は三人で軽めに見回りをしたら終了ですね!!」
「り、了解や!!こんな時も冷静なのは、流石やなぁ!!」
「そうですね!!あれ?この地面に付いてるのって血液・・・あっ、もしかして!真田さん、どこか怪我をしてるんじゃ!」
「いや、それは侵入者の血液ですよ?相手が素人で本当によかったです!!まぁ、ナイフを出された時はちょっと「おっ!居た居た!!まさか、本当に侵入者が来るなんてね!!!」」
三人が雑談を楽しんでいると、遠くからこちらに向かって来る、高太郎さんの声が聞こえて来た。暗くてよく見えないが、高太郎さんの後ろには城東さんらしき姿も見える。
「いやー、お疲れ様!!みんな、大丈夫だったかい?真田君も、経験があるからと言って、あまり無茶をしないように気を付けるんだよ?今回は、本当にありがとう!」
「侵入者ってのは、あの男か?はぁー、マジで捕まえるとか凄ぇな!!!今度、どう戦ったのか教えてくれよ!!」
この後、暇だった城東を含めた四人で、もう一度巡回をしてみたが特に問題は無く、流石に疲れが見え始めたタイミングで解散となった。
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