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第194話 消去法
しおりを挟む「えー、嬢ノ内さんVS筆記さんの対決は、1対3で筆記さんの勝利と言うことになりました。」
「もう、折角私が手作りで作ったのに、こんなことになるなんて!!」
「俺的には、あの固さが良かったと思うぜ?案外、腹持ちも良さそうだったしな!!」
「・・・歯茎が痛いです。」
「うーん、アーモンドとクルミの苦さが強かったですねぇ。これなら、ガトーショコラケーキよりは、普通のチョコレートケーキの方が合いそうです!」
「ま、まぁ良いわ!次の、料理対決が来るまで練習しておくわよ!!そうだ、配信を終える前に―――――」
〈もう終わりか!!〉
〈結局、普通の飯を作った奈落とギトラの勝負が一番美味しそうだったな!!〉
〈まだ文句出てんのか!ww〉
〈お嬢がワースト一位か?ww〉
〈結局、材料あまりまくりで草〉
〈誰か一人はカレーライスを作るかと思ったけど、そんなこと無かったな!ww〉
〈デザートは難しいからしょうがない!ww〉
〈丼ものを選択して来た二人も、見た目は良かったよな!!〉
〈面白かった!〉
〈『このコメントは削除されました』〉
少し離れたところで嬢ノ内さんが配信の締めに入ろうとしている中、俺達の方は調理器具を洗ったり、食材を片付ける作業に入っていた。実のところ、この部屋自体の温度調整機能が壊れている事に、今日気が付いてしまった為、出来る限り生ものや溶けやすい物に関しては、早く冷蔵庫にしまいたいのである。
こうして見ると、今回の企画で使用した食材は、用意した食材全体の五分の一程度しか使われておらず、明らかに量を間違えてしまったことが分かるが、企画慣れしていけば、何時か直るだろう。
「最初は『鰻《うなぎ》』だとか『筍《たけのこ》』だとかを用意しようか、なんて話にもなってましたけど、賛成しなくて本当に良かったですね。」
「それな!本当に、嬢ノ内の奴は、何処からそんな物を買う資金を捻出しようと考えてたんだ?まさか、会社の経費で出るとでも思ってたか?」
「ははっ、流石にそんなことはあり得ないでしょう!何事にも、限度ってものがあるんですから、嬢ノ内さんも理解はしていた筈ですよ?私的には恐らく、配信映え等を意識し過ぎた結果、少々無茶なアイデアを出したんだと思いますし、お金なら視聴者から集めようと考えていたのでは?」
男三人が愚痴とも捉えられる話をしていると、配信の締めに差し掛かる。
「それでは、今日の配信をお送りしたのは、嬢ノ内 美伽と!!」
「あっ、パワー 腹一と」
「喧嘩 城東」
「鬼道 奈落」
「お、緒恋 ギトラ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「「「「「??」」」」」
良い流れで配信を終わらせようとしたのにも関わらず、最後の最後で筆記さんの反応が無いことに違和感を覚えた俺達は、部屋の中を見渡すと筆記さんの姿が何処にも無いことに気付いた。
「あ、あれ、筆記さんは?」
「さっきまで、残りのマフィンを消費してたよな?」
この状況をどうしようかと悩んでいた俺達の元に、一人のスタッフがカンペを見せて来た。
『筆記さんは、塩分と糖分の取り過ぎにより、部屋に帰りましたので、名前だけ出して貰った後、配信を終了して貰って大丈夫です!!』
「・・・・自由だな。」
「あー、それじゃあ私が代わりに、筆記 女子がお送りしました!!視聴者の皆さんも、良ければ自炊してみてください!!」
「なんか、スペースオペラって締まらないですよね。」
その頃、とある部屋では、頭を抱えたままベッドで横になっている女性が居たとかいないとか。
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